●ロジャー・ゼラズニイ "Unicorn Variations" ISBN:0380702878 【アマゾン】 |
☆ Dismal Light
「フランシス・サンドウ」という人が出てきます。聞いたことあるな、と思って調べたら『イタルヴァーに死す』に出てたらしい(覚えてない)。あとは未訳の "Isle of the Dead" にも出てるらしい。流刑惑星に刑期が終っても留まっている男の話。美人精神科医が出て来るけど、ゼラズニイ作品にはよく出て来ますね。『ドリームマスター』とか『ハングマンの帰還』とか。
☆ Go Starless in the Night
ツツイに似た設定の話があったような。
☆ But Not the Herald
出て来る老人はこういうことらしい。
☆ Across the Galaxy
地球人の里親に宛てられた変な宇宙人の手紙。英語が微妙に変。
☆ The Force That Through the Circuit Drives the Current
『ハングマンの帰還』の元になった短篇。本人曰く未完成らしいけど、オチが決まってて悪くはない。
☆ Home is the Hangman
『ハングマンの帰還』としてサンリオSF文庫『我が名はレジオン』に邦訳あり。中央コンピュータから名前を抹消した探偵の主人公が語る偽名に"John Donne" というのがある。英語で名無しという意味の "John Doe"のモジリだと思ってチープだなと思ってたけど、19世紀の詩人の名前でもあるらしい。さすがゼラズニイ。おみそれしました。
文章はハードボイルドっぽい簡潔で謎めいた(crypticな)英語が多い。例えば:
主人公が依頼人を自分の船に呼んで仕事の詳細を聞き、そこで依頼人に数日以内の連絡先を尋ねる。依頼人はペンを取り出し、"Glad to have youaboard." と言い、主人公は気圧計を軽く叩いて首を横に振る。
依頼人が自分の船を連絡先にしようとしてて、主人公は天気が悪化するのを見越して「船じゃだめだ」と言ってる、という意味(だと思うけど)が分かるまでかなり苦労した。
ラストがいい。再読なんで結末は知ってたけど、初読の時はおぉー、と思った。
しかし、アクションシーンが例によって一挙手一到足に至るまで描かれてるけど、これがマトリクスとかジョジョぐらい超人的に無理な体勢に思える。英文解釈が間違ってるんだろうか。ゼラズニイ各作品の名格闘シーンを小小作品みたいなフラッシュ作って再現したら面白そう。作り方勉強してみるかな。
Flurry さんのレビューに刺激を受けて密かに順列都市のレビューを更新。でもまだオートヴァース生物の宇宙論とか、よくわからない点もあり。その点は『万物理論』につながってたり。