使用機材:https://ita.hatenadiary.jp/entry/20180816/p2
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この週末も全国的に雨の予報。割り切って紀州のピドニア(ミセン、オオミネ、ヤノ、キイ)を狙いにいく予定で植生やルート、過去の記録などを調べ上げていましたが、直前になって中国地方の予報が好転してきました。とあるカミキリを撮影するには絶好のタイミング。いつかはこの目で見たいと思っていた虫なので、木曜に急遽往路の夜行バスと復路の飛行機を押えて出撃しました。
Day 1
20時くらいに出発。米子駅に7時くらいに着。例によってホテルのバイキングでがっつり食べます。朝8時に車を借りて出発。あまり早く行ってもしょうがないので、まずは大山へ。狙いはシラユキヒメハナ。
大山は少し標高を上げるとすぐに特別保護地区になります。何年か前にコブ叩きに来たとき、谷筋で保護地区を避けて通る道を見つけてたのでそこでまずは探します。標高800mくらいですが、立派なブナが林立するエリア。
ピドニア
ショウマが満開なので掬ってみますが、ホソハナ系やチャボハナばかりでピドニアが入りません。ちょっと標高が足りないのか。いい時間になってきたので切り上げて次のポイントへ。
看板
これです。ちなみに量刑は特別保護地区での採集の10倍ですね。怪しい奴を見たら撮影しましょう。農家のおっちゃんも頻繁に通るので、まあ違法採集は無理でしょうね。現状、そういうことをする奴は数が限られると思うので、ブラックリスト方式での対応が効率的でしょう。
かつては日本のあちこちにあったと思われる草原環境。そこに生えるユウスゲを食べるというニッチを選んだカミキリ。森林のような自然環境は伐採という大きな手間をかけないと人が住む環境にできませんが、草原はそうではないので消えて行き、家畜用の牧草地として残された草原で局地的に生き残るという運命をたどってきました。
牧草地を維持するには定期的な野焼きや草刈りが必要なので、人間が手間を掛けて現状維持しなければ絶滅することになります。この地では地元の方が野焼きをしてこられましたが、手間がかかりすぎるということで去年で中止。今年から自治体が引き継いで、民間のボランティアグループが主体となり保全活動を行われています。カミキリ以外の植物もいろいろ珍しいのがたくさん自生しており、独特の生態系になっています。
もう一箇所の棲息地である長野では植生遷移で笹が増えたり、鹿害でユウスゲが壊滅状態になったり、かなり厳しい状況になっています。
ユウスゲ
ユウスゲを植えることも行われているようです。ユウスゲ自体は岡山のあちこちで群生しているようです。
この日はちょうど草刈りの保全活動が行われていて、昼休みの時間にいろいろお話をうかがうことができました。森林との間にバッファを作って鹿が来にくくしたり野焼きの延焼を防ぐようにしたりとか、いろいろ長期的ビジョンに基づいて保全されてるようでした。
保全エリア
ユウスゲの多い保全エリアはサッカー場一面くらいでしょうか。所々にユウスゲの黄色い花が見られました。このエリアは入れないので、道路脇にすこしあるユウスゲと道路の反対にあるユウスゲをルッキング。反対側のは踏み跡をたどって行きましたが、食痕もなく地元の方によるとマムシが出るとのことで行かないほうがいいかも。
予報に反してドピーカンの天気が続き、ずっとルッキングしてて顔が日に焼けてしまいました。成果はなし。そのうち15時くらいから雨に。撤退です。
移動
夜は雨でも狙えるコブを探します。過去三回ヌルだった島根半島のセダカ。ポイントには夕方到着。以前見つけたソダの多いエリアに行きますが、全体的に古くなってビーティングが難しい。かつて高桑さんの枯葉トラップを見つけた道に入ると、キノコが生えた立ち枯れがたくさんあります。うーん、こんなにあったっけ?前はそういう木を意識してなかったのかも。山梨の経験からすると、こういうのあれば楽勝なんですが、さてどうなるか。
夜回り
暗くなってから、闇に吸い込まれていく道をLEDで照らして歩き、立ち枯れを見ていきます。20本くらいはあったでしょうか。楽勝と思われましたが、全然いません。まいったなぁ。何度か往復しましたがキマワリくらいでした。
ちょっと赤っぽい蛍の光がきれいでした。照らしてみると、4mmくらいの非常に小さな蛍でした。
時間があれば出雲の実家に寄ろうと思っていましたが、夜中になってしまい実家に謝メール入れて米子に宿泊。翌日はちと標高上げる作戦。
Day 2
最近の経験から、ピドニアは1500mくらいに行かないと面白いのがいない気がしていたので、思い切って大山に登ることにしました。山頂は1700mくらい。途中でシラユキなど面白いピドニア撮影できたら下山する作戦。登るとすぐに特保なのでカメラだけ持って出撃です。天気は小雨。まあピドは関係なし。
シラユキヒメハナカミキリ★
1500mくらいのショウマで見られました。ムネアカヨコモンの西日本における置換種。ムネの前後が赤だったり黒だったりしますが、変異を網羅した藤田図鑑のおかげで同定は楽でした。
学名はdealbata。意味は「白」、ストレートです。確かに白っぽい。あるいは白雪姫にひっかけた?
山頂
いろいろ撮影できたのが八合目あたりだったので、ピークも踏むことに。高校のキャンプで登頂してるので二度めですが。
しかし!立入禁止。あと50mくらいでピークですがね。まあいいや。
結局標高差1000mのガッツリ登山になりました。
下りの七合目で財布を発見。どうしようかと逡巡したのち、「財布落とした人おおおお!」と叫ぶと、100mほど下で返事がありました。よかったよかった。
ミワヒメハナカミキリ★
こちらは日本海に分布をもつ種。太平洋側のトサと対になると考えられています。
下り
下りは半分走って昼には下山。オサレな店でカレーを食べてプチお祝い。なんかモンベルとかコジャレた店多いです。
移動
さて、午後はダメモトでもういちどフサヒゲポイントへ。走っているとだんだん晴れてきました。いやー、いい時にいい場所に来た。
道路脇のユウスゲでひたすら待つ作戦で行ってみると、、、なんか黒いの飛んでる!
待ち
そのうち茂みに落下しました。出てくるのを待ちます。非虫屋さんはゴマダラのイメージで「小さい虫」といわれますが、ビロウドくらいはあるので飛んでいれば10mくらい離れていてもわかります。
待っていると、なにか違うのが飛んだ。
視察
環境省の若い方が3人、視察に来ておられました。いろいろお話をうかがいました。今後は色々な人が知見と情熱を結集して保全していかれることでしょう。
現在は岡山の重井薬用植物園というところが主体となって保全を行われているようです。ちと大変ですが、7月上旬の保全エリアの草刈りに参加したら撮影できる確率が上がるかも?10-15時で作業されるようです。詳細はメールで。
移動
夜の米子空港便で帰るので、それまでまた空港に近い島根コブに再チャレンジ。ソダなどに注目しつつ歩き回りましたが、結局見つけられず。うーむ、厳しい。
しかし、最大の目標は達成できたので、大満足。
ネットにある断片的な写真や情報から、ストーカーレベルの奴(自分)が如何に小さい情報を総合し場所を特定できるか良く知っているので、本記事での手がかりは0になるようにしてあります。同様に撮影される方もネットでの情報公開にはご注意。