★カンボウトラカミキリ★ハラアカコブカミキリ★ツシマムツボシタマムシ他@対馬

Canon EOS Kiss X5+Tamron SP AF90+テレプラスMC4 DGX

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カンボウトラカミキリ

対馬の昆虫を意識し始めたきっかけは、やはりツシマヘリビロトゲハムシでしょうか。「月間むし」の記事を読んでホストや発生時期などの情報を入手し、いつか見に行けたらと思っていました(実際には相当難しいようですが)
今年の3月には南西諸島でのカミキリ探しを検討したことがあって(行きませんでしたが)、その時にweblioサイトのカミキリデータをまとめて生息地をエクセルデータにし、沖縄各島、奄美屋久種子島、小笠原、伊豆諸島、対馬などについて特産種や複数のエリアに分布する種類の数を調べました。そこで対馬の固有種or固有亜種の多さが目を引きました(さすがに石垣島とかに比べると少ないですが)。
まとめると以下のようになります。(将来亜種が抹消されたり独立種に格上げされたり変動の可能性はあります。実際ゴマフは亜種から地域変異に格下げ、ムネアカメダカは独立種ルリメダカから亜種へ格下げされた経緯あり)

特産種(2〜3都道府県のみ分布を含む)

  • ツシマヒメハナ、ツシマサビ(岡山、五島列島)、ツシマケシ、ツシマゴマフチビ、ツシマハネナシサビ
  • ヨスジアオ(大陸) ハラアカコブ(大陸) ニセハイイロハナ(朝鮮半島) 、ミスジヒメハナ (大陸) ツシマホソキリンゴ(大陸)、チョウセンシロ(大陸) 、ヤツボシシロ(大陸、長野)

特産亜種(2〜3都道府県のみ分布を含む)

  • アオバホソハナ(大陸)、カンボウトラ(大陸)、ムネアカメダカ(大陸、京都など)
  • チャイロヒメハナ、コゲチャヒラタ、ヨツスジハナ、アメイロ、キクスイモドキ、ドウボソ、ニイジマチビ、ナカジロサビ、コブヤハズ、セダカコブヤハズ、ニセビロウド、ビロウド

地域変異

ゴマフ、クスベニ

その他の昆虫ではクワガタ各種、ツシマカブリモドキヒメダイコクコガネなどが有名どころです。
対馬の昆虫といえば、yohboさんの「対馬の昆虫館」。魅力的な特産昆虫もさることながら写真も素晴らしく、現地で実物を見たいという気持ちが高まります。ただし、既にこれほどいい写真が撮られてるんで今更自分が撮っても、という気持ちも若干なきしもあらず。
blogを熟読して各昆虫の発生時期などを把握。特に自分的重点課題であるサペルディーニのとある種が今が旬であること、トゲハムシも活動期であること、などで渡航を決めました。ただしハムシに関してはホストを見つけるのも大変らしいので、二日間だけの探索ではカミキリメインで偶然ホストを見つけたら探すというスタンスで。
某サペルの情報を天牛通信XXで入手、フラッシュの使用など撮影する場合のコツ(光沢系は色が飛んだりするので。フチグロヤツボシで経験)をyohboさんにお尋ねしたところ快く教えて下さり、環境に関するアドバイス等もいただきました。

対馬には昼前に到着。レンタカーを借りてまずはサペルのエリアへ。途中、道端のハナウドをチェックすると

フタイロカミキリモドキ★

緑色っぽくて綺麗だなー。しかし、二日間花を探していると、どこでもウジャウジャいました。
フタイロカミキリモドキ

エリア到着

歩き回っていると土場発見。カミキリが湧いています!第一目標を忘れて夢中で探索。
一番目立つのはハラアカコブ。またキイロトラ、エグリトラが大量。材によってはシラケトラ、ヒメクトロラ、トゲヒゲトラ、クビアカトラ、ホタルも大量。夕方はミドリが多数飛来。タマムシはムツボシorツシマムツボシ、クロナガの胸赤タイプ、ホソアシの黒タイプなどが多数。振り返ってみると普通種が多いですが、やはり湧いてるのを見ると冷静な判断ができなくなるようです。結局こちらで時間を使ってしまい第一目標は未達。

ハラアカコブカミキリ★

対馬固有種だったけど最近は島根あたりまで拡散してる模様。多いです。ごっつい割に、大きな羽音を立てて飛びます。
ハラアカコブカミキリ
ハラアカコブカミキリ
ハラアカコブカミキリ
ハラアカコブカミキリ
ハラアカコブカミキリ

ゴマフカミキリ 対馬タイプ

前胸背板の紋が4つ明確になるのが対馬産の特徴だそうです
ゴマフカミキリ 対馬タイプ

比較用:本土産

Mesosa japonica ゴマフカミキリ

ツシマムツボシタマムシ★ 4星

タダムツが前胸背板の後半1/4で幅が最大になるのに対し、ツシマは前方へわずかに広がるとのこと(保育社の図鑑)。また4星タイプが混ざるのも特徴。
ツシマムツボシタマムシ4星

ツシマムツボシタマムシ 6星

ツシマムツボシタマムシ6星
宿に持ち帰って撮った写真

ツシマムツボシタマムシ6星

比較画像

ツシマ「上翅の縦隆脈は4本で完全、隆起は弱い」「前胸背板は矩形、前方にやや広がる」

タダムツ「上翅の縦隆脈は完全、基部で微弱」「前胸背板は後方1/4で最広、前方に向け僅かに狭まり側縁は中央部でやや波曲かまっすぐ」「上翅点刻は粗大、多少融合し横皺状」

ホソアシナガタマムシ

東京では青みが若干あるけど、ここのはないみたい。
ホソアシナガタマムシ?
他にクロナガタマも多い。見たのは全て胸が赤いタイプ。これは寒冷地の特徴だそう(保育社図鑑)。

ベニナガタマムシ

記録用。これがいるということはケヤキ材があった?なかった気がするんだけどな。
ベニナガタマムシ

ミドリカミキリ

以下、特産でない常連さんら
ミドリカミキリ

クビアカトラカミキリ

クビアカトラカミキリ

シラケトラカミキリ

シラケトラカミキリ

トビイロカミキリ

アメイロだと対馬亜種でしたが、これは普通。トゲヒゲトビイロでもないし。惜しい。
トビイロカミキリ

ガロアヒメナガシンクイ★

面白い形!でも全国に分布だそうで
ガロアヒメナガシンクイ
ガロアヒメナガシンクイ

シマゲンゴロウ

突然飛んできて路上に落ちた!特産種じゃないようだけど、ゲンゴロウ自体ひさびさ!
シマゲンゴロウ
シマゲンゴロウ



移動

島の北端付近へ移動。宿は上県町の原旅館。外見は古そうですが部屋、トイレ、シャワーはとても新しく快適、Wifiも使えます(パスワードを聞いておきましょう)。一泊5000円。
で、これは自分のミスですが、食事は外でどうにでもなるだろうと素泊まりにしたけど食べる場所が(あったかもしれないけど)見つからず。事前に調べるか食事付きに出来るか聞いとくべきでした。まあ面倒なので沢山持参したカロリーメイトで満腹。(遠征の時は時間節約のためカロメなんで翌日の朝、昼と都合三食カロメw)
荷物を置いて再出撃。近くの林道を車で登りカブリモドキヒメダイコクを狙ってトラップを仕掛けます。中身はサナギ粉と、糞虫屋に最近広まり始めた食品。家でビンに小分けした時、「これならウ*コのほうがマシだ」と思ったくらい臭かったんだけど、外に出すと臭いは急速に減衰するようです。また固形物じゃなく汁の方が臭い模様。いろいろ工夫が必要らしく、結果から言うとダメでした。

付近で白い花が満開なのを発見。翌日分かったんだけどサワフタギでした(帰ってから写真を見てマルバウツギに訂正)。時間は7時も近かったんで何もいないだろうと手ぶらでチェック。ふむ、シロトラが2に・・・カンボウトラ!!ダッシュで車にカメラを取りに帰る。うまく写せず。別の、歩いて行くのが難しい株を掬ってみる。周囲を飛んでいるのも掬う。カンボウトラまたきた!実は日本亜種の方も未見なのに大陸基亜種だよ!他にもチャイロヒメハナ対馬亜種(飛んでるのはこれだった)やチャボハナも。
カンボウを水作戦で撮影(先頭の写真)、チャイヒメを持ち帰って撮影。

カンボウトラカミキリ(大陸基亜種)★

本土のフトオビカンボウは黒い線がもっと太いようです。もっと撮ったけど翌日生態写真を撮れたのでボツ
カンボウトラカミキリ

チャイロヒメハナカミキリ対馬亜種★

最普通種のこれが無紋であることで本土でのピドニアの同定はかなり楽です(産地限定で別の無紋の種もいるようですが)。これが中央に薄い線があるというのは本土チャイヒメのイメージとかなり違います。
持ち帰って撮影。
チャイロヒメハナカミキリ対馬亜種

比較用:本土基亜種

ん、と思ったけど中央の筋はあるね。どの辺が違うかな。
チャイロヒメハナカミキリ

チャボハナカミキリ

チャボハナカミキリ

いやしかし、夕方7時でこれだよ。ゴールデンタイムとか恐ろしい事になりそうだ、ということで翌日の午前はここに来ることに決定。
宿に帰ってネットでいろいろ再調査。第一目標について識者に助けてもらったり。
灯火回りとかもすればよかったかな。あまり明るい灯火がなかったしクワガタの季節でもないので早めに就寝しました。

→二日目 http://d.hatena.ne.jp/ita/20140518