線形演算子

http://q.hatena.ne.jp/1216799315

(d/dt + g(t))^{-1}とかって解析的に書けましたっけ?

追記

演算子d/dt=Tと置く。また関数f(t)を関数g(t)f(t)に変換する線形変換を、関数g(t)と区別するためM[g]とおく。イメージ的には行列の対角要素に値g(t)を並べた感じ。そして線形演算子(T+M[g])の逆変換を求める。

g(t)を積分したものをG(t)とおく。TG=g あるいはG=T^{-1}g
ふたつの関数 a,b について、 T(ab)= T(a) b+a T(b)。これをbに作用する演算子に直すと、左辺はaを掛けてから微分なので T M[a] b。右辺はaを微分したものをかける+微分してからaをかけるので、M[Ta]b+ M[a]T b と書ける。したがって T M[a]= M[Ta]+M[a]T 。すなわち T M[a] - M[a] T = M[Ta]。T と Mは交換しないが、その差を表す式となっている。

さらにM[a]について、exp M[a]を
\sum_n \frac{M[a]^n}{n!}
と定義する。これはM[exp(a(t))]に等しい。そして\exp(-M[G]) T^{-1} \exp(M[G]) がT+M[g]の逆変換であることを示す。

\exp(-M[G]) T^{-1} \exp(M[G]) (T+M[TG])=1であることを示す。
まず\exp(-M[G]) T^{-1} \exp(M[G]) Tを計算。
\exp(M[G]) T = \sum_n \frac{M[G]^n}{n!} T。ここで簡単のためM[G]=Xとおき、X^n T のTを交換則を使って順次左側に移動させる。M[G]T = T M[G] -M[TG]より、M[TG]をYとおくと XT = TX -Y、そしてXとYは交換する。例えばn=3の場合は
XXXT = XX(TX-Y) = X(XT)X-XXY =X(TX-Y)X-XXY=(XT)XX-XXY-XXY = (TX-Y)XX-XXY-XXY=TXXX-3XXY
一般に X^n T = T X^n - n X^{n-1}Yなので、
\sum_n \frac{X^n T}{n!} = \sum_n \frac{T X^n}{n!} - Y\frac{X^{n-1}}{(n-1)!} = T \exp X - Y \exp X = (T-Y) \exp X
したがって\exp -X T^{-1} \exp X T = \exp -X T^{-1} (T-Y) \exp X = 1 - \exp -X T^{-1}Y\exp X
次に\exp(-M[G]) T^{-1} \exp(M[G]) M[TG] = \exp(-X) T^{-1} \exp(X) Yを計算。exp(X)とYは交換するから、これは\exp(-X) T^{-1}Y\exp(X)。これと上の結果をあわせると、
\exp(-X) T^{-1}\exp(X) (T+M[g])=1となり、題意が示せる。