本:グレッグ・イーガン『Quarantine(宇宙消失)』

ISBN:0061054232 【アマゾン】ISBN:4488711014 【アマゾン】

原書読み中。パート1は MOD のアイディアが面白かった。便利そうだなぁ。欲しい。電車の中で読んでる本の文章が景色に重ね合わせて表示されて随時辞書検索できる、ってだけのMODでもいいから欲しい。あとは「幸福である理由」とか、アイデンティティの問題とか、やはり面白い。地の文はずっと現在形で、雰囲気が合ってるところは合ってる感じ。"prime" 中の描写とか。意識の問題と観測の問題が絡まってくるパート2では更に時制が重要になってくる感じ。 "will have done" なんて時制も出て来るし。
観測問題の一つの極端な解釈に、意識が結果を認識した瞬間に収縮する、てのがあるけど、これを更に過激にした話になってる感じ。意識が重ね合わせ状態になってると、どうなるんだ?互いに相互作用しない場合なら多世界解釈と同じかな?しかし位置の固有状態|x>に収縮したのを意識が見てる場合でも、それは運動量固有状態|k>の重ね合わせを見てるわけで、そうすると意識は重ね合わせ状態にあるのか?うーん、わからん。運動量の固有状態をベースに世界を認識する知性体なんかいたら、ファーストコンタクトは大変なことになりそう。
しかし、あと40ページくらいだけど疲れて来た。単語が難しいのが一つ。あと、一応物理屋なんで途中から「そりゃおかしいぞ」と思いながら読んでるのも一因。もっと短くてもいいと思う。
"Emperor's new mod" てフレーズが出て来た。あ、「裸の王様=皇帝の新しい着物」の意味か。ペンローズの本のタイトル「皇帝の新しい心」も意識してるっぽい。読んでないけど。今度読もう。
ベルの不等式、てのが言葉だけ出て来た(アイディアは使ってないっぽい)。いちおう基礎教養として勉強しておこう、と思いプレプリ検索したらquant-ph/0112102がよさそうな感じ。冒頭は読み物としても面白いかも。啓蒙書によくあるEPR実験のインチキ説明への批判もある。
自分の頭の整理のためにここでメモ:
「神がサイコロ振ってるように見えるのは人間の無知のせいで、本当は決定論的である」と仮定する。EPR実験の場合も、両側でどういう観測しようが結果は最初から決まってると仮定する。そうすると「Aがどういう観測しようが、Bの結果には影響がない」ということになる。で、こう仮定すると実験結果が満たすべき不等式が出てきて、これがベルの不等式。もし実際の実験でこの不等式が成り立たなかったら、上の仮定のどれかが間違っていることになる。
SF的には決定論的じゃないほうがネタとして面白いと思う。


ルーディ・ラッカーパックマン』(大森望訳)を読む。
いやー、お馬鹿な話で良いです。「鳥」ってのはギャラクシアンのことか。「金の袋」ってのはかき氷のことか。「ぶどう」は出て来ないハズ。
ところで、「ウォーゲーム」とか「スターファイター」とかの映画ってこの作品とどっちが先なんだろう。


銀河ヒッチハイクガイド、復刊してたんですね。知らなかった。1400円てのは1〜3巻三冊セットの値段だと思いたい。