16章

「1/4の円弧」

降着円盤を遠くから見た場合に重力で歪んでどう見えるか、というのは天文学の分野で重要なので色々計算されているようですが、この章でのように至近距離で見た場合というのは計算例を見つけられませんでした。観察者自身の周囲の時空も相当湾曲しているので、簡単ではありません。
時空の歪みがなければ、例えば土星の輪を、輪の少し上に浮かんだ岩の上で観察すると、自分より内側にある輪が地平線の少し上に軌道前方から軌道内側まで、土星本星に隠れるまで見えることになります。軌道後方につても同様。
歪みによってこれが地平線のはるか上にあるように見えて、かつ軌道前方の半分しか見えないということになれば作中の描写と一致します。自分でいろいろ計算してみましたが、まだ一致する結果を得られていません(軌道前方後方の両方が見えてしまう)。