水からのメッセ−ジ

その結晶を作る際に私が紙に書き記し水と共に置いていた冒涜的で狂気を誘う古の神の名をここに記すことはやめておこう。それはかの狂えるアラブ人アブドゥル・アルハザードにより書かれたネクロノミコンに記されていると言えば賢明なる読者ならばそれ以上の追及を控えるであろうと思われるからだ。その結晶は自然の摂理を嘲笑うかのような五芒星の対称性を見せ、その各々の頂点からさらに五本ずつの枝が延び−その先にはさらに五本ずつの小枝、すなわち都合二十五本の枝が生えていて−その分岐は無限に繰りかえされ見る者に宇宙的恐怖を呼び覚ます。私にはこれ以上この結晶を描写する理性はもう残されていない。私の僅かに残された理性は脳の中でおぞましい五芒星の結晶が成長しているのをかすかに感じている。そして不思議な安堵と共に私は自分が叫んでいる声、「テケリ、リ!」を聞く。