プランク・ダイヴの人たちは何が知りたいのか

プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)

プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)

大学で量子力学が出てくると、天下りシュレディンガー方程式がでてきて、とにかくこれで計算すればいろいろ合うんじゃー!と叩き込まれるわけですが、「なんで?」と聞いちゃいけないのが量子力学。なぜなら「なんで?」の答えは誰も知らないから。
それでファインマンはもうちょっと深く考えて、ある点から別の点へ粒子が移る確率はそのあらゆる経路を考えて、それぞれの経路にexp(iθ)という複素数のウェイト(フェーズ)をかけて足し合わせることでシュレディンガー方程式と同じ結果が出る、ということを見つけました。話を単純化すると、θは一定の割り合で時間とともに増え続けるけど、じゃあなんでそうなるのか、となるといよいよもって誰も知りません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E8%B7%AF%E7%A9%8D%E5%88%86
余談ですがある時ファインマンは風呂でアリの歩いた後を色鉛筆でマークして、だんだん歩いたアリが多くなってくるとフェロモンで道が出来て線が束になってくるのを観察したそうです。それが経路積分の発想につながったのかどうかは知りません。http://www.mathpages.com/home/kmath320/kmath320.htm

で、プランク・ダイヴの世界では時空を極限まで拡大すると布のように織り目があって、その糸を横切ることで時間が最小単位だけ経過する、というモデルが宇宙論において大成功したという設定になってます。しかしそのモデルの帰結はあらゆる場面で実験と一致するけど、実際にそういう織り目を調べるにはブラックホールに入らないと実験できない、という話です。

納得という話に戻ると、古典力学の世界に最適化された人間の脳で直感的に理解する、ということ自体にどれほどの意義があるのか、いやないだろ理解するの無理、てことで自分は納得してますが。http://www.ted.com/talks/richard_dawkins_on_our_queer_universe.html

おまけ:「リア王」のコーデリアは、口当たりのいいことばかり父の王に言って取り入ろうとする姉たちと反対に、真剣に父のことを考えて厳しいことを言って怒りを買い結局死刑になってしまう。