●グレアム・ファーメロ 『美しくなければならない―現代科学の偉大な方程式』

ISBN:4314009373 【アマゾン】

E=mc^2 など、科学のマイルストーンとなったいろいろな式を紹介してある。しかしプレゼンがあまりうまくない。なぜその式がすごいのか、読者に伝わりにくい。 E=mc^2 とかならファインマン物理が一番。そんなに説明長くないし。しかし本書のスペースじゃ説明は無理かもな。ていうか一般書では数式はタブーとかいうの、どうにかならんかね。数式見るとジンマシンが出るでごじゃるよ、とかいう奴でもいるのか。数式使わずに(弄らずに) 理解するなんて、運動せずに痩せるようなもんだ。そういう本はいっぱい出てるけど効果はサッパリ。
情報エントロピーの章の説明とかも、もっとうまく出来そうなもの。モールス信号ではよく使う文字は短い信号が当てられている。ファイルの圧縮も本質的にはおなじことをしている。(拡張子 LZH の H がハフマン符号化でそれに相当。 LZ は"々"のような記号で繰り返しを短縮する、また別の方法)
ディラック方程式とかは、ディラック本人の書いた教科書が一番かな。こんな風です:


ほげ φ=0
これはローレンツ共変じゃないから、ほにゃを左にかけてみましょう。
ほにゃほげφ=0
これでローレンツ共変になりましたね。でも余計な解も出て来ちゃいますけど(反粒子)でも時間が二階になっちゃいましたね。もういっちょふげをかけてみましょう。
ふげほにゃほげφ=0
これで時間が一階になりました。あれ、また余分な解がでちゃいますね(スピン)
まるで手品。
この本で一番面白かったのはタカ・ハトゲームにもう一種類加えたゲームの話。タカ・ハトゲームの場合はハト派が多くなると少数武闘派はジャイアン状態なので得をするから、俺もジャイアンになる、って奴が増えてタカ派が増える。逆にタカばかりだとジャイアンだらけでみんな喧嘩しまくってヘロヘロ、そのなかで少数ののび太が(たまにマンガを永久に借りられるとしても) 優雅に暮らすことになって俺ものび太になる!って感じでジャイアンが減る。そういう感じで時間が経つと一種のナッシュ均衡に達して比率が一定の値に漸近していく。これが三種類だと均衡に達せずに三つの比率がぐるぐる回転する場合があるらしい。しかも実際にある種類のトカゲでこの現象が観測されたらしい。