落とせセダカ!うどん剣

Canon EOS Kiss X5+Tamron SP 90mm VC USD

  • ストロボ:絞り優先モードF11〜F13、露光1/200固定、ストロボ+2、ケンコー影とり、ISO-AUTO
  • 自然光:マニュアルモードでF8〜F16、露光1/125〜1/1000、ISO-AUTO

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先日、イワワキセダカの発生木を見つけて、すっかりセダカを極めたような気になっていました。承太郎風に言えば「セダカはだいたい覚えた」
過去に関西のヤブツバキ帯でタダセダカと島根亜種には何度も手痛い敗北を喫しているのですが、フクチ、ダイセンなどのブナ帯では勝利を収めています。四国はどうかと調べて見ると、サヌキ、ツルギともにブナ林の生息地があるようです。それなら昼に発生木を見つけて夜回りすれば、こないだの山梨の経験からするとたくさん越冬個体が見られるのではないか、と考えました。ちょうど週末、関東は天気が悪かったけど四国は好天。また二亜種の最も有名な生息地は車で二時間ほどの距離。一泊二日で両者を十分狙えます。夜行バスで乗り込み攻めることにしました。ただしアブハチ取らず、とならないためにもツルギをまず落としてからサヌキ、と優先度を決めます。

兵站

往路夜行バス0.9万+復路特急・新幹線1.9万+車1.6万+ガス0.3万(車中二泊二日)

上陸

バスに10時間乗り四国には朝6時ごろ上陸。休憩場所のコンビニで朝食を買いバスで食べ、しばらくするとちょうど8時前に高松着。レンタカー店のオープンと同時に借りられました。ここから90分ほど運転してサヌキの生息地へ。現地はちょっとしたブナ林で、規模としては高尾山のイヌブナをホンブナで置き換えたくらい。ヨコヤマの記録も少ないながらあるようです。ただ高尾のようにブナの根際に穴がたくさんあるという感じではありません。

アカアシクワガタ

ブナ倒木にて発見。エリアは広くないので明るいうちに倒木の位置を把握します。

倒木

樹皮からしクスノキ?キノコが生えてます。

セミスジコブヒゲカミキリ

撮影時は「お、マルバネコブヒゲ?なんだチャボヒゲナガか」と勘違いしてました。樹皮の菌を食べているようです。

サビハネカクシ

キノコにいた。ハンミョウモドキのような模様。

移動

二時間ほどで一通りチェックしセダカは見つからなかったので夜に期待して移動。ツルギのエリアまでは二時間。

トラフカミキリ

道中の伐採木にて。1000m近い標高だったと思う。
追記:700mでした。その名も「桑平」という地名。

剣の山

実はここでは一つの勝算がありました。ネット上でここの景色をチェックできるのです。一通り見て、このあいだ山梨で見た発生木に近い状態の木を見つけました。撮影時期が不明ですが、そう変化はしていないだろうと。道中の倒木もチェックしながらその木を目指します。
着いて見ると、一部は切られていますが状態はそれほど変わっていない。木の暗い下面を念入りに照らしてチェックします。

ツルギセダカコブヤハズカミキリ★

うおおおおお!いたぞ!キノコに隠れています。

確保して撮影

いやー、このコブ!ナンキに次ぐかっこよさと言われます。ナンキも見たい。

体長18mm。図鑑では19mmまでとなっているので、オスとしてはほぼ最大。5cm位ある触角が切れてないので新成虫でしょうか。

夜の部

1個体だけでしたが大満足。その他、ミヤマケシ狙いでブナ枯れ枝叩くも見つからず。夜の探索に備えます。ここで夜回りしてからサヌキの山まで戻り、また夜回りのダブルナイター。兵站線が伸びるので十分に補給します。日帰り入浴をしてから山菜定食を奮発。車内で一眠り。
夜8時くらいに目覚めて昼にセダカのいた木を中心に見回るも、まったくいない。うむ、越冬世代は終わってしまったのかな。二時間ほど探索しヌル。移動します。サヌキの山に着いたのは日付が変わる頃。
また倒木、立ち枯れを見回りますが、ここでもヌル。稜線の両側が植林なので発生木はすべて調べられるのですが、いません。やはり越冬世代はいないのか。
この時期、トラカミキリもハナカミキリもいないから昼にすることはないので、夜で全エネルギーを使い果たすつもりで探し回りますが発見できず。
後にして思えば、枯れ葉を探して移動している新成虫を狙って色々叩けばよかった。

オオキノコムシsp

たぶんカタボシエグリ

マルバネコブヒゲカミキリ★

昼にセミスジがいた倒木にて。生態写真を撮れたのに、「どうせチャボヒゲナガだろう」と摘んでしまいました。しまった〜!静岡旅行で狙っていて見つけられなかったカミキリなのですごくうれしい!「マルバネ」って上翅の全体的な形が丸っこいからですね。独特。こちらはオス。

ところで、タムロンの新しいレンズは焦点距離が伸びたようで、最短距離でもフラッシュがケられません。ディフューザーがなくてもいけるんですが、ちょっとギラギラして影ができてしまう。ディフューザー使うと暗くなってしまう。うーむ。とりあえずレンジ用プラ容器に乗せると影が目立たないことを発見。白バックで撮影。


こちらはメス

朝の部

朝8時頃起床。越冬世代がいないとなると、枯葉で新成虫を狙うしかない。とはいえまだ枯葉がほとんど落ちていません。ブナの枯葉つき落ち枝はソコソコあるんですが、だいたいブナからコブが落ちたことないんですよね。葉が小さいから。一度だけ湿って密集した葉から落ちたことはありますが。

枯葉

そんな中、探索20分ほどで見つけたのがこれ。おそらく去年のホオノキの枯葉が古くなったもの。とりあえず叩きます。

サヌキセダカコブヤハズカミキリ★

落ちた!!!!やった!

図鑑によると、イワワキに似ているとのこと。確かにパッと見、区別できません。コブを上からみた場合に側縁の形が微妙に違うようです。


因みに今年のホオノキ枯れ葉も幾つか落ちていたけど、平らで隠れられないのでいなかった。二枚重ねて糊付けすればトラップになるかな?

移動

別のブナ林を探索しようとおもいましたが、検索するとブナは数本だけとのこと。だめか。うどんを食べてから、ヒメアヤモンチビとか、カゴノキ材採などをしようと高松付近の海辺の低山をめぐりますが、暑くて後悔。しにそう。ブナ帯でヒメヒゲナガの四国亜種とか狙えばよかった。よくよく考えれば、関東でもこの時期、低地でカミキリ探したりしませんわな。もうエネルギー使い果たしてるんで早めに切り上げ。瀬戸大橋を特急で渡り帰途につきました。
暑いといえば、オオトラには最高の日でした。しかも*****。でも若干早いし、疲れてたし。

総括

戦略的にはまったく時期を誤ってしまいましたが、狙いのコブ2種を落とせました。ツルギはそれでも、これまでの知見から発生木と思われるものを発見できたおかげでしょうか。サヌキは完全に運で、ヌルでも文句は言えない状況でした。
マルバネコブヒゲは狙いにあっただけに非常にうれしい。箱根あたりが分布の東限なので関東ではなかなか厳しいんですが、西ではそれなりにいるようですね。

次に来るとしたらピドニアの頃かな。10種類くらい自己初が狙えそうです。倒木夜回りもできるし。

セダカに関しては、あと原名亜種、ナンキ、ツシマ、ソボ、山口、島根が残っています。来年はナンキを狙いたい。しかしあそこ夜回り出来るのかな。危なそう。