うーん、やっぱわけわからん。無限を考えてトリップしましょう、ということか。
メシの種にならん集合論に深入りしたくはないけど、教科書読むと教養課程で1コマで終りそうな分量なんで、とりあえずSF者の教養として勉強しとくか。
本文にも解説にもアレフ1の定義書いてないしー。解説には選択公理と、同値な整列可能定理がうんぬんと書いてある。いちおう教科書で選択公理から整列可能定理を導く証明を見てみた。小説に使えるシロモノじゃない。
ある集合Xの、すべての部分集合を考える。選択公理により、それぞれの部分集合から要素を一つ選ぶ関数fがある。これを使ってXを整列することができる。初めの要素は a0=f(X)。次は a1=f(X-a0)。X-a0 はa0を含まないから、そこから選んだa1はa0と異なる。次は a2=f(X-{a0,a1})。これも同様に a0, a1 と異なる。次は a3=f(X-{a0,a1,a2})。こうやって整列させると可算無限の整列集合ができる。でもX全部を整列はできないかもしれない。整列できた部分をAとおく。これ以上整列できないとする。しかし f(X-A)をAの後にひっつけると整列を続けることができる。したがって矛盾だから、X全てを整列できる。ただし順序はωとは限らない。本当は他にも証明すべきことはあるようだけど、核になる考えは上のようなもの。整列集合というのは、常に「直後」の要素が定義できる。自然数なら1足したやつ。{1,3,5,7,…,2,4,6,8,…}という集合の場合、2の直前の要素は定義できないが、直後はある。他のもみんな直後があるから整列集合。有理数の集合の場合、数直線上の順番で並べると明らかに「直後」の数字は定義できない。a の直後が b だと仮定すると、(a+b)/2 も有理数だから矛盾。でも有理数が可算であることを示す時に使う並べ方をすれば常に直後は定義できる。つまり並べ方を変えれば整列集合になる。整列可能定理てのは、任意の集合についておなじことが出来るという話らしい。区間[0:1]の実数でも出来ることになる。その並べ方は分からないけど。
いろんな無限に番付けをしたラベルも、整列可能で「直後」が定義できるから、可算無限の直後をアレフ1と定義するらしい。その正体は分からない。
順番まで考えると可算無限もいろいろある。一番単純なのは自然数そのままの順番でこれをωと書く。{1,2,3,4,5,…,フィーリクス}というのをω+1とかく。ヒルベルトのホテルに屋上を作ってそこに寝る場合。1+ωは{フィーリクス,1,2,3,4,5,…}だけど、これはωに等しい。つまり1+ω≠ω+1。{1,3,5,7,…,2,4,6,8,…}というのを2ωとかく。ヒルベルトホテルを二つ重ねたもの。{1,4,7,…,2,5,8,…,3,6,9,…}を3ω。これを可算無限回(a回)繰り返したのをωω。ωωをa回繰り返したのをωωω。この過程をa回繰り返したのをω^ω。ω^ωをa回繰り返すと ω (ω^ω)。それをa回繰り返すと ω^2 (ω^ω)。どんどんやると(ω^ω)(ω^ω)=(ω^ω)^2。これをまた繰り返すと (ω^ω)^ω。ここまでの過程をa回繰り返すと ω^ω^ω^ω^…。これをε0と書く。
<青臭い>
物理で「無限」はどう扱うか。一つの考え方として不可知論があると思う。物理の理論てのは実験結果を説明してナンボ、であって、実験で空間を無限に細かく調べることが出来ないから、そういうことは考えなくていい、という考え。体積をもたない点電荷の電子の裸の質量を元にいろんな物理量を計算しようとすると値が発散する。でもどうせ裸の質量なんて実験で測れないから、いろいろひっくるめた有効質量を出発点にしよう、という繰り込みの考えがそうだと思う。
でも無限に細かい空間スケールに関する知識を放棄して有限の大きさのスケールでの振舞いを記述するモデルを出発点にするとして、将来測定装置の空間解像度が上がって細かいことが見えてくると振舞いが全然違ってモデルを変更しないといけない、てことになると意味が無い。しかし観測するスケールを変えても、本質的に同じモデルでパラメータだけ変えたもので記述できる、となれば非常に良い。モデルを作る時はそういうことが必須条件になる。
この観測するスケールの違いをパラメータの違いに押し込めるというのは非常に強力な解析手段で、繰り込み群変換と呼ばれて統計力学では欠かすことのできないものになった。
</青臭い>
え?物質はアレフ0で空間エーテルがアレフ1、魂がアレフ2?
ハァ?