Canon EOS Kiss X5+Tamron SP AF90
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島根の出雲市出身の自分にとって子供の頃、島根の山といえば三瓶、鳥取といえば大山でした。
調べてみると、どちらもブナ帯を擁する自然度の高い山で、大山はその名を冠したダイセンセダカコブヤハズカミキリで有名。
一方島根は、最近になってダイセンとはちょっと違うセダカがいるということでコブの図鑑を編集されていた高桑正敏さんが勢力的に調査されていたようです。
主にヤブツバキ帯の低山から得られているようですが、自分は「三瓶にいないわけないだろう」と常々思っていたのでした。というわけでこの秋、大山、三瓶、そして松江の低山を巡る遠征を決行しました。
Day 1 大山
20代後半からこのかた、山陰に行くにはもっぱら飛行機を使っていましたが、虫仲間で虫寿を過ぎたEさんが「夜行バスで行きます」と言われたので、マジスカと思いつつ久しぶりにバスで米子へ。
まあ若干きついはきつかったですが、朝イチから行動できるので効率はいいかもしれません。新宿を夕方七時半に出て米子のバスターミナルに6:30頃到着、近くのホテルで朝食をゆっくり食べて8:00から車を借りて移動。
観光地として賑わう大山北麓に駐車して周辺を探索。前日に台風が通過して枯葉が飛ばされ、普通ならコブ叩きには最悪の状況ですが、まあ多産地だからなんとかなるだろうと気楽に探します。
アジサイ
最初に歩いたのは谷筋の道。まだ葉っぱは雨で濡れていて、叩き網に水がたまります。少ない経験を元に、雨上がりは葉の密集したあたりで雨宿りしてることがあると考え、こんな枯葉まじりのアジサイを叩きます。
ダイセンセダカコブヤハズカミキリ★
おおーいきなり来た!オスです。探索開始30分ほどでしょうか。楽勝やね。これに刺激されEさんも普通は叩かないような枯れた花穂からすぐに1メスをゲット。
後で撮影
図鑑の記述は、イワワキとの比較でいうと、触角若干短め、微毛は赤め、コブはより顕著、コブ後ろの翅端短め、てな感じでしょうか。
Eさん捕獲のメス
しかし後が続きません。いいブナ林で、ヤマブドウの枯葉なんかを「勝ったな」と思いつつ叩いても落ちない。台風で普段とは違う場所へ移動してるんでしょうか。うーむ。
しばらく追加がないので南麓へ車で移動します。しかし!台風による倒木で車も歩行者も通行止め。ポイント全体がアクセス不能です。しかたない。
北麓へ戻り、特保ぎりぎりまで高度を上げて別のポイントを探索。ここでいきなりEさん、入口でまたアジサイから1オスをゲット。そしてしばらく探索するも、やはり追加なし。なぜこのヤマブドウから落ちない!てなのばかりでした。どれもKIDI物件、「ここに・いなけりゃ・どこに・いる」です。
気分転換にルリクワ材なんかも探しましたがマークは見つけられず。後で立ち寄った自然歴史館ではコルリは多いと書いてありました。
結局二人でコブ3exs。台風の翌日にコブ叩いてはいけない、ということが分かりました。
ツノアオカメムシ
終了
夕方、Eさんはまた夜行バスで東京へ。お疲れさまです。自分は翌日のエリアである三瓶へ移動し国民宿舎で宿泊。平日限定の一番安い夕食にしましたが十分満足でした。舟やら酒樽やらを使った露天風呂で灯りに集まるヤママユと三日月を見ながらのんびり。
Day 2 三瓶
三瓶山のブナ林でセダカを探します。リフトで女三瓶へ行き、まずは特別保護区となっていて湿度の高そうな中央の窪地&池を調査、と思ったら看板によるとここは二次林だそうで。撤退。
稜線を歩いて男三瓶へ。秋晴れで展望は最高。気持ちいい。男三瓶の東稜線のブナ林で戦闘開始。
葉っぱ
オオカメノキかガマズミ。いい具合に枯れた葉が散見されます。コブには最高の状況。しかし落ちません。
この最高の状態でかなり長い距離に渡ってブナ林で丁寧に枯葉叩いても落ちない、ということで、たぶんここにはいない、という結論に達しました。考えてみれば毎日何十人という登山客がブナ林を歩いていて、これまで見た人がいないというのは、いないということでしょう。山が出来たのが1.5万年程度の昔ということで比較的新しいからかも。とはいえ、いないという証明はいわゆる「悪魔の証明」であって不可能。セダカ見つけた人がいたら土下座して訂正します。
エグリバケブカハムシ★
これはよく落ちた。良く似たのでニレハムシとサンゴジュハムシがいますが、確か触角の節の長さがうんたらであと二種類ほどいたよなーと撮影。後で調べると、第三節が第二節の3倍長いのでエグリバケブカと同定しました。
オオセンチコガネ
山麓では放牧が行われていて、某糞虫の中国地方唯一の生息地です。条令により採集禁止種となってます。
しかし放牧期間がしばらく前に終わっていて牛糞はスカスカ。オオセンチ1だけ見つけました。
牛糞
どの牛糞もその下の芝をひっぺがして放置してあります。明らかにDK狙い。もうちと禁止種であるということを周知する看板などを設置したほうがいいのではないか。
この日の夜は実家に居候させてもらいました。
Day 3 ヤブツバキ帯
この日はヤブツバキ帯の低山を探します。去年11月にも来ていますが時期が遅くてヌル。その時にコブの枯葉トラップを見つけました。後で月刊むしに載った高桑さんの記事を読むと記述が完全に一致。図鑑のためスレのない新成虫を秋にゲットする必要があったのでしょう。このトラップでウハウハ、と考えていたのですが、
枯葉トラップ
しかしそれ以上にいい感じのヤブツバキ枯葉つき枝なんかが台風に飛ばされずあちこちに見付かります。そういうのとか、高い枝に引っかかった枯葉とかヤブツバキの葉の密集した部分とか、なんでも叩きまくりましたがヌル。厳しい。こないだ行った北摂の山よりは広葉樹林が広く探しやすいのですが。蜘蛛の巣が多かったので先行者もいなかったはず。帰りの飛行機は暗くなってからの便でしたが、5時頃にもうあらかた探索して、いっそ雨でも降れば踏ん切りがつくんだがと思っていたら、その通り雨になり次第に大雨に。撤退です。
うーむこれで秋のヤブツバキ帯は小佐渡のサドコブを除くと6連敗。すべてアウェイなんで経験値がなかなか上昇しません。ブナ帯セダカなら丹沢、天城、富士、大山、セブリと勝利してるんですが。