有限宇宙の角運動量

野尻ボードで紹介されていた、有限でゆがんだ三次元宇宙での銀河形成シミュレーション
http://www.hypernumber.net/?p=28
これについて以下のように考察した:
http://njb.virtualave.net/nmain0270.html#nmain20080613103258
前野さんが以前周期宇宙では重心が定義できないと書いておられたけど、
http://homepage3.nifty.com/iromono/diary/200511A.html#02
重心が定義できないので、重心を中心とした角運動量の保存、というものが存在しなくなる。
空間が曲がっているので、直進する孤立した粒子も途中で曲がり、普通の意味での運動量保存も成り立たなくなる。しかし系全体は回転対称なので、それに起因した保存量は存在するはず。

たとえば三次元の球の表面に束縛されたN体問題。粒子iの球の中心からの位置をr_i、速度をv_iとすると、Σr_i×v_iは保存する。二体問題をまず考え、二粒子を通る大円を見て考える。力は大円に沿った方向で作用反作用により双方反対向き、これと中心から引いた直線との外積角運動量の時間微分であるトルクになるが、これは大円を垂直に横切る反対向きで長さが等しい二つのベクトルになり合計は0。したがって全角運動量の向きから眺めていれば全体として一定の速度で回転している。

四次元球表面の場合も同様だが、この場合外積というのは6成分となる。一般に回転とは二つの座標軸をまぜまぜすることであり、4つの軸からどの2つを選ぶか6通りあるので、回転を表す量は6成分となる。
三次元だとこれが3通りで、たまたま空間次元と一致するので回転を図示できるけど、4次元以上はできない。

直感的には、方向1と2の回転および3と4の回転を独立に組み合わせたものになる。これを三次元で図示したらどんな風になるのかな。可視化の仕方にもよるだろうな。