真っ暗な道の真ん中で体育座り@大隅半島

使用機材:https://ita.hatenadiary.jp/entry/20180816/p2
クリックで拡大。★は初見。

屋久島のカミキリが何故か棲息している魔境大隅。名物のあれこれは7末から8上まで狙えるのでシーズン最終盤に狙うのに最適です。二年前オオスミヒゲナガは見つけられたので(https://ita.hatenadiary.jp/entry/2020/07/31/000000)、残りの名物を狙いにH岳へ行きました。
名物:まず大隅にしかいないのがヨコヤマヒゲナガの親戚オオスミヒゲナガ(亜種に変更されそう?)、ヤクシマミドリの大隅亜種、およびノルティアことサツマムネスジウスバ。屋久島と共通なのがズーデスことクロモンキイロイエ、ルフェことムモンチャイロホソバネ、スピニことトゲウスバなどです。
昼間は暑くて厳しいので現地昼着くらいで、ゆっくり物件の下見したりして本番は夜です。
ノルティアもルフェも、2年前にオオスミヒゲナガのエリアで出会った知人はライトを設営してから酒盛りしてて確保してました。自分も今年は今峰のライトを買おうかとも思ってたけど機を逸してしまいました。となれば夜回りです。

大隅の林道

鹿児島空港から二時間ほど。タブ、ホソバタブ、バリバリノキ、ヤブツバキなどの南方系照葉樹林を探索します。

この細い葉がホソバタブあるいはバリバリノキ。本日の狙いの一番難物のズーデスのホストです。
ズーデスに関しては鹿児島カミキリ屋の親分のような方が、昔の月刊むしにかなり詳しい知見をまとめておられます。それによるとホソバタブよりもバリバリが本命とのこと。葉の形は似ていますが葉脈の角度が微妙に違います。
とはいえ、半枯れ程度の新鮮な物件にしか来ないそうで、なかなか難しい。そんな物件をまず見つけるのが第一の難関ですが、今回は見つけらえず。
最近出た「鹿児島県のカミキリムシ」はその方が主筆なのですが、このあたりの知見は載っておらず残念。元記事は5頁ほどの力作だったのでスペースの関係でしょうけど。

タマムシ?

このあたり、屋久島と共通のタマムシもいくつか報告されているので、いろいろ掬います。
アカメガシワの大木を見つけ、暑い中梢のあたりを丁寧に掬うと、、、
肉眼では甲虫に見えない小さいなにかが。マクロ撮影すると、む、タマムシか!

クモガタナガタマムシ

アカメガシワをホストとして九州~奄美あたりまで分布しています。なかなか美しい。
他にもアカメガシワでいくつか狙えるはずですが見つからず。ワタナベナガ、ウエノナガとか。

キイロアラゲカミキリ

カラスザンショウ掬いにて。南方のタマムシアカメガシワ、シイ、カラスザンショウあたりホストのが多い気がしたので色々掬ってた。

シロアナアキゾウムシ

倒木にて

ミツギリゾウムシ

倒木にて

ヤブツバキ

オオスミミドリを狙っていい材を捜します。折れたばかりの物件を発見。ほかにも何本かありましたが、食痕は見つからず。

下見

よさげな倒木を探しながら、高所掬いして歩いてたら結構疲れました。下見のつもりだったけど。
何箇所か新しめの倒木を発見。暗くなったらあれやこれやが来るはず。GPSに記録しておきます。
あとは暗くなるのを待つ訳ですが、車は3kmほど離れた林道入口。どうやって待つか。

ぼーとしてたら蚊にやられるので、林道の真ん中に体育座りして、直径60cmのネットをかぶって寝ます。
やってみると、結構心細いです。熊がいない九州だから恐いものはなにもいないんですが。
さて、うとうとしながら、暗くなってきました。見つけた物件をGPSを頼りに見に行きます。

倒木

こんな感じ。逃げられないようにサッとLEDライトで軽く探していくと、
む!なんかデカいのが止まってる!この大きさはあれだ!あれしかない!網を下に置いて確保

ムモンチャイロホソバネカミキリ★

ルフェきたー!でかい!3cmくらいあるメスでした。後ろ足のオレンジのアクセントとか、かっこいいわー。
いやしかし、ルフェは黄昏時に飛来するというのがセオリーだったはず。寝てないで木に張り付いていればよかった。生態写真も撮れたろうに。ぐぬぬ


倒木

次はこんな木。たぶんクスノキ系だと思うんですけど。葉っぱがシナモンの匂いすれば間違いないけど枯葉だと分からない。
まあクスノキ系ならトゲヒゲトビイロやケルシウムが来るだろうから、それで確定できるでしょ。
と、しばらく張っていると案の上、オレンジ色のカミキリが幹を走る。ほいケルシウムー、と確保。あとは足の黄色いノルティアを待つのだ。
。。。待つのだ。。。来ない。うーん、トゲヒゲトビイロなんかももっと来ていいと思うんだがな。木が古いのかな。

ニセビロウドカミキリ

こんなのも来る。

いや

しかし、もしかして、うん、可能性はある、さっきの万が一ノルティアだったりしない?

サツマムネスジウスバカミキリ★

暗くて良く見えなかったけどピルケース越しに撮影してみる。む!脚黄色いぞ!

キター!ノルティアもゲット!奄美や南西諸島のとは亜種でなく別種。図鑑ではレア度も5で他より+1。よい色だなー。


一日目終了

ズーデスはまあ無理として、ほぼ満願成就。3kmほど歩いてまた車に戻ります。車を停めたのは正午ごろだったけど、車に戻ると日付けが変わっていた。
12時間ぶっつづけで虫探してたわけだ。疲れた。近所にはなにもないので、とりあえず鹿屋まで戻ってネカフェでシャワー。
さて二日目どうするか。空港付近のCB山に行くことにしました。道の駅で仮眠しつつ朝方到着。

倒木、鹿害

数か月前に来たとき(https://ita.hatenadiary.jp/entry/2022/07/09/000000)はトラニウスが歩いてた木。その時は切って持ち帰ろうか、いやまあ置いておこう、と思ったんだけど、鹿が樹皮を全部食べてしまった。くそー。

リョウブ満開

このあたりではクロソンホソハナが得られてるんで、ホソハナ系の独特な飛翔を探してみたけどおらず。カミキリ自体が皆無でトンボがやたら多い。ホソハナみたいにフワフワとんでたらトンボに食われるだろう。
キュウシュウオオクボなど狙って材も探したけどいい物件なし。疲れたので切り上げて帰りました。