タイムトンネルの物理

拡散方程式

というわけで、タイムトンネルがある場合の拡散方程式の固有解を求めてみます。長さLの一次元系があり、両端が時間Tだけずれてつながっています。拡散方程式は\Large \frac{d}{dt}f(x,t)=\frac{\partial}{\partial x}^2 f(x,t)。時間微分が自分自身の定数倍になる固有解は普通の場合\Large \exp(a x+ a^2 t)という形になる。普通の周期系なら\Large f(x+L,t)=f(x,t)という条件から\Large aL=2n\pi iつまり\Large a=2in\pi/Lとなる。nは整数。tの係数は\Large a^2=-4n^2\pi^2/L^2で、\Large n \neq 0なら常に負の実数なので、濃淡に波があるような状態は波長が短いほど速く減衰していく。Tが0でないと、\Large f(x+L,t+T)=f(x,t)から\Large aL+a^2T=2n\pi iを解く。このとき二つのaの解のどちらかでつねに\Large a^2の実部がプラスになる。したがって濃度が発散する。n=0のモードも発散するのがある。右の濃度が低くてどんどん右に流れるが右端は過去の左端につながっていて過去の濃度を増やす。

シュレディンガー方程式バージョン

係数を全部1にしちゃうと方程式は\Large i\frac{d}{dt}f=\frac{\partial}{\partial x}^2 f
他にも解があるかもしれないけど、とりあえず\Large f=\exp(iax+ia^2t)とおくと、\Large i(Ta^2+La)=2n\pi i。つまり\Large a =\frac{-L \pm \sqrt{L^2+8T\pi n}}{2T}\Large n \gt -L^2/8T\piのときaは実数なのでtの係数\Large ia^2虚数で、このときは普通の平面波。そうでないとtの係数に正負の実数成分が出て減衰したり発散したり。過去に戻る方向に波が進むとおかしくなる模様。そもそもエネルギー固有値a^2が複素数になる解に意味があるのか不明。

ディラック方程式バージョン

普通の周期境界でも特定の座標系を特別扱いすることになるので変になる。別の座標系で見れば時間がズレてつながって見えるから。また双子のパラドクスが本当に生じる(正確には双子を区別できるのでパラドクスではない)。

とりあえずy,z方向には変化しないとすると

  • \Large \Psi_1 + i\frac{\partial}{\partial x}\Psi_4 = i \frac{\partial}{\partial t}\Psi_1 ・・・(1)
  • \Large -\Psi_4 + i\frac{\partial}{\partial x}\Psi_1 = i \frac{\partial}{\partial t}\Psi_4 ・・・(2)
  • \Large \Psi_2 + i\frac{\partial}{\partial x}\Psi_3 = i \frac{\partial}{\partial t}\Psi_2
  • \Large -\Psi_3 + i\frac{\partial}{\partial x}\Psi_2 = i \frac{\partial}{\partial t}\Psi_3

\Large \Psi_i=A_i \exp(iax+ibt)とおく。(b,a,0,0)は4-vector\Large b^2-a^2=1。(1)と(2)を連立させてA1, A4 を解くと、両方0という解以外に解があるためには係数行列の行列式が0である必要がある。ここから\Large b^2-a^2=1という条件が出てくる。 \Large aL+bT=2n\piとするとa,b空間で図をかけば、\Large L/T \gt 1の時は必ずa,b共に実数の解がある。\Large L/T \lt 1 の時は複素数の解になる場合がある。\Large L/T = 1 の場合は1つしか解が無い。
\Large L/T \gt 1の場合は宇宙の長さが2光年で、右端まで行くと1年前の左端に戻るような場合。光速で飛んでも過去の自分に会うことはできないので、変なことはおこらない。逆に\Large L/T \lt 1 だとそれが可能になる。それでa,bが複素数の解も出てきて発散する。
きちんと書くと\Large b=\frac{-2n\pi T \pm L\sqrt{4n^2\pi^2+L^2-T^2}}{L^2-T^2}

追記

前野さんのコメントの話はこれかな?