放射線量の地面種類に依存するファクター

福島県内の数百、数千箇所オーダーでの空間線量の測定が行われ、結果がPDFでアップロードされています。
http://www.pref.fukushima.jp/j/index.htm から環境放射能測定結果・検査結果関連情報および小中学校等モニタリングへジャンプ
小中学校モニタリングの結果はは有志によって可視化が行われています。http://d.hatena.ne.jp/oxon/20110411/1302473302

その後も多くの測定結果が発表されましたが、測定点が道路、高校、公園の三種類となっています。地面がアスファルトか土かで線量は変わると考えられていて、これらを単純に可視化すると偏りがそうです。
逆に今回のデータからその地面種類の影響を見積もれるんではないかと思い計算してみました。計算には地上1m高度の線量を用いました。

まず仮定として、その場所の空間線量=そのあたり10km範囲くらいの平均値× 地形の影響 、と分解できるとしてまず平滑化した平均値を出します。ある点jの平均値はR=10km以内にある測定点iについて、(R^2-Rij^2)/(R^2+Rij^2)をウェイトとした加重平均で計算します。Rijは点iと点jの距離です。
この大域的傾向の等高線が下の図。単位はμSv/h。
赤線が小中学校調査から計算した等高線、紫の点が小中学校調査の測定点
緑線が4/12 道路、高校、公園調査から計算した等高線、青い点が道路、高校、公園調査の測定点

まあざっくり同じ感じになります。
次にこの大域的な傾向に比べて測定値が何倍になっているかを計算し、どういう分布をしているか考察します。比率の対数をとってソートして横軸に値、縦軸に順位/データ数、をプロットすると累積確率分布がでますが、プロットはガウス分布の累積関数であるerfでよく近似できます。すなわち比率は対数正規分布になっています。しかし公園が高め、道路が低め、高校は中間という傾向が見られます。
ただし平滑化の半径を変えればσも変わるはずなんで、Rとσの関係も出しておく必要があるでしょう。

また道路、公園ともに横軸0.5あたり、すなわち周囲よりexp(0.5)=1.6倍くらいの値となるデータが正規分布よりも多いことが分かります。これは近くに森があるとか風の通り道であるとかいった複雑なファクターで有意に値が増えることがあることを示しています。そうはいっても、最大でexp(1.5)~4.5倍程度なので、10倍とか100倍とかになることは今回の測定データからするとあまりなさそうだと考えられます。

結論:
道路は低め、公園は高め(道路の1.2倍くらい)。場所による変動(測定誤差も含む)は0.6倍から1.6倍程度。ただし特殊な地形では4倍とかにもなることがある。