グレッグ・イーガン『決断者』、SFM 2003年8月号

一言で言えば、
中の人などいない!
ってことですね。結論自体は、もとよりそういうものだと自分でも思ってたし、標準的な考えだと思う。そうでないと中の人の中の人の中の…という無限後退が生じるし。
ところで作中の「パターン認識のパターンを認識する」っての、実際出来るんですかね。同じように、「パターン認識のパターンを認識するパターンを認識する…」となってしまいそう。ニューラルネットだと、全てのパーセプトロンから入力へフィードバックをかける、て感じかな。入力側の数が足りないだろうから、ある程度粗視化しないとダメなんじゃないか。あとハウリングとか起きそう。
なんか "Diaspora" の第1章(オンラインで読めます) で同じようなこと書いてあったかも。初めの方は分かりにくい話ですが、要はセルオートマトンで脳の生物学的発生を真似てます。脳が出来た後にネットワークが形成され自我が発生する過程が描かれてますが、その部分が『決断者』と共通のテーマです。

SFM 2003-8 はイーガン特集号

東氏、冬樹氏のイーガン論も面白かった。東氏の前半フーコーの話はよく分からなかったけど、後半はよく分かった。「言葉ともの」てのは「モノとコト」みたいなもんだろうか。だとしたら『万物理論』の中心テーマですね。
冬樹氏のレビューは、『万物理論』に出て来る"AC" という概念のネタバレ寸前までいってますけど、偶然なんでしょうか。

量子脳

書店で『量子場脳理論入門』というのを立ち読み。タイトルは怪しいけど、書いてる人は場の理論のいい教科書いろいろ書いてる人。でもパラパラと数式を見たかぎりでは、普通の場の理論の教科書という感じで、どのあたりに脳がからんでいるのか良く分からなかった。