ブドウトラ顛末記

使用機材:http://d.hatena.ne.jp/ita/20180816/p2
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知人に2014年9月にブドウトラを捕獲した柏市のポイントをメールしたが、場所を間違えていたためトラップ設置しようとした遠征が無駄足に。
お詫びに最近職場の近くで見つけたエビヅル群落で枯れ枝を拾ってその場所にトラップとして設置しておいた。
職場近くのほうは徒歩圏内なので継続観察しようと思い、とりあえず過去の羽脱の形跡を調べようと枯れ蔓をチェック。

エビヅル

左の枯れ蔓を発見。大きさ的にトラっぽいし、穴の周辺が膨らんでないので、多分ブドウスカシバでもない。
これはもう成虫もいるかも、とさらに探し、二股に分かれた蔓で一方が枯れてなく、一方が枯れたのを見つけ、枯れた方の樹皮を剥いてみると糞が詰まっている。お!と思い剥いていくと成虫発見!テープで樹皮を補修し大事に持ち帰り撮影すると、羽化不全で死んだ個体であった。残念。しかし確実な生息の証拠が出たので今季は継続的に発生と消長を観察していく予定。

ブドウトラカミキリ羽化不全個体

使用機材2018~

採集用具

  • 竿: プロックス。初代9m(2017春〜2018年7月)、二代目9m(2018年7月〜2022/04)、三代目10m(2022/04-)。高所スイープしないときはプロックスの3.5m竿。
  • 叩き網:(2022-)Bug-dormの丸いの、(2021/07紛失)むし社 ビーティングネット N-TYPE
  • ウルトラフレーム極 ver. II (2017/04-)
  • メッシュネット (緑のナイロンネットを使用してたが6月にボロボロになり交換)


撮影機材

  • Canon EOS Kiss X5 (2012年3月〜)
  • TAMRON SP 90mm VC USD 手振れ補正機能付き(2017年8月〜)手振れ補正なし(2012年3月〜2017年8月)

運搬時はレンズフードを逆向きにレンズに重ね収納。ディフューザーはポケットに。
撮影時はレンズキャップをポケットに。レンズ前面保護とディフューザーを被写体に近づけるためレンズフードを装着。

  • ストロボ:絞り優先モードF11〜F13、露光1/200固定、ストロボ+2、ケンコー影とり、ISO-AUTO
  • 自然光:マニュアルモードでF8〜F16、露光1/125〜1/1000、ISO-AUTO


今季成績

遠征先 天気  判定 結果
奄美 雨雨晴 B oクロチャボハナ, xコバルト xタケウチ xシバタ xサツマ xオキナワクビジロ 材(oウスグロアメイロ, oアマミコブヒゲ)
伊豆 晴晴 C xクロシオヨコヤマ, o旅行 (キイロミヤマ)、xマダニ
高尾 D xナカバヤシモモブト,xクビジロ,xフトキクスイ
丹沢 晴、風 S oキイロメダカ(材),xルリクワ, (ヘリウスハナ)
高尾 D xナカバヤシモモブト
高尾 A oクビジロ(自力でない)
会津 曇晴 A oヒメシラオビ, (カラマツ)
神奈川 A oイワサキケブカ
神奈川 D xタイリクフタホシサビ
伊豆 B xタイワンメダカ,xトゲヒゲトビイロ (リュウキュウヒメ,ヒゲナガヒメ)
木曽 雨晴 A xヨツボシ,xジュウモンジニセリンゴ, oシンシュウヒメハナ, ?シナノエゾハイイロハナ
四国 B xセダカ,oヒメアヤモンチビ,xシロスジドウボソ,xヒメヒゲナガ四国亜種,xシコク,xマホロバ,xトサ,oイヨ,oヤマト,oチュウジョウ,xアワ,xイシヅチ,xシコクヒメコブハナ、xパンク
紀州 C xマホロバ,xミセン,oトサ,xオオクボ,xトゲムネホソヒゲ
北海道 晴雨晴 A oホクチチビハナ,oクビボソハナ,xシララカハナ,xエゾスミイロハナ,xエゾアメイロ,xペンナータ,xヤナギトラ,oカラフトモモブト,xムツボシアオコトラ,xヤマナラシモモブト,xムネツヤサビ,xコウノニセリンゴ、oナカバヤシモモブト、oヨコグロケシ
鳳凰 晴晴 A oイケダイ,xスズキイ,oツカモトイ,xオトメ o登山
八ヶ岳 D xスズキイ
山梨 C xパキタ、xヒメヨツ、xムナミゾ (イガブチ,シロオビドイ), o登山
青森 雨雨 A oトウホクトラ,xミチノクヒメハナ, o旅行
上高地 C xスズキイ、xゼブラ、xサハリン (ベニヒカゲ,トホシ)
木曽 雲晴 A oゼブラ、xニセハコネ、xトビラ, o旅行
XXXXXX XXXXXX XX

飛行機2 新幹線4 特急5 レンタカー20日 車中泊3 ホテル泊9

今後 オオトラ,タイリクフタホシサビ,シナノエゾハイイロハナ?(幼虫飼育中),シナノサビ

オーラスの高地

Canon EOS Kiss X5+TAMRON SP 90mm VC USD

  • ストロボ:絞り優先モードF11〜F13、露光1/200固定、ストロボ+2、ケンコー影とり、ISO-AUTO
  • 自然光:マニュアルモードでF8〜F16、露光1/125〜1/1000、ISO-AUTO

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背景

6月に訪れた場所を家人と再訪。今回はちゃんと宿に泊まります。この時期、宿、車、電車を押さえるのに苦労しました。
今回もメインは針葉樹原生林。ターゲットは渋珍のホソハナ&サビおよびゼブラことキジマトラ。

コメツガ

まずはツガの大木をチェック。以前カミキリ屋の飲み会で教えてもらった木ですが、その時は「そんな遠くまで遠征に行かないよな〜」と聞き流していた木です。最近遠征の距離感がインフレ気味で、このあたりも近所になってしまったので気になり、いろいろ自力で調べて場所を特定。なんかトラっぽい動きを見つけて撮影したのがこの写真。何も写っていないようですが、よく探したらなんかいるかも。
天気はたまに晴れ間が差す程度でトラにはイマイチなので目的地まで移動。

トウヒ倒木

原生林を散策します。いやー最高の雰囲気。ネームプレートも整備され木の種類が勉強になります。これはトウヒと思われる倒木。それほど古くないので夜に期待。他にツガの倒木もあり。6月にラギウムを期待した木で、天気が良ければトラ期待ですが、こちらもそれほど晴れず。

宿にチェックイン。さっそく内湯へ。とても趣があります。源泉は御神体らしきものからドバドバと出ております。あれチ**だよね、うはーち**ち**!とはしゃいでたら、うるさいと家人に怒られました。
夕食はイノシシ鍋。おいしい。夜回りのため酒は少しで我慢。
暗くなってから夕方に見つけた倒木をチェック。しかし何もいない。気温は非常に涼しい。この気温で出てきてくれるのか?図鑑のハナカミキリより前に載っている針葉樹食いは寒さに強い奴が多いと思ってるんだけど。
樹皮を触ると若干湿っている。そのせいか。分からない。シラフヒゲナガの一匹もいない。
秋に出るカミキリは高標高ほど早いものがいる(オオトラ、ブドウトラ)。次はもっと早く来てみようか。

ノリウツギ

翌日は晴れたり曇ったり。宿の敷地に咲き残ったノリウツギがあり朝から賑わっていた。
ブチ、24マル、ニンフ、カラカネ、ツヤケシなど。渋珍ホソハナはこなかった。

移動

ゴンドラで2000mまで上がりランチ。周辺は虫的にはイマイチだった。

ツガ

午後二時の時点で既に三時間ほど晴れ間が続いている。トラを狙うにはベストコンディション。また張り込みます。40分ほどして、怪しい動きを3mほどの高さに確認。撮影すると、おおー来た!
しかし画面を確認し竿を置いてまた見上げると、いない!逃げられたか。ウルトラショック!
その後ルッキングを継続。20分位して遠雷が聞こえ始め、曇って気温が下がってくる。ああああああ。証拠写真で終わりか。と思ったその時、またトラの動きを地上3mほどで確認。今回は手堅くネットで確保。フレームの縁でしつこくつつくと、無事ネットイン。はぁードキドキした。

キジマトラカミキリ

前胸に羽脱した時に付いたと思われるヤニが付着しています。20分前の写真と同じ個体。
まあ、いうてニイジマの線が一本少ない奴、ですがね。針葉樹原生林に固有のカミキリですから「格」ちゅーもんがあるわけですわ。おそらくニイジマは氷河期の終わりにキジマからノレン分けして、温帯の広葉樹食いという、大衆にもっと受ける路線に変更して大繁盛したんじゃなかろうかと。キジマは伝統の味を守り続ける頑固な本家という感じでしょうか。なんか勝手なこと言ってますが。


総括

ホソハナには若干遅かったかな。Pの季節にまたこよう。サビもその頃にいるかもしれない。
これで関東のトラはあと一種、モミの王様だけとなった。

ラギウム幼虫

おまけ。観察日記。このエリアから持ち帰ったもの。砂糖水だけで40日飼育している。そろそろ蛹化してもいいんだけど、なにがトリガーなのか。栄養か、気温か。カロリーだけではだめかも。現地で地面に落ちたトウヒ樹皮を餌用にすこし持ち帰る。寄生予防に一旦冷凍。セルロースを分解して糖にしてるんなら砂糖でいいはずだけど、木の腐朽菌の働きでタンパク質ができている可能性もある。
害虫研究用のインセクタという栄養を配合した人口飼料があるけど、10kgからの販売なので手が出ない。針葉樹食いはスギノアカネが実績あるらしい。
因みにこの時期砂糖水などはカビやすいので摂食した後よく水洗いする。普段は別の場所で。

ラス前の上高地

Canon EOS Kiss X5+TAMRON SP 90mm VC USD

  • ストロボ:絞り優先モードF11〜F13、露光1/200固定、ストロボ+2、ケンコー影とり、ISO-AUTO
  • 自然光:マニュアルモードでF8〜F16、露光1/125〜1/1000、ISO-AUTO

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背景

さて今シーズンも最終戦に突入。標高と北緯を上げてラストスパートです。
ラス前の金曜、気になっていたsuzukiiことシナノヒメハナを再度狙うため季節の遅い上高地に出撃しました。この時期夜行バスがすぐ満席にになり乗れないのですが、フェイントかました台風のおかげで晴れの日にキャンセルが出て乗れました。
suzukiiは北アでは唯一このあたりで記録があり、具体的には徳本峠のあたりで8/6の記録があります。ここはナナカマドが咲いている季節に来たことがありますがハチやハエしかいなくて落胆したことがあります。一方で谷の反対側の岳沢小屋は同じ標高だけど7月末に登った時はピドニア天国でした。ここでフイリも撮影したので、まあsuzukiiもいるだろう、徳本で8/6なら岳沢で8/10でもなんとかなるだろう、と推測しました。標高は2200m、針葉樹原生林です。もう最近はこの針葉樹原生林の魔力に取り憑かれている感じです。島島谷〜徳本での記録が多いのは、どくとるマンボウ昆虫記にもある通り、昔はこのルートが上高地へ至る主要な方法だったから。また徳本までは特別保護地区から外れているというのもある。そこから先は採集禁止。
その他のターゲットとしては、以前トホシカミキリを撮影したドロノキ倒木で天気が良ければ学名kamikochiana、エサキキンヘリタマムシを撮影したいな、と。山梨で撮影したことはありますがすぐに逃げられたので。カミキリほど季節がシビアじゃないだろうとの推測。さらに柳食いのクロコモンやスジバナガなども。

兵站

往路夜行バス9600円。復路バスで松本2000円、そこからスーパーあずさ6000円。

カラマツ

早朝着。まずは今まで調べてなかったサハリンの可能性チェック。樹皮が剥げた部分に怪しい孔をいくつか発見。昼以降に調べます。

登山

700mを登ります。上は雪渓も少しあり。

アサマヒメハナカミキリ

セリなどはぼちぼち咲いていますが、ピドニアの数と種類が圧倒的に少ない。いるのはニンフホソハナばかり。ガーン。作戦失敗。
ピドニアはいてもアサマらしき奴ばかり。
初めて栂池で盆過ぎにアサマを見た時はうれしかったんですが、なんというかシーズン終焉を告げる黙示録の騎士みたいな存在ですね。標高上げてもシーズン末はこればっか。


花畑

ハクサンフウロの花びらにかじった痕が。おそらくトホシハナと思われますがご本人はさすがにもう見付からず。

ベニヒカゲ★

クモマのつかないのは初めてです。2000m以上の優占種でした。

ヒョウモンチョウ

似ているコヒョウモンとは微妙な違いですね。ネット上の詳しい解説を読んで同定。

下山

花畑を含めて往復5時間ほどかかってしまいましたが、出発が6時なのでまだ昼前。ドロノキへ向かいます。

柳倒木

河原が重機で整備され倒木に行きやすくなったが、地形が変わり以前の倒木の所在は不明。かわりにヤナギの倒木がありました。


ベリタテハ


何か発見

タマムシ大の甲虫が飛ぶのを発見。着陸した枝をよく見ると・・・

トホシカミキリ

なんとー!こんな時期にまだいるんだ。かなりスレてます。以前は7月上旬に来て個体数が多かったんで、ひと月以上出現時期があることになります。

別個体

結局

トホシがまだいるのはうれしい誤算でしたが、本体の目的であるエサキンは発見できず。
さすがの上高地でも直射日光で結構暑く、疲れたのでサハリンらしき孔で張り込み。しかし何も来ませんでした。
なんの孔なんだろうなぁ。サハリンだとして時期は7末のほうがいいのかな。

ねぶた祭とトウホクトラカミキリ

Canon EOS Kiss X5+TAMRON SP 90mm VC USD

  • ストロボ:絞り優先モードF11〜F13、露光1/200固定、ストロボ+2、ケンコー影とり、ISO-AUTO
  • 自然光:マニュアルモードでF8〜F16、露光1/125〜1/1000、ISO-AUTO

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背景

この週末はねぶた祭に行こうと妻に提案されました。虫屋たるもの、諾諾としつつ調査を怠らず、周辺で狙える虫を調べ「じゃあ〇〇も行こう」とその近くの観光地を組み入れる狡猾さを持たねばなりません。
この時期の青森でまず目に付いたのは最近のオダイの記録。さっそく青森の昆虫同行会誌を購入して記録を読む。あるブナ林で何年もオダイを探していた方がある年になって突然多数見つけたとのこと。多産地という訳ではなさそうだ。さらに調査するとトウホクトラも狙えることが分かった。情報をまとめエリアを林道一本に絞り、近くの観光地も押さえる。決まりだ。

決行

幸い青森の義妹夫婦も同行してもらえることに。妻と三人で海鮮丼を食べに行ってもらい、自分は途中で分かれて林道を攻める。予報は晴れだったはずなのに、雨交じりの曇り。最近こんなんばっか。そういうもんだと思ってます。まあ関東の夏枯れよりはマシかな。
林道沿いのノリウツギは半分は散っている状態。小雨の中、花付きのいい株を掬うと、午前のうちに飛来した居残り組なのか、ヨツスジハナやトゲヒゲトラがよく入る。トラが来るならあとは数撃てばいいだろうと掬いまくり。またブドウ蔓も葉が密集した部分を掬いまくり。

ヤマトヨツスジハナカミキリ

ノリウツギから。かなり標高低いけど、さすが青森、ブナも生えている。

アクシデント

ブドウの蔓を強くネットで叩いていたら竿の三段目がバックリ裂けてしまった。あちゃー。2段目まで伸ばして使うか、4〜9段で使い先端が回るに任せるかだ。先週は底のフタが抜けてテープ補修したばかり。ほぼ2シーズン使ったのでまあ寿命かな。ちょうどPROXは新しいモデルが出てたから変え時だ。

ノリウツギ

咲きのよい株、幸い花も低い。

トウホクトラカミキリ★

キターーーーーーー!!!!これだ!
なんか見たことあるようで見たことない斑紋。ブドウをホストとして7末〜8上に見られる独特なトラです。
捕獲後撮影。


後日撮影分


ヤマブドウ枯れ蔓

さらに進むと極上の物件を発見。晴れていればここで生態写真も狙えたでしょうに。ちなみにテープは地元の虫屋さんでしょう。分かりやすい。

移動

その後も掬うも追加は得られず。辛勝だった。妻に合流し海鮮丼を、と思ったけどもう店が終わって青森市内に向かっているという。残念。

ねぶた

レンタカーを返しねぶた見物。かなりの雨で、山車にカバーがかぶせてある。踊る人も大変だ。しかしこんな立体的なものだとは知らなかった。迫力がある。カバーがなければもっと綺麗だった。

トウホクヒメハナカミキリ

翌日は八甲田山ロープウェイを上り、高山ピドニア探し。しかし花があまりない。
ナガバヒメハナの東北バージョンである、これ1匹だけだった。ミチノクとか期待したんだけども。
北緯があるとはえ、1500mではちょっと遅い&標高が足りないのかな。青森は1600mまでしかない。

新幹線

グランクラスなるものに乗ってみた。虫と祭りを満喫しご満悦。

パキタに縁がない

Canon EOS Kiss X5+TAMRON SP 90mm VC USD

  • ストロボ:絞り優先モードF11〜F13、露光1/200固定、ストロボ+2、ケンコー影とり、ISO-AUTO
  • 自然光:マニュアルモードでF8〜F16、露光1/125〜1/1000、ISO-AUTO

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良い天気!パキタの記録の多いM峠にGO!
スキル「標高差500m以下疲労無効化」発動!一気に山頂へ。エアリアタイム80分を50分で到着。

山頂

なんじゃこりゃあああ
スキル「パキタに縁がない」発動!霧の世界。

下山。その他のメンバーを紹介するぜ!

イガブチヒゲハナカミキリ

コバネカミキリ

シロオビドイカミキリ