ルーディ・ラッカー『ホワイトライト』黒丸尚訳 ISBN:4150109729 【アマゾン】, 早川文庫SF

読み始め。なんか冒頭読んだ雰囲気としてはクトゥルフ物って感じですね。でも狂気に誘うのが邪悪な写本でなく無限に関する仮説、ってとこでしょうか。

解説を読むと、集合論の「連続体仮説」「選択公理」「バナッハ・タルスキーの逆理」というのがネタになってるらしい。大学の時買ったISBN:4274130126 【アマゾン】集合論の本をひもといて予習してみた。作中でラッカーが解説してるかもしれないけど、このイカレたおっさんはアテにできない。

選択公理」:集合(空集合でない)がいっぱいある時、それぞれの集合から要素を一つづつ選んで来ることが常に可能、という仮定。当り前っぽいけど、無限集合が無限にある場合とか、いろいろと自明でない結論が導けるらしい。
連続体仮説」:区間[0:1]の濃度と、アレフ1の濃度が等しい。
アレフ1は「自然数の集合」の「あらゆる部分集合」の集合。具体的には {1,2,3,4,5},{1,3,7,9},{1,100,10000},{9},自然数全部、偶数全部、素数全部、{}とか、そういうの全部。
1から順に、その数字が入ってれば1、そうでなければ0を並べていけば、0、1の無限列と一対一に対応?
それを実数の二進無限小数展開とみなせば、区間[0:1]の実数と一対一に対応?
ってことで、てっきり等しいものと思っていたけど、上のどこかが自明でなく、等しいかどうかは分からないらしい。
追記:アホ晒してしもうた。上の定義はアレフ0の冪集合の定義であって、アレフ1ではない。アレフなんぼは、世の中のあらゆる種類の無限に、小さい方から番号つけたもので、正体は分からない。「連続無限は世の中で二番目に小さい無限(アレフ1)か?」てのが連続体仮説らしい。
追記:結論から言うと、可算無限の冪集合とcは等しい。上の議論は証明の半分で、cの方が等しいか大きいことを言っている。有理数の冪集合がcと等しいか大きいことも示せて、結局等しいことが分かる。
数字の3と書いても、数字の3の場合と、要素が3個の集合すべての場合(基数)と、大小が定義された要素が3個の集合すべての場合(順序数)があるらしい。
基数の3:{1,2,3},{2,4,8},{ナルヤ、ネンヤ、ヴィルヤ},{グー、チョキ、パー},{りんご、ばなな、かき},{アシモフ、クラーク、ハインライン}
順序数の3:{1,2,3},{2,4,8}
{グー、チョキ、パー}は強さで順番を決めると循環するのでダメ。でも{アシモフ、クラーク、ハインライン}とかでも、勝手に順番決めればOK。