さーて来週のイーガンさんは

Incandescence

Incandescence

来週はグレッグ・イーガンの新刊 Incandescence が発売なわけですが、解説ページを読むと作中で登場人物たちが自分の世界の物理法則をいろいろ考えてるようですね。なかなか手強そうだ。
http://gregegan.customer.netspace.net.au/INCANDESCENCE/Orbits/OrbitsDetailed.html
今回はでも量子力学は絡んでないようなので Schild's Ladder とかよりは楽かも。どちらかというとプランク・ダイヴと同じ数理ネタ。一言でいえば、何かの周りを公転している中空の物体の中に暮らす人の感じる力について。その物体の重心位置にいれば一緒に動くので力は働かないけど、すこしズレると力がはたらく。これが進行方向、外側、上側で微妙に違う。たぶん大学入試、Z会PAレベル。
ニュートン力学だと一番単純だけど、ブラックホールの周りだと相対論効果ですこし違ってくる。さらに球対称なシュワルツシルト解と円対称なカー解でまた微妙に違うんだそうで。
とはいえ、Locusのレビューだと「数学わかんなくても面白いよ」だそうで。ディアスポラと同じですね。ステープルドンを引合に出されるのも同じ。
http://www.locusmag.com/Features/2008/04/locus-magazines-russell-letson-reviews.html

ニュートン力学でもいろいろ遊べそう。宇宙ステーションへのドッキングとかまさにこの問題だし。近づこうと速度を上げると軌道の外側へずれる力も働く。さらに楕円軌道とかだともっと複雑になりそう。

ニュートン力学の場合、軌道半径をR,周回する星の質量をM,重力定数をG, そしてA=G*M/(R*R*R)とおき、進行方向をy, 軌道外側をx, 軌道面に垂直な方向をzとすれば物体の運動は

 //加速度
 double ax = 3*A*x + 2*sqrt(A)*vy;
 double ay = -2*sqrt(A)*vx;
 double az = -A*z;
 // キー入力に応じてロケット噴射の加速度を足す
 ax += ...
 ay += ...
 az += ...

 x += DT*vx;
 y += DT*vy;
 z += DT*vz;

 vx += DT*ax;
 vy += DT*ay;
 vz += DT*az;

となる。これで誰かブラウザでできるドッキングゲーム作って!成功したらムーンクレスタの♪ちゃっちゃらぴらぴらちゃっちゃららーというSEを流せばベストw
ん、アーサー・C・クラークの「メールシュトレームII」にあてはめて考えたが、あてはまらない。上の速度に比例した加速度は、公転と同じ周期で回転し月に恒に同じ側を見せている場合のコリオリ力だけど、かならずそういう向きになってなくてもいい。上の式は線形近似なんで、高次の項が必要なのかも。初期条件x=y=z=0, vy=vz=0, vx=1 でどうなるか考えてみよう。いやまてよ、あの設定では円軌道はありえない。楕円だ。ちゃんと極座標ラグランジアン書いて計算だ。