グレッグ・イーガン "TAP"をオンラインで読む。
これは例の「クオリア」ってやつの話ですね。「赤いバラ」とか「足の小指をぶつけた痛さ」といった「感じ」をデジタル化して赤外線ポートで相手に送るプロトコル "TAP" の話。どういう脳の状態がどういうクオリアに対応してるかなんてのは分からないけど、脳に埋めこんだチップのニューラルネットにその変換を学習させるという設定。(でもこれだと外人に「生姜と葱の乗った冷奴の味」とか信号を伝達しても学習してないから分からないかも。つうかどういう信号になるんだ。複雑なものは少数の基本的なクオリアに分解できるという設定だろうか。)
追記:"TAP" は「言語」である、と作中で書かれているから、きっとそういう還元できる構造なんだろう。言語だから対象の疎外が生じ、以下ネタバレなので略。
これを使っていた老人が原因不明の死をとげる事件があり、その娘が主人公の探偵に調査を依頼する。タブロイド紙は被害者が「死の言葉」を受信したのでは、と書き立てる。はたして真相は?
相変わらずテクニカルなディテールが激しく面白い。メインの話の方はチャンの『理解』とかイーガンの『しあわせの理由』とか面白かった人には超おすすめの話。