テッド・チャンあなたの人生の物語』 ISBN:4150114587 【アマゾン】, 早川文庫SF

某所のテッド・チャン・スレに書き込めないのでここでツッコミ。
>430 0で割る

あー分かる分かる、他人には絶対に理解してもらえないというその気持ち、俺も経験ある……って他人って俺じゃん! て感じですかね。これが「強力あるがゆえに証明できない命題がある」という第一不完全性定理とか、「無矛盾であるがゆえに無矛盾性を証明できない」という第二不完全性定理につながるんですな。どちらかっつーと第二がテーマみたいに思えるけど。ゲーデルエッシャー・バッハって第一がメインだったっけな?

>424 あなたの人生の物語

古点力学では最小作用の原理ニュートン方程式も等価で、どちらが決定論でどちらが自由意志、ってのはないですな。ニュートン方程式だと、ある時点での位置と速さから、あらゆる過去と未来における位置を決定できる。最小作用の原理だと、ある二つの時刻における位置から、その間の任意の時間の位置を決定できる。もともとどちらも決定論だけど、それは理想化した話。人間の場合はニュートン方程式っぽく世界を認識してて、数秒程度なら物体の位置を予測して、たとえば人込みの中を歩くことができるけど、それ以上は無理。で、こういう現在までの情報を元にしてすこし未来の状況を予測し行動する、ってのは生物の行動制御のパラダイムとしてはかなり普遍的である気がする。そうではないヘプタポッドのようなのはどうやって進化してきたのか想像もつかない。他の生物もみんな七本足で対称な形をしてて、簡単にいきなり進行方向を変えることができるとすれば位置と速度から予測することが難しいので、あるいはありうるかもしれない。しかし、とにかく神経系は刻々入力される情報から常に行動を決定しつづけて体を動かしていかないといけないんで、ニュートン方程式っぽくならざるを得ない。生物にとっては時間発展の方程式の方が圧倒的になじむ。最小作用の原理の方がなじむのは時間も物理変数になってしまう相対論とか重力理論の場合。