前野[いろもの物理学者]昌弘さんの日記1/8、4、5すくみジャンケンについて、不敗戦略をミニマックスの考え方にもとづいて計算しました。普通のジャンケンでは1/3づつの確率で出すのが最も「クセのない」戦略で、そうでない「クセのある」戦略はつけこまれて損をするので1/3づつの確率で出すのが負けない無難な戦略なのですが、ルールが複雑だと、どういうのが「クセのない」戦略か自明ではないです。
まず自分は p1,p2,.. pn の確率で手を出し、相手は q1,q2,..qnの確率で出すとします。piを固定して、あらゆる qi のなかで最も自分が損をする qiを求めます。一次式なので最小値は常に「どれかのqi=1,それ以外=0」 という点でおこります。よって n 個の点のうちのどれかになります。単純な一次不等式だけど変数が多いといわゆる「線形計画法」の問題となり、手で解くのは面倒です。で、この最低の利得を最大にするような pi がベストの戦略となります。手で計算するのは面倒なのでランダムサンプリングをするプログラムを使って計算しました。その結果、勝率の高い上位三つの手を1/3づつの確率で出すのが、どうも最適な戦略のようです。たしかにこれだと相手がどんな出し方をしても期待値は0以下になることはなく、不敗戦略になってます。てことは日本のジャンケンは一番進化した形態、ってことなんでしょうか。昔の人はノイマンミニマックスを経験的に導き出したのかな。



追記:正確に書くと5すくみは板、水、ピストルを1/3づつ、4すくみははさみ、紙、井戸を1/3づつ出すのが不敗戦略の一つになります。他にも解があるかもしれません。

追記:王様はグーチョキパーに勝つけど乞食に負ける、乞食はグーチョキパーに負けるけど王様に勝つ、というルールだと5つ全部出さないといけないようです。これだと、王様、庶民、乞食の三すくみで勝負し、庶民と庶民であいこの時はグーチョキパーでもう一回勝負する、というのと等価になるので、不敗戦略は王様と乞食を1/3づつ、グーチョキパーを1/9づつ、になります。

追記:全部 1/5 づつ出すとミニマックスになるルールもあり。