昨夜NHKアメリカの大停電をやってた。電中研の人が解説してた実験、まさにランダムヒューズモデルだな。高安さんのフラクタルの教科書にも載ってる。線が切れると近くに電流が集中し、隣も切れるという連鎖反応で停電が拡がる。統計物理屋ならすぐに冪分布になると想像できるけど、実際そうなってる。以前 Nature に出た記事のタイトルが "Power law failure"。
電圧を応力、電流をひずみと置き換えれば物体の亀裂進展も基本的に同じ話になる。しかし fracture の研究は概念的すぎたり工学的すぎたりで、明快な理論で実験を説明する研究は少ない。paper fracture noise が 1/f になるとかいろいろあるけど。物質によって全く違うので難しい。分子動力学計算でもかなり大規模な計算が必要だし。(先端から出る音波が戻って来るというサイズ効果があるし)
亀裂は長さに比例した表面エネルギーを損してるけど、長さの二乗に比例した弾性エネルギーを得してるので、短いと進展しない。シミュレーション可能な大きさで亀裂を起こすには非現実的な強い応力が必要になる。(だいたい GPa オーダー。実際は MPa オーダー)