昼休みに思い付いてチャチャっと作ったプログラム、ランダム碁UNIXX11用。巨大な碁盤にランダムに石を置いていった場合をシミュレートします。なにも考えずに置いていった場合はこんな感じで、自己組織化っぽくなってフラクタルっぽいパターンが出て来る。赤がまだ石を置いてない部分。たとえば白なら周囲(内部も)を見て赤が一つもない場合は死んで全部赤に戻る。最終的には全部黒とかになって、赤がないから全部死んで赤に戻って、また始めからになる。
自分の陣地の空いた場所に置いて自滅するようなのを禁止した場合はこんな感じ。何か特徴的な大きさのクラスタがある感じ。どちらかというと前者の方が見ていて楽しい。
いちおう統計物理の蘊蓄をたれておきますと、自己組織化現象を見せる砂山モデルと同じような、雪崩がおきる、というのがポイントかも。砂山の場合、限界を越えて最後の砂の一粒が追加されると、どどーっと崩れて大幅に配置が変わるけど、同じように空いた場所に一つ石を置いて一気に大きなクラスタが死ぬ、てことが共通してる。あと、後者のルールの場合の配置を見ると、白も黒も上端から下端までつながったクラスタはないように見える。実は二次元で、ある濃度で石をばらまいた時、濃度が約58%以上でないと、そういうつながったクラスタは生成されない、ということがパーコレーション理論によって分かっている。白と黒は50%以下だから、これは当然そうなるべき。三次元の場合はこの臨界値が30%程度なので、黒も白も上下につながる。黒も白もスポンジ的な穴だらけの陣地が絡みあって系全体に広がっている、という配置が予想される。よく言われることは、碁が自明でないゲームになっているのは二次元の臨界濃度である58%の下でゲームを行ってるからだ、て話がある。三角格子の場合は臨界濃度がちょうど50%だったかな。この場合はどうなんだろう。
追記:三角格子で後者のルールをやってみた結果がこの画像。パーコレートしてるように見える。
追記:"go game" と "Self-organized criticality" で検索してみたら、地震学者の大塚道男教授による碁石モデルというのを発見。よんでみたらパーコレーションのシミュレーションで使われる"Leath algorithm" と等だった。しかし、Leath Algorithmが出たのは 1976年の P.L. Leath, Phys. Rev. B 14 (1976) 5046.
一方大塚教授の碁石モデルは1971年に考案されている。うーん、残念。パーコレーションのシミュレーション法として欧文誌に出てればOhtsuka Algorithm となったところなのに。
追記:後者のルールで、系の中の L×Lの正方形部分に注目し、そこでの黒と白の濃度の差のゆらぎ(標準偏差)が完全にランダムである場合に比べて何倍になっているかを計算し、Lに対してプロットしたのが下の図。ちょうど20×20あたりでサチってるように見える。つまり、これ以上大きくしても複雑さは変わらない、ということで現行の19×19ってのはリーズナブルな値なのかも。