●パット・マーフィー『There and Back Again』 ISBN:0812541723 【アマゾン】

●パット・マーフィー『ノービットの冒険』、浅倉久志訳 ISBN:415011357 【アマゾン】, 早川文庫SF

読み終る。大満足!!
でもわざわざ英語で読むこともなかったかな。文体までトールキン風になってるかと思ってたけど、そうでもなかった。トールキンの『The Hobbit』の文は韻やら比喩やら倒置やらで相当読み応えあったんだけど。"Then up came Gitana." てな文も一つくらい入れといて欲しかったな。
本屋で気になった部分の訳をパラパラと読む。いやーやっぱり良い感じで訳してあるなぁ。さすが。特に「Rattler」の訳にはヤラレタ。『ホビット』の日本語訳は二つあるけど(これに関しては『赤龍館』にて詳細な比較がなされています)どちらの訳も「Gollum」を「ゴクリ」と訳してあるので、「Rattler」のあの訳は万人が納得するでしょう。日本一のゴクリスト、TESSIさんにもこの本をお知らせしておいたので感想が楽しみです。
すこし『The Hobbit』の方も読み返してみる。第一章だけでもセリフが同じ部分とか共通点とか沢山あった。そういう部分が翻訳でどうなっているか、瀬田訳と山本訳のどちらに近いか、などに注目しても楽しいかも。読んだ感じでは、浅倉氏のポリシーは言葉遊びとかは無理に訳さず雰囲気を重視する瀬田訳に近い気がした。
アマゾンの読者レビューを読むと、ガチンコのトールキンファンの評価は厳しい感じ。あと『ホビット』との共通点とか解剖して調べるようなことはしないほうがいい、という意見を2、3人の人が言ってる。うーん、そうか。ちょっと気が付きにくい共通点とかリスト作ろうかと思ったけどやめた。でも一つだけ。ホビットの方でトーリン王が壁を壊してオークの軍勢の中へ飛び出して行く場面、トーリンは目から赤い光を放ちながら飛び出して行く。これがノービットの方ではザハラがオデッセイ号の赤いレーザーで敵宇宙船を薙ぎ払いながら発進して行く。その後の場面はトーリンの最期とも重なってグッと来た。