フラストレート反強磁性

"Phase Transition in Heisenberg Stacked Triangular Antiferromagnets: End of a Controversy"
http://jp.arXiv.org/abs/0808.0520

"It puts an end to a 20-year long controversial issue." だそうで。20年になりますか。修論でやったテーマなんでそのくらいだね。早いもんだ。「新しいユニバーサリティクラス」というのが臨界現象の数値計算で聖杯探求のように行われていた頃だ。自分もこのテーマについては少なからざる貢献をしたがもう情熱はない。ユニバーサリティの根底にある、無関係な項が繰り込むことでどんどん小さくなるというのが、特定の項について非常にゆっくりになり真の臨界現象が見えにくいのがcontroversyの原因。しかしそうなると現実にそういう磁性体があったときに実験でも「真の」臨界指数というのは測定が難しくなる。熱パルスを与え続けて比熱を測定するけど、潜熱がそれ以下だと転移が一次か二次か実験でも分からない。そんなイデア界にしかない相転移数値計算でシコシコやってどうなんのさ、という感じ。

統計分布の多くがガウス分布になるというのも、同じようなユニバーサリティの機構が背後にある。そうでない、べき分布が取沙汰されている状況は「新奇なユニバーサリティ」フィーバーに似ている。