電車の日能研の広告。

20cm × 20cm の正方形内部に半径 10cm の円を描き、ゴマを 50 粒落したら円の中に入ったのは 39粒でした。このデータから円周率を計算しなさい。

こりゃまたモンテカルロ法の説明に使われる古典的な例ですな。
大学の学部生であれば、エラーバーも一緒に書いておかないと減点。エラーバーのない数値実験データはゴミです。自分もステップ数足りない段階のデータに間違った印象受けてシミュレーションのパラメータ変更して失敗したりするんで、誤差の評価は大事です。
ちなみに上のデータだと、3.12 ± 0.23 。 いちおう文部省推奨の 3.0 も範囲に入ってる ^^;
ちなみにうちの亡くなった祖母は 30桁暗唱してたぞ!ちなみに30桁の精度を出すためのゴマの数は 1 の後に0 が 60個並んだ数。たぶん宇宙の原子の数より多い。

細かいことを言うと、正方形の中に均一にゴマを落すのは難しい。でもヘリポートくらい大きい場所でもやる方法はある。石をランダムな方向にランダムな距離なげて、落ちたところからまた投げる、てのをくり返しつつ石を置いておくと、ちゃんと比率が計算できる。前者が単純なサンプリング、後者はマルコフ連鎖モンテカルロの例になってる、って上手い説明が書いてある教科書読んだことあるけど、今探したら見当たらない。
追記:cond-matにありました。 http://arxiv.org/abs/cond-mat/9612186 楽しい絵もいっぱい。

追記:なんか検索で来る人多いですね。解説しときましょう。正方形の面積は400平方cm。一方円は100π平方cm。したがってゴマが円に入る確率は 100π/400 = π/4。実験で得られた確率は 39/50 でこれが π/4 に等しいとしてπを計算。
以下、大学で学ぶべき話。これで3.12 って結果がでたとしても円周率が 3.12 と言えるでしょうか。言えません。たまたま円に入る数が少なかったり多かったりすることもあるからです。また、49 個中38個だった場合、割り切れなくて少数がずーっと続きます。この場合どの桁で切ればいいでしょう。そこで実験精度というのを考えないといけないのです。確率 p で起こることを N 回試した場合、起こる回数の平均値は N*p ですが、当然結果はばらつきます。そのばらつきはだいたい√p*(1-p)*N 程度になることが知られています。これに p= 39/50, N=50 を代入した値が p のだいたいの誤差になるわけです。