フィボナッチ箱庭宇宙

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f(n+2) = (f(n)+f(n+1))mod M の周期をP(M)と置く。

M 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
P(M) 3 8 6 20 24 16 12 24 60 10 24 28 48 40 24 36 24 18 60

M×Mの格子点を書いて、点(f(n),f(n+1))をたどって行く。いつかは出発点に戻る。(0,0)から出発すると動かないから、それ以外のM^2-1個の点を動けてこれが周期の最大値。M=2,3の時はこれ。Mが偶数だとX,Y共に偶数の点は閉じているので、それ以外の点と軌道が分かれる。素数ならP(M)=M^2-1か、と思えばM=5でいきなり破綻する。4つの点を回る孤立した軌道が一個ある。うーむ不思議だ。
下の絵はM=125の時に最長の軌道を軌道ごとに色を変えて表示したもの。並進対称性っぽいのは5の倍数の場合の特別な性質で、周期4の解に普通の解を重ねあわせたのも解になるのが原因。一般的には(0,0)中心の180度回転しかない。かな?他に時間反転と空間反転組み合わせたりして不変な変換ができるかな?
ふむ、2ステップごとに動きを見れば、一般のMでも時間反転×90度回転は不変になるっぽい。あるいは1ステップでちゃんと見ると時間反転×90度回転×毎回180度回転=1。どの変換も二回やって1になる。CPT対称性みたいだ。ちょっと詳しく書いてみると、
この宇宙の法則では点(X,Y)は1ステップ後に点(Y,X+Y)に移動する。時間を逆回しにすると、点(X,Y)が点(Y-X,X)に移動していく。これは元の法則と違う。この移動する様子を撮影して90度回転すると、移動前、移動後の両方の点についてX,Y成分を入れ替えてX成分を-1倍することになり、点(-Y,X)が点(-X,Y-X)に移動するように見える。このとき点(X,Y)は点-1*(Y,X+Y)に移動する。これは元の宇宙のルールを適用してから180度回転するというルール。

他にも発展方程式が線形であることから数値を全部定数倍する変換もOK。つまりある軌道にMと互いに素な数をかけてもやはり軌道になる。元と同じ軌道だったり別の軌道だったりする。ただし軌道の長さは変化しない。この変換はφ(M)回かけると元に戻る。φ(M)はオイラーのφ関数= Mより小さくMと互いに素な数の個数。すなわち同じ長さの軌道の集合は群Znの表現になる。n=φ(M)。180度回転はこの変換に含まれる。
CPT対称性(仮称)については、時間反転は明らかに軌道を不変に保つので、残りの90度回転×軌道の点を1つおきに-1倍する、という変換に関して別の軌道に移るか不変かのどちらか。Z2の対称性。つまり全体でZn×Z2の対称性がある。同じ長さの軌道の集合はこの群の可約あるいは既約な表現になっているはずで、その数は既約表現の次元か、複数の既約表現の次元の和になる。
おっと、間違えた。軌道の点を1つおきに-1倍する、という変換は軌道を軌道に移すとは限らない。整理してみよう。

  • 時間発展 T=\left[\begin{array}{cc}1&1\\1&0\end{array}\right], T^{-1}=\left[\begin{array}{cc}0&1\\1&-1\end{array}\right]
  • 90度回転 R=\left[\begin{array}{cc}0&1\\-1&0\end{array}\right], R^{-1} = -R,\,\,\, R^2=-1
  • 定数倍 C=\left[\begin{array}{cc}c&0\\0&c\end{array}\right] 全てと交換。c数。C^{\phi(M)=1]
  •  RT^{-1}R^{-1} = -T

ある出発点から出発した軌道をgと書く。g=\{r_0, T r_0, T^2 r_0, \cdots\}。Tg=g。Cg=実際調べないと分からない。 gを奇数、偶数ステップで分解したものを「半軌道」とよんで g0, g1 とおく。g = g_0\bigcup g_1,  g_0=\{r_0, T^2 r_0, T^4 r_0, \cdots\}, g_1=\{T r_0, T^3 r_0, T^5 r_0, \cdots\}。Tg0 = g1, Tg1=g0。周期は偶数とする。奇数だとg0=g1=g。
 RT^{-1} = -T Rを g0, g1 にそれぞれ作用させると RT^{-1}g_0 = -T R g_0から R g_1 = -T R g_0、同様に R g_0 = -T R g_1。したがって R g_1 = -T R g_0 = (-T)(-T)R g_1= T^2 R g_1。このことから R g_0, R g_1 もある軌道を奇遇で半分に分割したもの。

同じ周期の軌道の集合g1, g2, .. gd はCの表現基底。dは軌道の数。(Tは常に単位元なので省く)。同じ周期の半軌道の集合はRとTとCの表現の基底となる。giをgi1とgi0 などと半軌道に分解する。{gi0},{gi1} はそれぞれCに閉じていて、Cの表現の基底。C{gi0}={gi0}。C{gi1}={gi1}。(訂正:ちがった)。またT{gi0}={gi1}、T{gi1}={gi0}。R{gi0}は{gi0}か{gi1}のどちらか。R{gi0}={gi0}なら同様にR{gi1}=R{gi1} なので R{gi}={gi}となり90度回転した軌道もまた軌道になる。
R{gi}={gi}の場合、RとCの関係は、RがCの何乗かで表される場合とそうでない場合が考えられる。前者は全体の対称性はZnで変わらず。特にRでそれ自身に移る場合は軌道は4回対称。後者だと可能性としてはCが{gi}を商集合に分割し、Rはその商集合間を変換することが考えられる。R^4=1 なので商集合は1,2,4個のどれか。

以下はM=11の場合にRとCで各軌道が何に移るかの表。
軌道を-1倍(180度回転)して別の軌道にうつる場合は+Aと-Aのように現す。-1倍で自分自身に移る場合は単にAとかく。半軌道をA0、A1のように表す。周期が奇数の場合はA*と表す。
定数倍、および90度回転で半軌道が移る先の軌道を並べてある。C{g0}={g0}などの場合は半軌道の添え字は省略。定数は X1(それ自身)X(M-1)(180度回転) X2、X(M-2)・・・と並んでいる。

M=11 Phi(M)=10

Period 5 Num 2

x1x10x2x9x3x8x4x7x5x61 R
+A*-A*-A*+A*+A*-A*+A*-A*+A*-A*+A*F1
-A*+A*+A*-A*-A*+A*-A*+A*-A*+A*-A*F0
. _6_ _7_ _8_ _9_ _10_ _1_ _2_ _3_ _4_ _5_
_6_ _-A*01________
_7_ ____-A*03_____
_8_ ______-A*02___
_9_ _________+A*04
_10_ __-A*00_______
_1_ _______+A*00__
_2_ -A*04_________
_3_ ___+A*02______
_4_ _____+A*03____
_5_ ________+A*01_

Period 10 Num 22

x1x10x2x9x3x8x4x7x5x61 R
+A-A+B-B+C-C+D-D+E-E+A0-A1
+A1+A0
-A+A-B+B-C+C-D+D-E+E-A0+A1
-A1-A0
+B-B+D-D-E+E-C+C-A+A+B0-B1
+B1+B0
-B+B-D+D+E-E+C-C+A-A-B0+B1
-B1-B0
+C-C-E+E-B+B+A-A+D-D+C0-C1
+C1+C0
-C+C+E-E+B-B-A+A-D+D-C0+C1
-C1-C0
+D-D-C+C+A-A+E-E-B+B+D0-D1
+D1+D0
-D+D+C-C-A+A-E+E+B-B-D0+D1
-D1-D0
+E-E-A+A+D-D-B+B+C-C+E0-E1
+E1+E0
-E+E+A-A-D+D+B-B-C+C-E0+E1
-E1-E0
F0F1F1F0F0F1F0F1F0F1F0+A*
F1F0F0F1F1F0F1F0F1F0F1-A*
. _6_ _7_ _8_ _9_ _10_ _0_ _1_ _2_ _3_ _4_ _5_
_6_ -E001_-A102F101+E004-E100-B003+C103+C101+B002-E104
_7_ -B103-D001+D004-B101_-D100-E002-C102+E003-D104F104
_8_ +C004-E102-C001-A002+D103-C100F100_-C104+D101+A003
_9_ +C002-C003F001-B001-A101-B100+D102-B104-A103+B004_
_10_ +B102+E103_+D003-A001-A100-A104+A004-D002F102+E101
_0_ -E000-D000-C000-B000-A000000+A000+B000+C000+D000+E000
_1_ -E101F000+D002-A004+A104+A100+A001-D003_-E103-B102
_2_ _-B004+A103+B104-D102+B100+A101+B001F103+C003-C002
_3_ -A003-D101+C104_F003+C100-D103+A002+C001+E102-C004
_4_ F002+D104-E003+C102+E002+D100_+B101-D004+D001+B103
_5_ +E104-B002-C101-C103+B003+E100-E004F004+A102_+E001

M=13 Phi(M)=12

Period 28 Num 12

x1x12x2x11x3x10x4x9x5x8x6x71 R
A0A0B0B0B1B1C0C0A1A1C1C1A0A1
A1A1B1B1B0B0C1C1A0A0C0C0A1A0
B0B0C0C0C1C1A1A1B1B1A0A0B0B1
B1B1C1C1C0C0A0A0B0B0A1A1B1B0
C0C0A1A1A0A0B1B1C1C1B0B0C0C1
C1C1A0A0A1A1B0B0C0C0B1B1C1C0
D0D0F1F1F0F0E1E1D1D1E0E0D0D1
D1D1F0F0F1F1E0E0D0D0E1E1D1D0
E0E0D0D0D1D1F1F1E1E1F0F0E0E1
E1E1D1D1D0D0F0F0E0E0F1F1E1E0
F0F0E0E0E1E1D0D0F1F1D1D1F0F1
F1F1E1E1E0E0D1D1F0F0D0D0F1F0
. _7_ _8_ _9_ _10_ _11_ _12_ _0_ _1_ _2_ _3_ _4_ _5_ _6_
_7_ C111F008B009B012F010C102C011E005D111F112D101E011C010
_8_ E105A104E008A109E103F107A004C112D109D103C101A003F103
_9_ D012C013C008D008B108E107C107F104F009F106C106E101B105
_10_ F013D010F005B111A009D107B011E102E106B010D105A012B102
_11_ D002D004F109E003B008A108B107D106B106A105B013E013F101
_12_ E111C002F007E007D007A008A107A106A013D013E009F011C005
_0_ C110A103C007B110B007A007000A000B000B103C000A110C103
_1_ C012F004E002D006A006A113A100A001D000E000F000C009E104
_2_ F108E006B006A112B113D113B100A101B001E010F102D011D009
_3_ B109A005D112B003E113E109B004D100A002B104F012D003F006
_4_ B112E108C113F113F002F111C100E100B101D001C001C006D005
_5_ F110A010C108D110D102C105A011F100E110A102E001A111E112
_6_ C003E004D108F105D104E012C004C109F003B005B002F001C104