最近指輪物語の瀬田訳の「ですます調が読みにくい」とか映画の勘違いレビューとか、WEBに書いてあると某掲示板で晒されて直リンされ、ボコボコに叩かれるようになってきた。いやはや、いい時代になった!
いいぞ、もっとやれ。
我ら瀬田信者はフェアノールの一族の如く、モルゴスの手下を地の果てまでも追いかけるのだ。
評論社『中つ国歴史地図』 XISBN4566023753
購入。つっこみ掲示板でやきなさんに教えてもらった本の邦訳。一部の地図は以前ネットで画像を見て、あまりの精密さに驚いたが、スペイン語版のスキャンだったのでいまいち分からなかった。しかしこれで安心。地図中の字がホビットや指輪の邦訳にある地図の字体と同じでグッド。索引には英語地名も併記してあるので原書読む時でもOK。ただ序文などにある、トールキンの指輪物語の序文にあるような二重三重に副詞節がかかる文の翻訳は多少ぎこちない気がした。この本書いてる人も大学の先生なんで、難しい文章はトールキンにもひけを取らない。
●面白い表現 in 旅の仲間、ボンバディル関係
"I'll sing his roots off. I'll sing a wind up and blow leaf and branch away."
無理にニュアンスを訳すとすれば、「根っこを歌い抜いちまうぞ。風を歌い吹かして葉っぱと枝を吹き飛ばすぞ。」てな感じ。瀬田訳では「わたしが歌えば根っこがもげるぞ。わたしが歌えば風が起こり、…」となってる。
"As far as he could remember, Sam slept through the night in deep content, iflogs are contented."
明示的には書いてないけど、 "sleep like a log" で熟睡する、という意味。瀬田訳では「丸太ん棒のように安心しきって眠りました。もし丸太ん棒に安心があるならばの話ですが。」と明示的に書いてある。
●ボンバディルの歌
これは全くお手上げです。ネイティブじゃなきゃナンセンスな語句がどういうニュアンスをもつか分からない。
"dol" ってのは辞書にないけど、たしかボンバディルってトールキンの息子が大事にしてた人形で、兄弟が気に入らないから便所に流しちゃったけど無事に助け出された、って話だから doll の意味なんだろうかな。dong は「どーん」とか「がーん」と言う意味。dillo は old の逆読みで年という意味というのが辞書にあったけど、ちがうかも。dill で「とんま」らしい。後でボンバディル、ボンバディロ、と歌ってるのでそっちから来てるのかな。そもそもボンバディルってどういうニュアンスなんだろう。
"Hey dol! merry dol! ring a dong dillo!"
「そら、ラン!楽しや、ロン!ラン、ロンと鳴らせ!鐘を。」
fal-lal は「安ピカ物」という意味らしい。でもlull のニュアンスもありそうだ。
"Ring a dong! hop along! fal lal the willow!"
「うて、ドン!とべ、ポン!さやさやなるは、柳。」
●"Lumpkin"
ボンバディルの子馬の名前。瀬田訳は「ずんぐりや」。おお、面白い。調べたら人名とか地名で実際にある名前らしい。あと bumpkin(田舎者)やpumpkin(かぼちゃ/まぬけ)のニュアンスもあるんだろうな。
しかし、ブローチをボンバディルが眺めて首を振る場面とか、謎が残る。あれこれ想像するのも楽しいな。ゴールドベリはエント娘とかとも関係あるんじゃないか、とか考えると楽しい。
でもなー、"The Bane of Bombadill" っての、あると思う。映画やドラマじゃボンバディルが必ずカットされるという呪い。BBCのドラマでも今回の映画でもカットされちゃってるから。ボンバディル人形を世界中の子供が持って遊ぶ、とかしないとこの呪いは解けそうにない。