ダン・シモンズ『イリウム』 ISBN:0575072601

サトクリフ版トロイア戦争 ISBN:0711215227 を読み終えたんで、ちょっと覗いて見た。はまった。30ページくらい読んだ。地火木の三惑星で三つのプロットが進行するけど、それぞれ掴みはオッケー。なんといってもメインプロットのトロイア戦争。20世紀の学者がトロイア戦争の有名な場面へ "QT" して現地レポートします。こいつは死にそうだけどイーリアスのBook 16 まで生きるとか、こいつはシュワルツェネッガーをハンサムにしたような奴だとか読者に説明してくれます。神話世界に場違いな主人公が紛れこむというのはトールキンゼラズニイに通じる設定。そんで『光の王』ISBN:4150106258 ばりに神様もいっぱい出てきます。
サブプロットの一つ、ガニメデの硫黄の海を怪物に追われながら潜水艦で逃げるロボットは逃げる最中もシェイクスピアの「ソネット116番」を熱心に解読してます。いろんなシェイクスピア作品を引合いにだしてるんでテンペスト読んだだけではついて行けなかった。でも原文の雰囲気は掴めてたんで興味深く読めた。
もう一つは地球上。いろんな造語があり酒井訳が楽しみ。ちょっとドライヴに欠けるけど、読者サービスでもって「アイネイアータンハァハァ」とか言ってた輩のハートを鷲掴みにするでしょう。その後はジョーキンズ氏みたいな話でこれがまた面白い。