ねぶた祭とトウホクトラカミキリ

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背景

この週末はねぶた祭に行こうと妻に提案されました。虫屋たるもの、諾諾としつつ調査を怠らず、周辺で狙える虫を調べ「じゃあ〇〇も行こう」とその近くの観光地を組み入れる狡猾さを持たねばなりません。
この時期の青森でまず目に付いたのは最近のオダイの記録。さっそく青森の昆虫同行会誌を購入して記録を読む。あるブナ林で何年もオダイを探していた方がある年になって突然多数見つけたとのこと。多産地という訳ではなさそうだ。さらに調査するとトウホクトラも狙えることが分かった。情報をまとめエリアを林道一本に絞り、近くの観光地も押さえる。決まりだ。

決行

幸い青森の義妹夫婦も同行してもらえることに。妻と三人で海鮮丼を食べに行ってもらい、自分は途中で分かれて林道を攻める。予報は晴れだったはずなのに、雨交じりの曇り。最近こんなんばっか。そういうもんだと思ってます。まあ関東の夏枯れよりはマシかな。
林道沿いのノリウツギは半分は散っている状態。小雨の中、花付きのいい株を掬うと、午前のうちに飛来した居残り組なのか、ヨツスジハナやトゲヒゲトラがよく入る。トラが来るならあとは数撃てばいいだろうと掬いまくり。またブドウ蔓も葉が密集した部分を掬いまくり。

ヤマトヨツスジハナカミキリ

ノリウツギから。かなり標高低いけど、さすが青森、ブナも生えている。

アクシデント

ブドウの蔓を強くネットで叩いていたら竿の三段目がバックリ裂けてしまった。あちゃー。2段目まで伸ばして使うか、4〜9段で使い先端が回るに任せるかだ。先週は底のフタが抜けてテープ補修したばかり。ほぼ2シーズン使ったのでまあ寿命かな。ちょうどPROXは新しいモデルが出てたから変え時だ。

ノリウツギ

咲きのよい株、幸い花も低い。

トウホクトラカミキリ★

キターーーーーーー!!!!これだ!
なんか見たことあるようで見たことない斑紋。ブドウをホストとして7末〜8上に見られる独特なトラです。
捕獲後撮影。


後日撮影分


ヤマブドウ枯れ蔓

さらに進むと極上の物件を発見。晴れていればここで生態写真も狙えたでしょうに。ちなみにテープは地元の虫屋さんでしょう。分かりやすい。

移動

その後も掬うも追加は得られず。辛勝だった。妻に合流し海鮮丼を、と思ったけどもう店が終わって青森市内に向かっているという。残念。

ねぶた

レンタカーを返しねぶた見物。かなりの雨で、山車にカバーがかぶせてある。踊る人も大変だ。しかしこんな立体的なものだとは知らなかった。迫力がある。カバーがなければもっと綺麗だった。

トウホクヒメハナカミキリ

翌日は八甲田山ロープウェイを上り、高山ピドニア探し。しかし花があまりない。
ナガバヒメハナの東北バージョンである、これ1匹だけだった。ミチノクとか期待したんだけども。
北緯があるとはえ、1500mではちょっと遅い&標高が足りないのかな。青森は1600mまでしかない。

新幹線

グランクラスなるものに乗ってみた。虫と祭りを満喫しご満悦。

パキタに縁がない

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良い天気!パキタの記録の多いM峠にGO!
スキル「標高差500m以下疲労無効化」発動!一気に山頂へ。エアリアタイム80分を50分で到着。

山頂

なんじゃこりゃあああ
スキル「パキタに縁がない」発動!霧の世界。

下山。その他のメンバーを紹介するぜ!

イガブチヒゲハナカミキリ

コバネカミキリ

シロオビドイカミキリ

八ヶ岳で散々

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背景

この土日は元々、八ヶ岳へピドニア狙いに行く予定でした。前の週の鳳凰遠征でsuzukii, tsukamotoiが見付からなかった場合の二の太刀として。鳳凰では難易度高い方のtsukamotoiを落とせたのでsuzukii単騎となりました。これを見つければ高山性ピドニア御三家、tsukamotoi, suzukii, signataを制覇したことに(難易度順。signataことフイリは上高地と御嶽で撮影済)。2000m以上限定ということだとワルサワダケも入るが、数が多いので除外。
土日天気悪い方でピドニア、良い方でパキタなど狙う予定でしたが台風直撃でピドニア一択に。土曜は家で材の整理などして日曜に出撃。南アか八ヶ岳か、ということになりますが、虫で訪れたことのない八ヶ岳に決定。候補地は3つ。H温泉、S池、M峠。記録の有無は

suzukii tsukamotoi
H
S
M

Hに決定。ここはP.hayakawaiのタイプ産地でもあります。予定としては2100mに車横付けでサクっと。帰りに温泉はいったり。

兵站

新幹線で佐久平、レンタカーで移動片道1時間+悪路30分くらい?
誤算だったのはレンタカーの軽自動車でかなりの悪路をゆっくり走破した後、歩きが一時間あったこと。雨まじりなのでゴム長で歩きます。知ってたら防水性のある登山靴で来てた。マメがむけてしまった。
もう一つの大誤算は鹿害でショウマやセリ、シシウドが全くなかったこと。7月上旬ならナナカマド、中旬はシャクナゲで狙えそうでしたが、下旬が全滅。シャクナゲはそこら中に群生していて、花が散った状態。温泉前にセリが二株だけあり、一週間後に咲きそうな感じだった。時期が微妙。

シャクナゲの花

よく見ると茶色く萎びた花にブービエかアサマが群れています。相当悪い食糧事情の模様。


カクムネヒメハナカミキリ


萎びた花を掬ってみるとカクムネの他にヨコモンやニセフタオビなど。

ブービエヒメハナカミキリ


歩き回って唯一咲き残ったシャクナゲを数輪発見。小雨ながらカクムネなどが群れています。

ホソガタヒメハナカミキリ


ルッキングで黒っぽいの捕獲。ホソガタでした。うーん残念。suzukiiに似てるんだよね。

作戦変更

小雨の中、ブービエ系などは飛来していたのが、午後になると動きもなくなり終了。tsukamotoi狙いでダケカンバの大木があるエリアでビーティングするも、雨だと駄目な模様。ヌルでした。シラフヒゲナガが落ちて驚いた。

ここでのsuzukiiの記録は81-07-19(2exs)となっている。この年に鹿害がどの程度だったか不明だけど、まだシャクナゲが咲残っている時期に、出始めの個体を狙う感じか。厳しそうだ。hayakawaiはナナカマドの季節だろうな。今年岐阜1800mで6末にナナカマドで見つけたし。tsukamotoiの記録は85-07-21。なんとか同時に狙えるかな。
まあハクバ、シナノあたりは来年の夏に天気悪かった場合のカードとして残しておいてもいい。クロヨコモン、ミチノクなんかは登山を伴うので、できればそれなりの好天で狙いたい。
まあただ、ハクバ、シンシュウ、ヒスイ、ホクリクあたりの現行図鑑で「遺伝的に差はない」と書かれている連中は次の図鑑で大幅リストラの可能性もあり、またセスジは細かくなる可能性もある。ミワはどっかで副産物で撮れそうなんで敢えて狙わない。ミセンは長野で狙うのは無理ゲーなんでマホロバと一緒に紀州で狙う。オオミネ、キイは若干時期がずれる。
こんな所で佐渡、粟島以外の近畿以東は全てかな。これに大山のシラユキを加えれば本州制覇。

鳳凰山

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背景

自分の関東甲信エリア未撮影カミキリListにずっと居座り続ける、ホソムネシラホシヒゲナガコバネカミキリ。南ア全域に棲息していると考えられますが、鳳凰山以外での記録は非常に少ない。去年は北岳で狙ったものの雨で不戦負。
やはり鳳凰か、と覚悟を決めました。Genkaさんの採集記(http://tokyoinsects.web.fc2.com/activity2009/houou090726.html)を読んで、いつかは行かねば、と思っていたのです。今シーズン終わる頃には50歳になるので、行くなら40代だな、と。♪49歳の夏だから〜
鳳凰山でのターゲットは三種。

  • ikedai:ホソムネシラホシヒゲナガコバネカミキリ
  • tsukamotoi:タカネヒメハナカミキリ
  • suzukii:シナノヒメハナカミキリ
  • ダメ元でオトメ

去年行った北岳(白根御池)ではこれに加え、ミヤマドウボソ、ワルサワダケヒメハナ、ホクチチビハナ、シンシュウヒメハナ、パキタ、ゼブラをターゲットに加えていましたが、ミヤマドウボソ、ワルサワを撮影。今年になってホクチチビハナ、シンシュウヒメハナをよそで撮影。ターゲットを絞れました。PとZに関してはまたよそで狙う。二日で3つ全部見つかるとは思わないけど、翌週に鈴木・塚本が狙える八ヶ岳に行くバックアッププランを策定済み。この2つに関しては「見つかればもうけもの」というスタンスで挑むことができる。

鈴木 Pidonia (Pidonia) suzukii

池田、塚本に関して詳しくはGenkaさんの採集記を読んで頂くとして、鈴木について。主に南ア、八ヶ岳の1800m以上のエリアに棲息している、黒い部分の多いピドニア。前胸の形状が独特。記載は1982年で、記載論文はなんとか先生退官記念論文集に掲載。科博とかに複写依頼しないと入手できない。また著作権の問題で論文の半分以上は複写できない。まあ記載論文じっくり読まなくても同定には困らない。タイプ産地のデータだけ複写で手に入れた。

塚本 Pidonia (Pidonia) tsukamotoi

1957年に塚本珪一氏により仙丈岳で採集され、20年経った1978年に新種記載されたが、標本が1オス1メスしかないため変異個体ではないかとの疑義もあったという。そして翌年1979年に山梨の八丁平にて再発見される。訪花せず、置いていたビーティングネットについていたり、ピットフォールトラップに入っていたりと、かなり独特の生態を持ち、それが再発見されなかった理由であると思われた。この再発見が1982年に甲虫ニュースに掲載され、1984年には鳳凰小屋でも発見される。たまたま報文が載った月刊むしを持っていたが、それによると干した布団や壁についていたそうな。ちなみに1984年はヤンバルテナガコガネが発見され、その生態からの推測でヒラヤマコブハナがウロにいると分かるなど、レアな甲虫の生態が続々と判明した年であった。その後も鳳凰小屋の細田さんふくめカミキリ猛者たちが生態解明に挑み、月刊むしだけでもNo. 166 190 178 140 217 262 263 202 227に記事がある。去年は八丁平に行ってみたがヌル。http://d.hatena.ne.jp/ita/20170715/p1

池田 Molorchus ikedai

1984年の記載時にはMolorchus minor ikedaiとして記載。つまり主に北海道に棲息するミノールことシラホシヒゲナガコバネカミキリの本土亜種という分類だったが、2007年の東海大学の図鑑では独立種Molorchus ikedaiに昇格。和名命名時は亜種だったので○○+基亜種名とするのが妥当で、そのため日本で二番目に長い和名となった。今ならいっそイケダヒゲナガコバネにしてもいいと思うんだが。最初の記録は南ア両俣(1981年7月19日 池田清彦・山上明・鈴木和利・岩田隆太郎)となっている。ikedaiの池田さん、suzukiiの鈴木さん、iwatai(カスガエゾトラ)の岩田さん。

兵站

韮崎7:10のバスで登山口へ。御座石と青木、どちらへもバスで行けるが、今回は鈴木の記録のある燕頭山を通りたかったので御座石ルートを往復。韮崎で前泊したが、駅前に何もないので甲府で泊まるか野宿するかして、朝JRで移動しても間に合う。甲府駅は登山者用の野宿スペースがあるし、あずさも止まる。電車往復6000円くらい(帰りにあずさ指定とれず普通列車)前泊5000円、バス往復3400円、鳳凰小屋一泊二食8000円。
備品備忘録(一泊):着替え一日、雨具、下界用ビーサンカロリーメイト4箱、水分3L、タブレット(オフライン地図GPS導入)&モバイルバッテリー、ヘッドランプとペンライト、予備電池、採集&撮影用具、ムヒアルファ、地図。命に係わる物以外は省いた軽量装備で、おそらく水込み竿ぬきで10kg以下。9m竿を担いでも登山に支障ないコースだった。

登山者スペック

川苔山に鳩ノ巣から1000m登って降りて特に筋肉痛もない程度。今回は標高差1300m、エアリアタイムは5.5時間。無駄にスイープしながら稜線を歩いたので小屋に着いたら足がつりかけた。

御座石鉱泉(1080m)〜燕頭山(2105m)

御座石ルートは整備されていて特に危ない場所はない。ブナ帯でいい感じの立ち枯れやカツラ巨木なども多いけど登りは見ている余裕なし。水分節約のため鼻で息して口開けず呼吸できるペースを保つ。約三時間で到達。エアリアタイムは三時間半。スズキイ探すも花が少ない。発見できず。ここまででほぼ標高差は稼ぎ終わる。

燕頭山〜稜線

ガスが出てきて涼しくなった。花はほとんど無い。立ち枯れ、倒木は多かったけどガスのためカミキリの雰囲気なし。
2000m越えるといつも高山酔いっぽくなることを思いだし、ためしに口で息してあくびもたくさんしたら大丈夫だった。

稜線〜鳳凰小屋(2380m)

小屋の周辺だけシシウドやセリなど花が非常に多い。後で細田さんに伺った話では鹿を追い払っているからだとか。他の場所ではみんな食べられたらしい。長竿もって宿泊手続きすると、スタッフの方が「虫屋さんですよ〜」と細田さんを呼んでくれました。スズキイを狙ったけど取れなかったこと、イケダイとツカモトイを狙いに来たことを伝えると、イケダイがほぼ終わりだという衝撃の事実を教わる。ガビーン。最近ではだいたい7月中旬くらいがメインのようだ。周辺をしばらく散策。

クモマハナカミキリ

たくさんいる!これは少ないほうのオレンジタイプ。

クモマベニヒカゲ

これもたくさん!というか他の蝶を見てない気がする。もう別世界ですね。

ダブル!!

ワルサワダケヒメハナカミキリ

標高2400m近いのでこれが多い。


ホソムネシラホシヒゲナガコバネカミキリ★

しばらく散策して見つけられなかったが、発生ポイントを教えていただき、なんとか1exだけ発見。危なかった!塚本、鈴木はまだ他にも車横付けで探せる場所があるが、池田はそういう訳にはいかない。
なんでも乾燥したシラビソなどの材を好むそうで、なかなかそういう倒木はフィールドにはない。ピニボラやミノールはカラマツ材が積んであればぶんぶん来るイメージなんだけど。

比較用:北海道のシラホシヒゲナガコバネカミキリ

比較用:ピニボラことオニヒゲナガコバネカミキリ
オニヒゲナガコバネカミキリ

中川「全部同じじゃないですか!?」本田「ちがいますよーっ」両津「これだからしろうとはだめだ!もっとよく見ろ」

  • イケダイ、ミノールはピニボラに比べ上翅の逆ハの字の角度が狭い
  • イケダイはミノールより前胸が細い

さらに散策

細田さんに無事1つ見つけたことを報告。塚本が活動する夕食後に場所を教えて頂けることに。ワクワク。それまでさらに散策。

倒木

枯れ葉付きの割と新しいシラビソ。

ハイイロハナカミキリ

これがいた。更にシロオビドイなどを狙って枯れ枝をビーティングしてみる。

タカネヒメハナカミキリ★

うおおおおおおおおお!
うおおおおおおおおおお!
塚本おおおおおおおおお!
とれてしまったああああああ!

捕獲後撮影。上翅斑紋はオオヒメハナとかキベリクロに似ているが前胸が黒いしサイズが小さい。似たのはいない。

夕食

名物のカレー、おかわり自由。ごちそうさま。「ツカモトイ取れちゃいました!」と写真で報告。喜んでいただけた。夕食後に細田さんのポイントを教えて頂く。なるほどー。薄暮の中、スイープしてみる。しかし気が抜けたせいか、ヌル。

ミヤマルリハムシ

スイープで入る。青い。

細田さんにカミキリのお話を聞く。先週は風に飛ばされたオトメが取れたそう。さらにパキタも。なんと〜。
オトメはハイマツの花にいるんだろうけど、ほぼ特別保護区。でも写真ONLYの自分なら狙えるので明日のターゲット決定。

Day 2

3時頃からご来光狙いの登山者が動き始めて目が覚める。4時過ぎに明るくなったので朝食の5:30まで塚本を狙ってみる。気温が低くても狙えるそう。しかし、やはり気が抜けたせいかヌル。ダケカンバの立ち枯れなんかも見てみるがいない。朝食後、地蔵ピストンで行くと細田さんにお伝えし出発。

観音岳

めっちゃ天気よくてガスもなし。こんなコンディションそうそうない。

ハイマツ

そして花もバッチリ!こんなコンディションそうそうない。7:30くらいから8:00まで同じ群落で張り込み。クビナガムシが2〜3匹。そのうちピドニアも1匹来る。しかしどうなんだろ、こんだけピーカンならオトメは8時でも出てるんじゃないか。他の群落も見るために移動。

北岳

右下の白い点が白根御池小屋。去年はここに泊まり、稜線に出て画面中央くらいまで登った。ハイマツだけになったので頂上は無視して引き返した。

地蔵岳

鳳凰三山の一つに到着。

地蔵岳オベリスク

一番高いのはこの岩の頂点だけど、そこに行くにはザイルワークが必要。行かなくても登頂したとみなされる。手前に写るのはいい感じのハイマツの花。ここに来るまでいくつか咲いているハイマツを見てみたがオトメは見つからず。あとは下るだけなんでこれが最後のハイマツ。しかしここでもオトメ見つからず。そのうちガスってきた。時間は10:00くらいか。


下山

小屋まで下山。昨日のツカモトいた倒木あたりでもう一度探してみたがヌル。
下りでもスズキイを探そうと思い、11:00に下山開始。オーナーとスタッフの方々にご挨拶。今度来るときは電話で虫の状況を聞いてから来なさいとアドバイスをいただく。ありがとうございます。

天然カラマツ

稜線上で立派なテンカラがあることに気が付いた。なんか貫禄あって、「ふぉっふぉっふぉ、よく来たの」とか喋りそう。こういう木が本来の生息環境であるカラマツカミキリが見つかったらうれしいな〜、と探してみる。枯れてない巨木につくカミキリって、なんかロマンじゃないですか〜。

カラマツカミキリ

おおー!いた!


燕頭山

時間は昼過ぎ。数少ない花にはオヤマばっかり。心が折れる
更に下山。登りでは掬わなかったノリウツギを掬うと、次第にオオヒメハナとかニセヨコモンとかニンフとか、お馴染みさんが増えてきてテンション下がる。下りでモモがパンパンだけどミズナラのウロとかカツラ大木なんかも見てみるが発見なし。おまけに標高を下げるとともに気温がグングン上がる。
トロトロと下山し御座石に到着。時間に余裕をみたので17:15のバスまでには一時間ほどある。温泉でコーラ買ったらサービスで桃をいただきました。うまかった。

総括

40代最後の夏に念願の鳳凰山、イケダイ、ツカモトイ。何も付け加えることはございません。

北海道遠征:Day 2-3

Canon EOS Kiss X5+TAMRON SP 90mm VC USD

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Day 2: 勝ちに不思議の勝ちあり

カミキリ人生で五指に入る、「不思議の勝ち」の日でした*1
この日の予報は北海道全域で雨。採集は捨てて明日に向けてロケハン主体で行くと決めました。「今日より明日なんじゃ〜」
まず車中泊ポイントから移動しつつ枝道の林道をいくつかチェック。何本目かで、巨大な土場を発見。トドマツが100本ほど積まれた山が5つくらいありました。ひえー。昨夜晴れてるうちにここを夜回りしてれば。エゾマツっぽいのも少ないけど脇にまとめてあります。うーん。しかし明日晴れたとしても今日これだけ雨が降っていたら材が乾かないと意味ない。千歳までは遠いし。迷うな。次に向かったのは某レアなトラのエリア。去年知人が採集している実績あり。ここでホストに関して若干勘違いをしていて、車でだいぶ流してホストが見つからなかった。でも実際はたぶん一杯あって別の植物だと思っていた。仕方ないので別の林道も流してみる。やはり見つからない。途中でハルニレが十本ほど伐採された場所を発見。粗朶もたくさんある。ヨコグロケシ・チャーンス!雨が上がったばかりなので粗朶の密集したところで雨宿りしてるかなと思いビーティングしようとするも、意外と密集してないし藪漕ぎも必要。あきらめた。
材も花もだめだから、コウノニセリンゴとヨコグロケシ狙いでハルニレやオニグルミの密集した葉(雨宿りできる)や枯れたり萎れた葉を掬うことにした。

謎のモモブトカミキリ

するとこれが入った。広葉樹ならゴマダラモモブトしかないが、昨日ドロノキで見たばかりなので色が違うと分かる。この赤っぽい色はミヤマかナカバヤシだが、雨で濡れているせいかもしれない。ただ、気のせいか触角が長い気がする。だとしたらナカバヤシか。いやいや、ハルニレ掬ってナカバヤシか?ねぇよ。遠くに針葉樹は一応見えるが。その場で画像検索しようとするが電波がこない。とりあえず後回しだ。

ヨコグロケシカミキリ★

葉を掬っていると、ホクチチビハナみたいな小さいカミキリがふわーっと飛ぶのが見えたのでネットイン。肉眼では上翅中央に線が見えてイワサキケブカかと思った。撮影してみると、肩の部分が張り出して茶色い。うーん、すくなくともクリイロチビケブカやホソヒゲケブカでこんなのは見たことない。となると、ヨコグロケシか!これも検索できないので確証はなかったけど、かなり自信はあった。結果、正解であった。やったーーー!南会津などでも7月に採れるけど、なかなかその時期に副産物がなくて行けなかったんだよねー。


ホテルで撮影


祝宴

足寄で豪華な夕食2000円。ここで画像検索しヨコグロケシとナカバヤシ確定。うはー。

移動

雨は上がり、気温も20度ほどある。これはあれだ。Dポイントへ行こう。
灯火が明るい場所に到着。無数の蛾が飛び回っている。こういう状況なら地面にクワガタが何匹か落ちてるはずだが、いない。おかしいな。

ゴンお前だったか!

食べてたんだなテメェ。

そのうち逃げなくなった。気にせず甲虫の飛来を待つ。

ダイコクコガネ メス★

キター!羽音がデカかった。飛翔中をネットイン。10分後にまたメス。

ミヤマクワガタ

これも飛来。

ダイコクコガネ オス★

大きく見えたのでクワガタだと思ったが、ネットの中を見て狂喜!うおおおお、カッチョエエエエ!


移動

大満足。撮影のためホテルを急遽おさえて宿泊。

ナカバヤシモモブトカミキリ★

いやー、いいですなあ、この触角と色合い。しかし東京で三回ほど挑戦しヌルだったけど、こんな出会いがあるとはね。

これは自宅で撮影。松樹皮を後食したり産卵したりするかと観察したがどちらもせず。


Day 3

この日は有名な札幌の円山へ行こうと楽しみにしていた。網使わず撮影のみになるけど。しかし朝7時に雨雲予想を見ると、昼頃に見事にギリギリ札幌を直撃している。その後晴れたとしても立ち枯れが濡れてはどうしょうもない。色々検討し、札幌からさらに南へ行き雨雲を避けることにした。
現地についてみると、なかなかいい植生。

エゾマイマイカブリ

立ち枯れで発見。藪に突進し確保。きれいだわー。

道路を疾走するのを追って撮影。

立ち枯れエリア

ある原因のため、立ち枯れの巨木が多い。こんなミズナラ巨木半枯れも。近づいてみると踏み跡がある。なるほど。なんの事前情報もなく来てみたが、虫屋の嗅覚は機能していたようだ。しかし虫がこない。枯れ方の問題で菌が違うのか。

ジュウニキボシカミキリ

地上3mに葉があるという、常識では考えられないハリギリがあり、掬ってみると入った。いや普通は20mくらいの高さで、林縁で6mとかそんなもんだよ。

時間切れ

狙い通り、快晴が続いてヘバるくらい暑い。アオダモっぽいのを掬ってオブリウム狙ったり、クルミでコウノニセリンゴ狙ったり、柳の倒木を見たりしたけど収穫なし。二時くらいに撤収。飛行機は千歳で18:30。
雨の日に自己初の難物2落として、晴れの日に何も落ちないか。分からないもんだ。いろいろタラレバはあるけども、ちょっと虻蜂取らずの感がある今回の遠征であった。
にしても、北海道特産種を楽しんで修羅の道から離れるつもりだったのに、本州の難物を落とすことになるとは。「所詮、血塗られた道か。」そういえば北海道で北海道にいないはずのカラマツカミキリ見つけたこともあったな。

ラギウム幼虫

おまけ。ちょっと表面がしなびてきている気がする。元気はあるのでそろそろ蛹化?

*1:他はヤツボシ、ヒトオビチビ、ピックチビコブ

北海道遠征:Day 1

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背景

最近、関東甲信越で自己初カミキリを見つけるのが修羅の道となっております。昔はラミーカミキリコンデジで撮影して幸せだったのに。難物ターゲットそれぞれに対し、知力を尽くして作戦を立案し、体力の限りを尽くして探す。そして見つかったり見つからなかったり。勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。ヌルだった時は自分に何が足りなかったかを考える。最悪なのは後追いポイントでヌルだった場合。この場合、時期やコンディションの選択を誤ったか、現地での探索能力が劣っていたかしか理由がない。新規開拓なら、いなかったというのも一つの情報にはなる。そんな求道者のようなことを何でやってるんだろうね趣味なのに。
というわけで北の大地でリフレッシュ、ウハウハするぜー!
兵站:飛行機ジェットスター4.5万、竿預け0.4万、成田前泊0.8万、軽自動車三日3万、移動1060km ガス0.8万 ETC 0.8万、車中一泊、ホテル一泊0.9万。成田で前泊し朝6:05の飛行機で7:30千歳着。8時から移動、昼前に大雪山周辺着。旭川便にしろよ、って話ですが直前で空いてなく、天気も微妙で札幌と大雪の天気いい方へ行く作戦だったので。

クロハナカミキリ

天気は晴れ。セリなどに虫がブンブンきてます。カミキリもたくさん。以下の4種が優占。

ルリハナカミキリ

モモブトハナカミキリ

ヤツボシハナカミキリ

ホクチチビハナカミキリ★

やったね。本州ではあまり見つからないが北海道ではたくさん。

ハンゴンソウ?の上で大パーティ


林道、雪

標高上げると、まだ雪があります。このため上はガスガスです。

ショウマ

たくさん咲いているけど濡れている。居残りチェック

クビボソハナカミキリ★

いえーい、濡れて寒く動けません。試しに掬ってみたら落ちない。こりゃルッキングしかないな。

別個体。



移動

新規飛来がないので別のポイントへ移動。しかし花を見つけられず、引き返し途中の河川敷を攻めることに。

オオイチモンジ

お、これがいるということはドロノキがあるんだな。(逆だろ)




ドロノキ

ヤマナラシモモブトを探します。しかし若干新しいかな。

トホシカミキリ

なにかポロっと落ちた。よく探すと、やはりこっちか。
上高地で撮影しまくった時は、もっと黄色みが強かった気がしたが、思い出補正だったようで、これも十分色味が強い。奥日光なんかは灰色になる。


産卵加工。右は出てきた後の木くずだと思う。

移動

温泉に入るため移動。途中で倒木をたくさん発見。

シラビソ?

訂正:北海道ではトドマツ、それが本州で分化したのがシラビソのようです

シラフヨツボシヒゲナガカミキリ

ヒゲナガ寒冷地仕様

エゾマツ?

お、これはシラビソより期待できるぞ。

カラフトモモブトカミキリ★

おおー。自己初3つめ。白い帯が太くまっすぐ。ヒゲナガモモブトは「W」のようになります。


夜回り?

温泉に入ってから、この倒木で夜回りしようと思ってたら暗くて見つけられず。間抜け。そのまま漆黒の闇に包まれ車中泊。ほんとの真っ暗だと、人間良く眠れますね。2-3日目に続く。

北富士ピドニア探索

Canon EOS Kiss X5+TAMRON SP 90mm VC USD

  • ストロボ:絞り優先モードF11〜F13、露光1/200固定、ストロボ+2、ケンコー影とり、ISO-AUTO
  • 自然光:マニュアルモードでF8〜F16、露光1/125〜1/1000、ISO-AUTO

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あまり面白いピドニアいなかった、という報告です。
標高2000以上に行くと妙なピドニアがいる、ということがよくあり、自分でも経験して来ました。北アの色の薄いムネアカヨコモン、南アの赤っぽいオヤマメス、御嶽山の微妙なヤノ系など。あとどこかないかなと探し、八ヶ岳はかなり調べられているので北富士に行ってみました。7/10からスバルラインもスカイラインもマイカー規制なので駆け込み。
ただ、他の山と違い富士山は種分化の時間スケールで見ると非常に若い山(なだらかな山容もそのため。100万年もすれば富士山も峻険な山になるはず)。氷河期の生き残りが2000m帯にいるという状況ではなく、普通ならいるはずのニセフタオビがいないとか、ムネアカクロハナが2200mにいたりとか、ちょっと違います。しかしフジヒメハナ、フジドイなど妙な名物もいくつかいるのが不思議な所。以前8月上旬に富士五合目に行った時は、シャクナゲが終わっていましたが、オンタデにわんさとカミキリがいて、キイロトラが全部白タイプだったりとか、ちょっと面白かったのでシャクナゲが咲いてるだろうこの時期に来てみました。
結果からいうと、つまらんかった。普通のしかいない。変な個体変異もなし。
ホソガタ、ヨコモン系、オヤマ、ナガバ、フタオビが多い。たまにブービエorカクムネ。フジもこっちで記録あるが発見できず。

オンタデ、シャクナゲは奥庭で咲かけ、五合目ではまだ。五合目はナナカマドが多く一本だけ咲き残り。しかし掬わないと見えないし奥庭以上は特別保護地区で掬えないのでダメ。シャクナゲやオンタデは生態写真が狙える。

四号目でショウマが多かったので掬ってみる。三号目はシナノキが満開。


オンタデ

富士山

ヒメハナカミキリsp

ナガバヒメハナカミキリ

オヤマヒメハナカミキリ

ヒメハナカミキリsp

ホソガタヒメハナカミキリ

キベリクロヒメハナカミキリ

カラフトヒゲナガカミキリ

下のほうで葉が緑の松倒木をビーティング。ヒメシラオビは落ちず。