2+2次元

Dichronauts

Dichronauts

3+1次元に限界を感じ、5+1次元とか4+0次元でSFを書きはじめたイーガンさんですが、今度は2+2次元です。
前にも書きましたが timelikeな方向が二つあるからといって、時間が流れるのは一方向です。残りの一つは計量が負の変な空間方向となります。
作品中では南北方向がそれに対応するため、主人公たちは南北を向けないとか、生まれた時から顔が西向きか東向きかのどっちか、とか、かなり変な世界です。こんな世界で物質が存在できるのか。ちょっと初歩的な計算実験をしてみました。LJポテンシャルを使い、100個の粒子が互いに距離1程度の位置にいようとする系を考えます。
我々の世界では二次元だと以下の様に三角格子になります。

ここで距離の定義を変えてsqrt(|X^2-Y^2|)として同じ計算をしたのが以下:青と緑の線はX^2-Y^2の符号の違い。こうした集団がアボガドロ数まで拡張できるかは不明。
斜め方向に他の粒子が来てはいけないので、Nクィーン問題のようになります。http://www.info.kanagawa-u.ac.jp/~hatori/study/yousi2003-3.htm

これら粒子の相互の距離を不変に保ちつつ回転させるには、ローレンツ変換で変形させる必要があります。南北にカニ歩きしてる時に躓いて転ぶと身長が何倍にもなりリます。


そういえば以下の本に解説を書きました。あと6月に出る「白熱光」文庫本と電子版にも解説が載る予定。