●レイ・ブラッドベリ『Fahrenheit 451』 ISBN:0345342968 【アマゾン】 |
読了。2章の終り、Beatty隊長が饒舌に語り出すところはブラッドベリ節全開。この人の本に対するアンビバレントさがいいです。ダースベイダーみたいだ。後書きにはその後に舞台用に書いた脚本で追加されたシーンが書いてあった。隊長が自分の部屋にモンターグをつれて来て本を見せ、ダークサイドに堕ちた経緯を話す。かっこいい。
それとクラリスの去就も作者は気にしてたようで、トリュフォーの映画(見てないけど)のような展開もいいな、と書いてあった。この本を書いたときブラッドベリはまだ大作家じゃなくて、図書館の時間貸しタイプライターで書き上げたらしいから、後で時間かけて手直しすればストーリーも文体もさらに良くなったのではないか。しかし本書のテーマを考えるとそれはできないかも。本人も「私は若い作家の作品に手を加えることは好きでない。その作家が過去の自分である場合はなおさらだ。」と書いてるし。
そういえばメカ犬はどうしてもアイボをイメージしてしまって困った。
●20世紀SF1970年代、 河出文庫 ISBN:4309462057 【アマゾン】 |
『接続された女』いまさら初読(ていうかティプトリー全部未読)。いやー、まいった。すごい。結末はなんというか70年代を代表する作品にふさわしいし、「マトリクス」「アイシャム」などのギブスンの作品に顔を出す言葉や概念がいっぱいあるし。そして次の1980の巻頭を飾る作品がギブスンの『冬のマーケット』なわけね。うーん憎いチョイスだ。
これを読む前『筒井漫画涜本』収録の『いちごの日』を読んだので、美人とブスの視覚的イメージが相当影響をうけてしまった。
●『我が名はレジオン』 ロジャー・ゼラズニイ (ISBNなし), サンリオSF文庫 |
洋書読破した自分への御褒美に、ひさびさの未読ゼラズニイ。キザな会話、カットバックの多用。うーーーん、馴染む。馴染むぞおぉぉッ。
しかし!ゼラズニイ作品のキモである会話が、いまいち意味不明な訳をしてる部分が多い。英語で読んでたら「ん?」と初めは思う部分も「んんんんん!」と良く読むと「なるほど」と分かってくるんだけど、この訳文はいくら読んでも意味がわからない。これはイタイ。原書も絶版だからしょうがないけど。
現在ククルなんとか、まで読む。結末はちょっと唐突じゃないかな。あとで解説読んだらネタバレしてあったけど(苦笑)。ここはゼラズニイお得意のカットバックで前の方でほのめかしておけばよかったのに、と思って前の方読むと、 やってるじゃん、カットバック! でもこれじゃ抽象的でわかんないよ。