[[ハーラン・エリスン]]の "Deathbird Stories" ISBN:1587541017 【アマゾン】出ないなぁ。去年出るといってた扶桑社の邦訳も出ないなぁ。


グレッグ・イーガン 『しあわせの理由』山岸真訳 ISBN:415011451X 【アマゾン】, 早川文庫SF

☆ ボーダーガード
量子サッカーなどの技術的な話は別ファイルに。
マルジットは個人的なトラウマと、他人とわかち合えない死の記憶というトラウマを持ってるけど、これは切り離せないのかな。だんだんと両方ともアイデンティティみたいになっちゃったんだろうな。でも無限に時間があれば体内の細胞が総入れ換えになるように人格も別人になっちゃうはず。それはゆるやかな死とも考えられるかも。それを拒絶してたマルジットだけど、最後にはトラウマを一人で抱えないで「周囲にトンネルさせる」ことを選んで、新しい人生をやりなおす。トラウマは拡散して忘却されるのではなく、周囲の人間がうけとめて、拡散して消えることを防ぐ。そういう意味のボーダーガードかな。ええ話や。
☆ 移相夢
追記。「意識はどこに宿るのか。計算の過程か、それとも表現される数値データか。」
数値データのみ、というのは有り得ない。塵理論のように、一定ステップ後の状態がどこかにあらかじめ存在する、としても、それが計算ルールにしたがってステップ数だけ計算した状態になってるかどうかというのは実際計算しないと分からない。単純な計算ならいきなり 10000ステップ後の状態とかを途中を飛ばして計算できるが、意識を再現できるほど複雑なプロセスではそういう近道は存在しない(→計算の複雑さ)。計算が必ず必要ということになる。データ自体に意識はない、とすると計算を停止している不完全な状態なら移相夢はない。脳の中ではノイマン型とちがって複数箇所で同時に信号処理プロセスが進行しているけど、たぶんそれをノイマン型マシンで TSSのような感じでエミュレートしてるんだろう。この処理を開始する時に一部分しか活動してない状態ができて、それが移相夢になるとか、そういう感じなんだろうな。