本: The Complete Stories of Theodore Sturgeon 7 ISBN:1556433506

☆ The World Well Lost
邦題『たとえ世界を失っても』大森望訳で『20世紀SF 1950年代』 ISBN:4309462030 【アマゾン】 に収録。再読になるけど、ほとんど忘れてたんで面白かった。『君の血を』 ISBN:4150410275 【アマゾン】 に似た味わい。でも訳本の方をみると解説でネタバレしてる。これは良くない。特異な性癖の秘密を知られて、相手に殺意を抱くというのは先日の長崎の事件とかを連想した。文章はやはり濃い。文中の言葉を借りれば breathlessness という感じ。大森訳は雰囲気出てると思う。


But watch loverbird, only for a moment, and see what happens. It's the feeling you had when you were twelve, and summer-drenched, and you kissed a girl for the very first time and knew a breathlessness you were sure could never happen again. And indeed it never could --- unless you watched loverbirds. Then you are spellbound for four quiet seconds, and suddenly your very heart twists, and incredulous tears sting and stay; and the very first move you make afterward, you make on tiptoe, and your first word is a whisper.

チャールズ・ストロス『ロブスター』、酒井昭伸訳、SFマガジン2003/8

ギーキーなネタ炸裂で面白いです。「スラド /.」が動詞として使われてたり、それが「祭り」と訳されてたり。オープンソースとか人工知能の人権?がテーマ(そういえば先週末の坂村教授の講演で、何でもオープンソースマンセーという風潮に釘を刺す発言があったけど、これもスラドで祭りになってたりするかな)。
最後は「テメエ自身のソースも公開しろやゴルァ」って感じで笑った。あとはテレタビーズを見て英語を勉強したという共産圏のヘタレAIが爆笑。なんか kgbvax とかの話を思い出す。Jargon File から要約して訳して引用:

kremvax
1984 年4月1日に当時のソ連の指導者チェルネンコ名義で kremvax という Usenet サイトをアナウンスするホラ記事が投稿された。記事には moskvax とか kgbvax といったサイトも書かれていた。当時は Usenet が鉄のカーテンを越えるという考えは完全に馬鹿げていたので、このネタ記事はエイプリルフールのジョークとしては最上級に笑えるものだった。その6年後、モスクワに本物の Usenet サイトが出来たとき、多くの読者はそのサイトからの記事を半信半疑で読んでいた。このサイトの管理者 Vadim Antonov はそれを十分心得ていて、それをよくネタにしていたし、一度などは彼の存在自身がネタだったという記事をポストしたりした。その後彼はサイトの名前を実際に kremvax と改名し、ハッカーのユーモアセンスが文化の壁を超越したものであることを示した。その後の1991 年のクーデターでは、このサイトからの投稿が海外の人間にとって唯一の信頼できる情報ソースとなった。

あとは、
ノイマン式倍倍饅頭カーゴカルトの要素を、ってのがどういう例えか良く分からなかった。あとは背景輻射の揺らぎは巨大ダイソン球コンピュータの非可逆計算によるものだ、というバカ話が面白かった。計算と熱の関係は Feynman Lectures on Computation ISBN:4000059416 【アマゾン】に解説がある。