グレッグ・イーガン『万物理論』 ISBN:4488711022

あくまで本筋と関係ない部分の話。TOE の候補として挙げられる架空の "All Topologies Model" (ATM) の説明の部分、原文が以下のURLに引用されてる。
http://www.mail-archive.com/everything-list@eskimo.com/msg03693.html

Nine spatial dimensions (six rolled up tight), and one time, was only what total space appeared to be if it wasn't examined too closely. Whenever two subatomic particles interacted, there was always a chance that the total space they occupied would behave, instead, like part of a twelve-dimensional hypersphere, or a thirteen-dimensional doughnut, or a fourteen-dimensional figure eight, or just about anything else.

"six rolled up tight" は「6つはきつく繰りこまれている」と訳されてた。これは google:ブレーン宇宙論とかの話なのかな。あまり知らないけど。余分な6次元を考えるのは三次元で複雑な理論を作るより9次元でシンプルな理論のほうがいい、って感じか。次の長編 Diaspora でも同じような話がでてきた。物理の厳密な意味での「繰り込み」とはちょっと違うかな。6つはプランク長くらいしかない、とか。
繰り込むのは人間が自然をとらえるときに行う観察方法のひとつで、宇宙はそれと無関係に as is だから。でも続く文は繰り込みを連想させる。9次元という見方自体が繰り込まれたものであるという感じ。
そういえばイーガンと ATM っぽい理論の共著論文を書いてる J. Baez 氏のナイスなページを発見。"Renormalization Made Easy"
水の臨界点の説明がナイス。クリストファー・プリーストの短篇を思い出した(タイトル失念)。しかし厳密なことを言えば表面張力がないから明確な泡というのは見えない。密度の連続的な揺らぎがあるだけ。まあ最後のクヌースの文でわざとだと分かるけど。