The Starry Rift (ヤングアダルトSFアンソロジー)

The Starry Rift

The Starry Rift

6/16 読んだ。古典SFのくすぐりネタやSF映画ネタとか多くて面白い。If it bleeds, we can kill it とか説明なしに出てくる。
ちなみにYAだからって英語が簡単とか foolproof になってるとか一切ないです。SF力は年齢には関係ない。でもいっちょ英語でSF読んでみるか、って人にはベストな本かも。
以下各作品の感想。随時追加。

Ass-Hat Magic Spider, Scott Westerfeld 「間抜けな魔法蜘蛛」スコット・ウェスターフェルド

新版「冷たい方程式」てかんじ。しかしここでの余分な質量は・・・

Repair Kit, Stephen Baxter 「なんでも修理機」スティーヴン・バクスター

ド直球SF。時間ネタ。燃える。でも今オチを再考中。んんんん?
やっぱおかしい。
シリアスにいくなら「万能修理機」かな。でもドラえもんっぽい話だからこっちでもいいかも。

Orange, Neil Gaiman「オレンジ」ニール・ゲイマン

もともとHow To Talk To Girls At Partiesを載せるはずだったけど別の本に入っちゃって、急遽書きあげたものらしい。変化球。

The Surfer, Kelly Link「サーファー」ケリー・リンク

30年くらい未来。SF的大ネタはないけど、甘酸っぱい青春の1ページという感じ。主人公の父親が息子を連れてアメリカの pandemic flu を逃れるためコスタリカへ行く。そこで乗客全員が1週間ほど隔離される。それを見越して父親は大量のSFペーパーバックを持ってきていた。隔離所にはいっしょにクソ生意気な女の子もいて、大人のダメさとかSFの表紙はデカパイ女ばっかりで変だとかいろいろ話す。もう一人コスタリカ人のかわいい女の子もいて主人公はドキドキする。
これを読んだ子供が大人になったくらいの時代設定、てのが面白い。いかに大人がダメか語られるけど、そうなるか否かは読者次第ということ。
SF的ストーリーより少年の日常が主題かな。

Anda's Game, Cory Doctorow 「アンダのゲーム」コリイ・ドクトロウ

ネトゲの cultural reference たっぷり。RMTを通じて実社会の問題につながっていく。エンダーのゲーム現代版。
ちなみにネットでも読める。お下品なセリフが本ではカットされてる。
そういえばサウスパークのWoWをネタにした回を思い出した。

Cheats, Gwyneth Jones 「いかさま野郎」アン・ハラム

これもオタクcultural reference たっぷり。設定がはじめ分かり難いけど終盤で明らかに。サイバーパンクのあれやこれや、ティプトリーのあれとか。○○の最終回、てネタとかも連想。著者はFFをやってたことが分かる。

The Dismantled Invention of Fate, Jeffrey Ford 「解体された宿命の発明」ジェフリー・フォード

これは素晴らしく気に入った。作者は読者へのガイドとしてムアコックの名前を上げてるけど、自分はハーラン・エリスンを連想した。喪失感と幻想的な風景ってことで「ヴァージル・オッダムと東極に立つ」とか「ランゲルハンス島沖を漂流中」とか。

Sundiver Day, Kathleen Ann Goonan キャスリン・アン・グーナン

派兵先で行方不明になった兄のクローンを作ろうとする妹。フロリダ・キーウェストが舞台。日本でいえば沖縄。住んでみたいなぁ。Google Maps

The Dust Assassin, Ian McDonald  「塵の暗殺者」イアン・マクドナルド

未来のインドで、ミサイルとロボットが入り乱れる Blood Feud。主人公は一方の一族の娘。そして彼女を守る特殊な才能を持つ6人の宦官。インドの固有名詞が多くて初めは読みにくい。結末はすごい。
River of Gods という作品と同じ設定だそうで。

The Star Surgeon's Apprentice, Alastair Reynolds 「宇宙外科の見習い」 アレステア・レナルズ

少年冒険宇宙小説。楽しい。でも小さいころ読んだらトラウマになりそう。

An Honest Day's Work, Margo Lanagan マーゴ・ラナガン

はじめ話が分かりにくい。解説先に読んだ方がいいかも。
溺れた巨人は腐る前に住人たちがおいしく頂きました。

Lost Continent, Greg Egan 失われた大陸 グレッグ・イーガン

イーガンもこういう小説としてよくできた作品を書こうと思えば書けるんだ。びっくり。ただしSFじゃなくて普通の小説。舞台は未来だけどネタとしては今のオーストラリアそのまま。

Incomers, Paul McAuley ポール・J・マコーリイ

土星の衛星の少年探偵。

Infestation, Garth Nix ガース・ニクス

これはいい意味で少年ジャンプぽい。冒頭から引き込まれる。吸血鬼物。絵になる。

Post-Ironic Stress Syndrome, Tricia Sullivan トリシア・サリヴァン

これもちょっとジャンプっぽい。設定はGガンダム。二つの文明が時空の支配権を賭けてタイマン勝負。面白い設定を考えるな。

Pinocchio, Walter Jon Williams ピノキオ ウォルター・ジョン・ウィリアムズ

未来のYoutube有名人の話。ブリトニー・スピアーズみたいにダメになっていく。