空母赤城の艦載機格納状況

烈風?知らない子ですね
空母に艦載機が何機入るか、たとえば赤城がミッドウェイで沈まず烈風や流星改の生産・配備が順調に行った場合に赤城に何機積めるか、を考える。日本の空母は基本的に格納庫が二層ある。速度に拘って細い艦形にし、台風などの被害を避けるために格納庫を閉鎖式にしたので一層では面積が足りないため。二層にした分重さを減らすために木などを多用し防御力が下がった。
特に赤城は二度も改装していて格納庫の形状が非常に窮屈っぽい。以下の資料で分かる。搭載されているのは96艦戦、96艦爆、96艦攻。
http://warships1discussionboards.yuku.com/topic/24222#.UxR6Evl_vy1

こちらは翔鶴。だいぶすっきりしてる。
http://warships1discussionboards.yuku.com/topic/21205/Graf-Zeppelin-is-given-priority-and-completed-then?page=6#.UxR7LPl_vy0

これらと対照的なのが米海軍のエセックス級。以下がデザイン案。子供の落書きかと思うほどの単純さで、Hangar space と記された部分の面積はものすごく広い。日本で最大の空母でも搭載機数は60機程度(真珠湾攻撃の際は飛行甲板にも駐機して70ちょっと)であるのに対し、エセックス級は飛行甲板での露天駐機を含めて100機ほどが標準の搭載機数。
http://en.wikipedia.org/wiki/File:Design_plan_Essex.jpg


他にネットで図面は発見できず。こちらで有料で販売してる。
http://www2.odn.ne.jp/miyukikai/sub2.htm


搭載機数に関してはこちらがとても参考になる。
空母搭載機の真実:http://www.warbirds.jp/truth/ijn_cv.html


図面を参考に赤城に実際に飛行機を詰めてみる。

以下のファイルはSVGフォーマットで inkscapeというフリーウェアで編集できる。赤い部分が格納庫。ここに飛行機をコピペして移動、回転のみで配置する。
https://drive.google.com/file/d/0BztnVeQcfRyfaExNdG1QTk95bVU/edit?usp=sharing


幾何学的に重ならない(主翼と尾翼はほぼ同じ高さなので重ねられない)という以外に、艦載機を運用する場合、いくつか条件が追加される。

1: 尾翼と主翼の間はあけて置く:こうしないとひっかかって動けない場合がある。以下の図にあるように赤い線に翼が重なるとダメ

2:飛行機を横へは移動できない。主脚を中心とした回転と前進・後退しかできない。実際には10人ほどが左右の翼を押して飛行長が「右前」「左前」「ようそろ」と指示し移動する。何度も切り返しが必要だと移動に時間がかかるので、なるべく一直線にエレベータまで動かせるようにする。

3:飛行甲板に前から戦、爆、雷の順に並べるので、格納庫でもおおむねその順番になっていること
4:99艦爆は大きいので、使えるエレベータが限られる


その他には、三機で小隊を編成し三小隊で中隊を編成するので基本的に機数は9の倍数、そうでなくても3の倍数になる。

真珠湾

赤城、真珠湾攻撃の時の格納状況想像図: 戦18爆18(うち甲板上に9)雷27
カギになるのが99艦爆。でかい。急降下の際の強度を担保するため主翼折りたたみは先端の一部のみであるため。もっと根元に折りたたみ機構があるとそこで急降下中に折れる恐れがある。ちなみに米のドーントレスも同様で折りたたみなし。零戦21型も軽量化のために折りたたみは先端のみ(52型では更に折りたたみ部分を切り落とし丸くしている)。


ミッドウェイ

次はミッドウェイ作戦:戦18爆18雷18 (真珠湾後に露天駐機をやめ雷9減、露天駐機していた爆9を格納庫へ)
ミッドウェイを制圧した後で基地展開させる零戦を6機追加で搭載していたけど、これ以上は詰め込めそうにない。恐らく分解して予備機と同様に別の場所に格納していたと思われる。


IF: 彗星+天山

零戦52型+彗星+天山: 戦18爆18雷18。大きさはそれぞれ21, 99, 97とあまり変わらないので同じくらい搭載できる。発艦できるかはまた別問題。魚雷を積んだ天山は離陸に160mほど必要だったそう。赤城の飛行甲板は249m。

赤い線が飛行甲板前縁から160mの線、その後ろが天山18機。ぎりぎり。飛龍だと飛行甲板が33m短いので無理。
実際にはマリアナ沖海戦の第一次攻撃隊として飛行甲板が赤城より7m短い翔鶴、瑞鶴および8m長い大鳳からそれぞれ9機の雷装天山が発艦している。一度に18機というのは無理かも。マリアナ沖海戦での各正規空母の天山搭載数は14程度。2中隊には足りない。供給が追い付いていなかった。

IF: 烈風+流星改

烈風の全長が伸びて尾翼が大きくなったために18機が前部に入りきらない。流星は大きくないので天山などと同程度入るけど、実際の予定機数はずっと少なかったようで。別の要因があるんでしょうね。
魚雷を積んだ天山は重量5.2t、エンジン1850馬力。流星後期型は5.7tで2000馬力。魚雷を積んだ97艦攻は3.8tの970馬力。

プロペラ機では推力がエンジン出力の2/3乗に比例するという式がある。これを仮定して離陸速度が同じだとすると流星の滑走距離は天山の1.05倍くらいか。
http://www.mh-aerotools.de/airfoils/prpstati.htm

ちなみにヘルキャット、ヘルダイバー、アベンジャーを乗せた場合。実際はアベンジャーのみ全高が4.7mと高くて入らないけど。ヘルキャットなどは革新的な翼の折りたたみ機構のためにかなりの数が入る。