潜水空母で米本土を爆撃せよ

仮想戦記のような話ですが知る人ぞ知る実際にあった計画。

Operation Storm: Japan's Top Secret Submarines and Its Plan to Change the Course of World War II

作者: John Geoghegan
出版社/メーカー: Crown
発売日: 2013/03/19
メディア: ハードカバー
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潜水艦に折りたたんだ爆撃機を格納し、太平洋を補給なしで横断し米本土の都市を爆撃。山本五十六が米国を講和交渉につかせることを目的として米国民に厭戦ムードを広めることを考えて計画した一手でした。そのため開発されたのが伊４０１と晴嵐。
テーマ自体が面白いことに加え、著者の徹底したリサーチ（全て廃棄されたと思われていた伊４０１設計図を発見しさえしている）と、読ませる文章でグイグイ読者を引っ張ります。米アマゾンでレビュー82件の平均点が4.5点。
終戦から二週間たったある日、太平洋上をパトロールしていた米潜水艦のレーダーに謎の反応が。それは米潜の３倍はあろうかという巨大な潜水艦、伊４０１であった。一方伊４０１の艦上では、降伏か、自沈か、と緊迫した状況だった。艦長と艦隊司令部の司令官が同乗していたが、これは丁度八甲田山死の行軍で全滅したほうのパーティのような状況。部下の信頼の厚い艦長と、かつて上層部の意向ながら撃沈した商船の乗員を虐殺した司令官。どうなる！
場面変わって連合艦隊旗艦、長門艦上。山本長官と黒島参謀らが真珠湾の次の一手を論じていた。そこで「特潜」計画が生まれる。
場面変わって1941年クリスマス、カリフォルニア沖。浮上した伊17の潜望鏡に写ったのは煌々とした街の明かりだった。伊17の任務は石油精製所を砲撃し米本土も安全ではないと米国民に知らしめること。映画「１９４１」の元になった事件が描かれる。
次の章では、世界各国で歴史に現れては消えていった、潜水艦に飛行機を載せて偵察や攻撃に使うというアイディアがすべてまとめられている。誰もが思いつくが、実際やってみると困難が多い。伊４０１を実現するためには様々な課題を克服する必要があった。その前段として、潜水艦に搭載した水上機で再び米本土を攻撃する計画が実行される。赤レンガに呼び出された一介のパイロット藤田信雄兵曹長は部屋に高松宮宣仁親王が同席しているのを見て事の重大さを悟る。そこで告げられた任務はオレゴンの森林に焼夷弾を落とすというものだった！参考：http://www.usni.org/magazines/proceedings/1961-06/i-bombed-usa
戦局は推移し、革新的な主翼折りたたみ機構などを取り入れた晴嵐の初飛行が成功するが、計画立案者であった山本長官はブーゲンビルで戦死、軍令部内で中止派が勢い付く中、黒島参謀は根回し工作に奔走。
また将来伊４０１艦長になる南部伸清少佐はソロモンで「もぐら輸送」を命じられ憤慨していた・・・
こんな感じでまだ全体の1/4ほどでしょうか。Kindle版もあります。

ついでに、米アマゾンで平均4.5点以上でKindleで読める日本海軍関連の本をリストしときましょう。