ロジャー・ゼラズニイ "Unicorn Variations" ISBN:0380702878 【アマゾン】

中古で購入。表題作は "Unicorn Variation"で単数。前書きに曰く、「一人の作家の書く小説のバリエーションには限りがあり、多かれ少なかれ同じテーマを違う書き方で書くことになる」ということで "Unicorn Variation" のいろいろなバリエーションを集めた短篇集である本書は "Unicorn Variations" というタイトルになる。ややこしや。
Unicorn Variation
あるときゼラズニイはバーを舞台にしたアンソロジーを計画してる人に、そういう短篇を雑誌に出して後でアンソロジー用に売ってくれ、と頼まれる。しばらく後に今度は別の人にユニコーンの出て来る話のアンソロジーを作るから、短篇を雑誌に出して後で(以下略)。さらに別の人にチェスを扱った短篇を(以下略)。
で出来たのがこの短篇。一石三鳥。
内容の方は以前SFマガジンに出た邦訳を読んだのでパス。中に出て来るチェスの棋譜は実在の対局に基づいてるらしい。あるチェスの大会でトップを行くプレイヤーと、比較的弱いプレイヤーが当たることになった。トップの奴のライバル二人は協力して弱いプレイヤーに相手の弱点を徹底的に教え込んで、結局いい試合をしたらしい。
☆ The Last of the Wild Ones
『悪魔の車』の続編。一言で言えばナイト2000。ミサイルやビーム積んだ車同士の決闘。アクションが熱い。こういう話でもかっこいい文体で書いてるところがゼラズニイらしい。『アイオブキャット』と同様、グレートキャニオンみたいな場所で対決する。
☆ Recital
余命わずかの往年の大歌手が最後のステージに立つ。しかし実は、、、
☆ The Naked Matador
ヘミングウェイの作品のパスティーシュらしい。モトネタ知らないんでさっぱり。でも表現が面白い。レストランで合席した女がいきなり"I'm horny." と言う。で、"I was out and up and in before too long."で、"When I was empty and she was full, ..."。
☆ The Parts That Are Only Glimpsed: Three Reflexes
作家が無意識にやるいろいろな小説のテクニックに関するエッセイ。ゼラズニイの場合は話と直接関係ないけど、いろいろな背景を垣間見せる事柄を随時はさみ込んでいく、ということを無意識にしてるらしい。それを一生かけてやったのがトールキンてことでしょうかね。