イーガン『祈りの海』早川文庫。「サイエンス」フィクション書くっつーからには全てのハードSF作家はこのくらい知的好奇心を満足してくれるものを書いてほしいなー。
「キューティー」、ぴょこんと正座してこれぞ男の中の男です、というオチだったらどうしようなどと心配したり。
「百光年ダイアリー」結局信号を受けても情報が含まれていなければ因果律は破れない、てことね。超鋭い皮肉。
「放浪者の軌道」大学院入って初めて256色ディスプレイのあるワークステーション触って、最初にやったことはC言語とXウィンドウを一週間で勉強してマンデルブロ集合やジュリア集合を表示させることだった。そういうことやった人はニヤリとする話。軌道(orbit)ってのも力学系の用語。
「無限の暗殺者」エヴェレット解釈とかカントール集合とか非可算無限とか流体力学のアイディアとか測度(measure)とか、そういうアイディアや用語を読むだけでもうれしい。それを並行宇宙ネタに使うんだから劇おもろい。
「祈りの海」やっぱ神ネタはおもろいなー。結末は予想外だった。「星を継ぐ者」みたいな謎解きかと思ってたから。そうだ、究極の神ネタSF,「ザ・テスタメント」読まなくちゃな。
20世紀SF1960、河出文庫
目次見るだけで満腹になりそう。とりあえずラファティのを15年ぶりくらいで再読。すげー。ゼッキョー!ゼッキョー!名訳。ハイペリオン酒井昭伸氏もいろいろ新訳をおこしているので期待。そういえば『影が行く』以来、中村融山岸真両氏の手によるアンソロジーばっか読んでる気がする。