スタージョン "More Than Human" ISBN:0375703713 【アマゾン】

半分くらい通過。The Fabulous Idiot の、濃密で詩的な文体からBaby Is Three で不良少年の乱暴な口調による過去の回想へがらっと変わるのが渋い。「一体何があったんだ!」とヤキモキされられる。3つ目のパートはどうなるのか楽しみ。
ふと思ったけど、The Fabulous Idiot のパートの濃密な文体というのは、ローン達の鋭い感性を通して見た世界を表現してるんだろうか。
早川文庫の訳本もパラパラと見てみる。Baby Is Three はいい感じなんだけど、The Fabulous Idiot のパートは訳に納得がいかない。この部分だけでも、たとえ英文を半分しか読解できなくても原書で読む価値があるかも。ローンの口調はちょっと白痴っぽいんだけど、訳ではプロッドさんにちゃんとした敬語を使ってるのが自分のイメージと違った。あと '"Ah" said Lone. He'd picked that up from Prodd.It was useful.' ってのは、「プロッド氏から聞き覚えた言葉だった」って意味じゃないかな。that は、答えにくい時に Ah と言う、ってのを指してると思う。
"Baby Is Three" ってのが、a も the もないのが気になってたけど、きっと乱暴な喋り方する少年だから抜かしてるんだろうと思ってた。でもしばらく読んで、文の先頭でなくても "Baby" と大文字で書いてあるのに気が付いた。そうか!これは名前なんだ!名前がないから、"Baby" って名前になっちゃったんだな。感動。



オベロンが主人公の新新アンバーシリーズ第一巻『混沌の九王子』、既にアマゾンに登場。九月刊行予定。ファンフィクションとして割り切れば楽しみ。

ゼラズニイトールキンも、まじめな神話の世界におちゃらけた近代的キャラクタが迷い込んだ時の面白さが作品の一つのカギになってる。そして、両者に共通する重要アイテム、それがタバコだ!
トールキンだとオルサンクの門のシーンとか、UTに載ってる白の会議の場面でガンダルフがものすごい勢いでスパスパとパイプを吹かしてるシーンとか。
ゼラズニイは、ほとんどの作品で登場人物がタバコを吸ってると指摘された時、「でも今書いてるファンタジーの『魔性の子』では誰もタバコを吸わないよ。」と言ったらしいけど、続編の『外道の市』では、地球生まれの強力な魔法使いが思いっきりタバコを吸っている。禁煙は一作しか続かなかったんだね。しかしゼラズニイは肺癌で亡くなってるから、真面目な話、もちょっと禁煙してほしかったかも。