グレッグ・イーガン "Distress" (邦訳『万物理論』刊行予定?) ISBN:0061057274

PART 2 まで読み終る。いかなる政府にも属さない人工島 "Stateless" でアインシュタイン没後100年を記念した宇宙論の学会が開かれる。しかしこの島は政治的に複雑な立場にあり、かつバイオテク企業が特許を持つ造島生物を無断使用しているので問題が多い。それに加えてTOEに反対する反科学、疑似科学のカルトも押し寄せて来て大騒ぎ。
このパートは政治、宗教、ジェンダーといった様々なイデオロギーや、科学論に重点が置かれたりして、自然科学より社会科学の色が濃い。以下少しネタバレ:
「数当て手品」、当てるだけならもっと少ないステップで出来る。各桁を足すという操作で9で割った余りが変化しないのがミソ。で、なんでステップが多いかというと、答えをあの数にするため。なんであの数かというと、ある小説によればあれが「宇宙の究極の答え」だから。
短篇『祈りの海』は、文字通り「神の啓司なんて糞」という話だったけど、このパートの最後でも神の啓司を受けるきっかけが「糞」であるというのが笑える。いやしかし読んでるだけでケツの穴が緩みそうだ。ぴしゃー。でも陰謀が発覚する過程は唐突な印象を受ける。