与那国島 初遠征 4/11-4/13

撮影機材: https://ita.hatenadiary.jp/entry/2025/04/17/000000
採集機材:https://ita.hatenadiary.jp/entry/20180816/p2
クリックで拡大。★は初見。
日本最西端の島、最寄りの島は台湾という与那国島へ行ってきました。Dr.コトーの舞台でもあります。
目標は与那国島未記録のタマムシ、および春物カミキリです。
まず長期的な戦略として、一度で特産種を全て見つけることは無理なので、確実に一生に二度は行くだろうと、そして二度行くなら一年に二度行けば状況を把握して成果が出しやすいと。そうなると出の早い春物と、残りの夏物それぞれ狙える時期がいい。
カミキリで春物はキマダラヒメミヤマ、キマダラミヤマ亜種、またオキナワサビも早めと言われている。一方でタマムシに関しては、石垣西表および台湾で記録があるのに与那国で記録がない種類が多い。もしかしたら石垣西表よりも出現時期が早く、それで見つかっていないのかもしれない、石垣西表はだいたい5月上旬がシーズンなので、ずらして行ってみよう、という若干の逆張りも考慮し4月中に行くことにしました。
しかし、飛行機の空きを見ていると、中旬以降がどんどん埋まっていきました。そこで急遽、11-13で行くことに。もう天気予報も出ているほど直近です。天候はずっと晴れ。いったれー!

計画

カミキリ特産,春:キマダラヒメミヤマ,キマダラ亜種,オキナワサビ(ほぼ特産)
カミキリ特産,春夏:イカリモンケシ(幻),ススキハネナシチビ,ヨナグニゴマダラ,シロスジドウボソ亜種,ヨナグニジュウジクロ,イシガキゴマフ亜種,キボシ亜種,ウスアヤ亜種,ヤンバルアトモン亜種
カミキリ特産,夏:ノブオフト,ウスイロフト
タマムシ特産:オオシマツブ亜種(幻), ヤエヤマクリ亜種(幻),オオムネアカチビナカボソ
タマムシ記録あり:イリエヒメマル,タイワンナカボソ,ヤエヤマムナビロ,ヒゲブトケシ,シバタナガ
タマムシ石西台あり与なし:アヤムナビロ,ウバタマ,ムネアカチビ,ヒメヒラタ,ミドリナカボソ,キンモンナガ,ウエノナガ,ヒラシマナガ,オオダンダラ,ツマキヒラタチビ,セキ,デグチ,アサヒナヒラタチビ,ヒメナカボソ
その他特産:ノブオオオアオコメツキ(まだ出てない) ヨナグニサン(情報なし)
幻はともかく、手堅いところからどんどんやっていこうと。
同行のSさんは二回目ということで実績のある場所を案内してもらう。

搭乗

対戦よろしくお願いします、略して対よろ

Day 1

虫屋さんのレンタカーで軽を借りて、まずは色々と記録のある最高峰へ。頂上で何か工事をしてて大型の車が通ります。そのせいか道路わきの木が沢山倒れていた。チェンソーで切るのではなくへしおったという感じ。そのためちょうどいい鮮度です。
しかし暑い。27度くらいの予報だったか。まずは意気込んで葉という葉をスイープしまくり。島初記録のタマムシ一網打尽じゃー!

アオムネスジタマムシ★

まずは普通種のこれ。いろんな木から入りました。もちろん既に記録あり。

動画も撮影してみた。アカメガシワの倒木で産卵場所を探している。


ヤノヤハズカミキリ★

広く分布してて特産ではないですが、初採集。ゴツゴツした感じが呪術道具っぽいです。
高所の枯葉から。

そして

掬っても掬ってもタマムシいません。たまに入るのはアオムネスジばかり。
試合終了。対戦ありがとうございました。対あり。
高所の枯葉も多く、あきらかにフト二種のトラップですが、こちらも不発。ウスイロは出が遅く微妙。ノブオは若干早いながら出ててもいい時期ですが、ホストであるシイが見当たりません。月刊むし656などではこの山にあるはずなんですが、切られちゃったのか。
昼の部終了。夕方でも狙える、今回の重点目標である竹食いを狙いに行きます。

キボシカミキリ与那国島亜種★

移動中に目の前の路面に着地したので急停車。黄色が鮮やかな固有亜種です。ただし白っぽい個体も見ました。道路脇に折れた桑がいくつかあり、そこに多数見られました。標本にすると白くなっちゃうんだそうで。

移動

昔の月刊むしで報告されていた「*岳山麓の林道」へ。Streetviewでリュウキュウチクが多い場所をあらかじめ見繕っていました。2014年撮影なのですが、まあ竹が急に無くなることはないだろうと。問題は都合良く刈り取りがされているか、ということ。
結論から言うと、そんな都合のいい物件はなかった。でも枯れ気味の物件をBTして回る。だんだん暗くなってきて竹だかススキだか分からなくなったり。そしてブーメは良く落ちる。

ウスアヤカミキリ与那国島亜種☆

国内では最も太短い体型の亜種だとか。
そういえば科研費研究の報告書で、ブーメは海流による遺伝子の拡散がある程度起きていて、完全な遺伝的隔離ではないというの読んだ事がある。とはいえ各島の個体群を均質化してしまうほどではないんだろうな。たくさん採れる、どの島にもいる、ということで数を集めて分子系統解析をやりやすい題材だな。


オオシマドウボソカミキリ

ススキから。奄美で撮影済み。特に亜種には分化してないようで。これも海流拡散かな。

アヤモンチビカミキリ

落とした時はブーメと思い、宿で見てススキハネナシチビと勘違い。そのまま採集できたと思って帰ってから写真をXに上げて誤同定を指摘されたもの。現地で分かっていればもちとがんばったんだけどな。ススキハネナシはアヤモンが分化したものと考えられてるようで。観察してて飛ぶ様子がなかったので騙された。次回はヨナグニトゲハムシと一緒に捜します。
同定のポイントは肩が張り出してて、エリトラ側縁なかほどに黒い部分がある、翅端が突出しているのはアヤモン。

夕飯

宿に一旦帰りシャワー。Google Mapsによれば祖納の居酒屋が遅くまでやってるようだったので、夜9時頃にノコノコ出かけていったらみんなもう終わりと言われる。なめてた。しょうがないので自販機のCCレモンで乾杯してカロリーメイト。

Day 2

朝8時からやっているという楓食堂さんに赴くも、臨時休業とのこと。向かいの商店でおにぎりを買って食べる。
いくつか林道を巡る。

キマダラヒメミヤマカミキリ★

暗めの林内で色々BTして発見。西表で材で出したヨツスジがいないかなとクロツグ枯葉などをBTした気がする。偶然かと思ったけど月む記事でも落ちると書いてあった。最初はケルシウムかと思い、なんか変な色のケルシウムで何だろうと思った。撮影してみるとビロード状の微毛が美しい。


アトモンチビカミキリ八重山諸島亜種

ヤンバルアトモンチビカミキリ与那国島亜種★

現地では分からなかったけど、帰宅して図鑑をよく読む。一番の手がかりはヤンバルの触角が細いということ。この二匹とも触角が翅端ちょうどくらいでメスだけど、明らかに下のほうが触角が細い。図鑑のプレートを見てもしっくりこなかったけど、実物を見ると結構納得した。あとは斑紋の違いだけど、こちらは個体変異の幅がおおきくて手掛かりにはなるけど決め手にはならないらしい。でもこれは割とヤンバルっぽい斑紋のヤンバルだと思う。

比川,里屋のエビ蕎麦。離島の昼は暑い。本州であればカロリーメイト食べながらルッキングするところだけど、暑いと虫もひっこむので効率悪い。じっくり飯。おつゆも全部飲んで塩分チャージ。

移動

また最高峰で色々。特に追加なし。
夜は空港近くのホテルのレストランで。

Day 3

いろいろ林道を巡る。

竹の幼虫

広範囲に探索して枯れ竹を捜す。何箇所目かで有望な物件を発見。上部の細い部分にキナコのような糞が詰まっている材を5本ほど確保。幼虫は、尻尾が尖ってないのでブーメではないと期待。ネット上にある画像と似てなくもない。ただ一本はサビアヤの特徴的な産卵痕があったので多分違う。

ヨナグニジュウジクロカミキリ★

色々掬ってたら入った。小さい。出始めのようでこれ1のみ。

比川のわかなそば

ヨナグニサン★

枝先の枯葉を探して上を見て歩いてたら発見!おおお!これがあれか。羽化した直後のようです。年に何回か羽化シーズンがあるようですが、出始めの時期のようでした。前翅のヘビ模様は見事ですね。
天記なのでお触り禁止。



折れ枝

BTやSWに飽きて折れた太枝でルッキング。

イシガキゴマフカミキリ原名亜種☆

枝に飛来。他の島に比べて黒が薄い。枝で止まってると見つけにくい。


ムネモンアカネトラカミキリ八重山諸島亜種

こちらも折れ枝で。午後3時以降にぽつぽつ飛来。

クロヒョウホンムシ★

これが科から分からなかったんですよ。シダ類をBTして発見。いわゆる3巻虫かなー、調べるの面倒だなーと思って、まずは生成AIに聞いてみました。iPhoneとGeminiで。期待はしてなかったんですが、どちらもPtinus属、いわゆるSpider beetleだという答え。ほほうと思いTwitterでPtinusを検索するとるどるふさんの投稿を発見。
https://x.com/necydalis/status/280500922679959552
まさにこれだー!そして学名で検索したらさやばねNSの記事を発見。
https://www.researchgate.net/publication/369763906_New_Record_of_Myrmecoptinus_sauteri_Pic_Coleoptera_Ptinidae_from_the_Yaeyama_Islands_the_Ryukyus_Japan_Elytra_New_Series
石垣西表、台湾ではみつかっていたけど、与那国島で2022年に記録されたとのこと。


帰宅チャレンジ

与那国18:50発、那覇で35分で乗り換え、羽田23:00というギリギリ便。ただ、那覇与那国便は一日二本で間隔があるため、前便遅延による乗り継ぎ失敗のリスクはなさそう。

総括

予想はしていましたが、石垣西表に比べると森林の深さみたいなのがかなり違いますね。面積も小さいし。ハブがいないということで、伐採され原生林がないためかな。木が高くないのでNecydalis 11mは持参せずProx 10mで掬いましたが充分でした。分布していない種が多いのも、偶然のもあれば必然のもありそうで。原生林が残ってたらもっと固有種、固有亜種がいただろうなぁ。
各論でいうと、ススキハネナシ痛恨のミス。ミヤマ亜種もバナトラとかすればよかった。でもススキハネナシは次回も充分狙える。竹のやつは材から出て来て欲しいなぁ。もし出てきたら採集地点で夜に生態写真を狙う。
タマムシはもう参りましたというしかない。遠征後にTwitterで猛者たちから、自分もヌルでしたという報告を受けました。でもイカリモンケシみたいな例もあるし、蘭嶼島の美しいタマムシがひょっこり居たりするかも、というロマンはあります。ただ、その辺りはまだ対馬の方が可能性高いかな。韓国に分布する種としてはAgrilus coreanus,ecarinatus,mali,peregrinus,smaragdinus,variusなどがいます。

第二次攻撃

いろいろ逃したので第二次攻撃を画策していましたが、どうも必要マイルが高く足りない。また採集した竹材の結果が出てから、再度オキナワサビを狙うかどうか決めて時間配分をしたいところだけど、なかなか出てこない。そうこうするうちに6月も半ばに。今年行かないとだめな物件とかもなかったし、むしろ発生木が今年多く供給され来年個体数が増えるという可能性もあるため、第二次は来年にしました。たぶんウスイロフトやノブオフト、ノブオオオォォアオの季節で。ススキハネナシチビ、同じくススキの固有トゲハムシ、ゴマダラ亜種,記録のあるイリエヒメマル,タイワンナカボソ,ヤエヤマムナビロ他、山頂の吹上でいろいろを狙う予定。

材その後

なかなか出ないので風呂の残り湯にバケツ浮かべて中に置いたり、昼はPCの下に置いたり。積算温度を稼いでいました。そして、 6月18日、ついに出ました!

オキナワサビカミキリ★

いやーうれしい。今回の最大のターゲットだったと言っても過言ではない。
分布域は与那国から九州まで広いのだけど、近年全く見つからず、与那国と種子島でのみポツポツ採れるというカミキリだったので、ほぼ固有種のようなもの。



幼虫

不明幼虫

多分ブーメ

総括2

再度の総括

固有種.準固有種

  • O ヨナグニジュウジクロ
  • O キマダラヒメミヤマ
  • X ススキハネナシチビ
  • X ヨナグニトゲハムシ
  • X ヨナグニゴマダラ
  • X ノブオフト
  • X ウスイロフト
  • X ノブオオオアオコメツキ
  • O オキナワサビ
  • X 幻イカリモンケシ
  • X 幻オオムネアカチビナカボソ

固有亜種

  • O キボシ
  • O ウスアヤ
  • O ヤンバルアトモン
  • O イシガキゴマフ
  • X キマダラミヤマ
  • X シロスジドウボソ(沖縄本島と同じ分類)
  • X 幻オオシマツブ
  • X 幻ヤエヤマクリ

X イマサカドウボソ
X イリエヒメマル
X タイワンナカボソ
X ヤエヤマムナビロ
X サビアヤ

石西台タマムシ:X