山梨の宿題いろいろ

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思えば高尾山や御岳山、川苔山での数年の徒歩探索のあと、レンタカーで菩薩や富士山へとずいぶん遠征したものです。
すずらんで「山梨県のカミキリムシ」を買って、まだ撮影したことないカミキリの記録を選んでテキストファイルに書き起こし、見つける度にコメントアウトしてきました。今では残り15種にまで減っています。
お盆も過ぎてシーズンも一段落したこの週末、色々と山梨で気になる宿題に取り組んでみました。

  • 菩薩のオオトラ
  • 大菩薩嶺に登る
  • 菩薩でシナノサビを探す
  • 菩薩でイタヤの生態写真
  • 富士山のホンドヒメシラオビ
  • 富士山のゼブラ
  • 富士山のタケウチホソハナ

大月で8時に車を借りて菩薩に9時到着。まずオオトラですが、昔落ちてたというウラジロモミ林を歩いてみます。しかしヤニや@マークが全く見られず。
次に登山。百名山とはいえ、意外と楽で高尾山に多少毛が生えた程度。しかし2000まで行きますから亜高山帯の植生を楽しめます。

オオクロカミキリ メス

途中の立ち枯れで発見

山頂

山頂周辺は植生地図によるとコメツガが多いはず。歩いて見ると、実際多いですね。カラマツやオオシラビソに比べると幹が真っ直ぐでなく、葉が短いことで見分けられます。あとは落ちている小さいマツボックリとか。

コメツガ

おそらく去年の台風で折れたもの。落ちてる先の部分は葉がまだ緑。天気は時々晴。ゼブラの飛来を待ちます。

シラフヒゲナガカミキリ


しかし古いのか、隣に落ちてるシラビソの材にシラフヒゲナガが来ただけでした。

ブチヒゲハナカミキリ

幹の方ではブッチーが産卵。

ブチヒゲハナカミキリ

立ち枯れにもブッチー

コメツガ

他にも立木で衰弱しヤニが出てるようなのを探しますが見つからず。

とりあえず下山です。
下のほうの温泉に初めて入ってみました。うーん極楽。食堂が終わってしまったので売店で葡萄と饅頭を買って食べる。すずらんはかきいれ時で夕食時てんてこ舞いだろうから遠慮。

次は大規模なカラマツ土場。モミとかが混ざっていれば菩薩で記録のあるシナノサビとか誘引されて来ないかな、と見て回りますが、見事にカラマツのみ。
イタヤを以前捕獲した柳を見回るも、結構切られてしまっている。ヌル。
暗くなってから土場で紫外線ライトを点灯。しかしクロカミキリが一匹来ただけだった。
C小屋付近に移動、ヨコヤマ狙いで点灯してみるも、満月が出てきてしかも寒い。何も来ない。車内で監視してましたが眠落ち。

Day 2

目が覚めると明るくなってた。富士山に移動。
早朝に去年の秋の台風後に叩いてみたけどヌルだった赤松伐採材でホンドヒメシラオビの材採集を試みる。山梨でもここまで南下すると翅端の尖る、真正「ホンド」がいるらしい。公式な記録は30年前の一例だけで幻のイメージだったけど、ベテラン勢は結構狙いに来られてるという話を聞いて、ダメ元でなく本腰を入れて探す気になりました。
「図説 長野県のカミキリムシ」によると、幼虫は直径2~3cmの赤松枯れ枝の樹皮下を食べて枝の分岐部分で材部へ侵入し蛹化するとのこと。成虫を探す時は葉がまだ緑気がある伐採枝を叩くのがセオリーなので、去年の秋に葉が緑だった枯れ枝の分岐近くの樹皮を剥いて見ますが、全く食痕が出てきません。かなり探した後でようやく食痕を発見。すでに材部へ侵入しています。しかし、よく見てみるとこれが葉の落ちた古い枝で、伐採された木の上のほうで伐採前から枯れていた枝のようでした。

赤松枝

次の週にチーム遠征した際に撮影した、この枝の根元のほうの写真がこちら。薄く菌類が巻いています。


赤松枝

こういう枝から以前カラフトヒゲナガなどが出て来たので、またそっちかなーと思いましたが、むしろこういう枝の方がヒメシラオビを狙えるようですね。以下は材の写真。(出て来た奴が写っちゃってますが)


次の週にチーム遠征で来る予定でその斥候のつもりだったので、本当に入ってるのか、持ち帰って割って調べて見ました。すると途中で5mmほどの蛹が衝撃で飛び出して一部つぶれてしまいました。この時期、この大きさで蛹というのは他に考えられません。大ショック。さらに蛹を撮影し、ネットで蛹の画像を検索。国産のものは見つかりませんでしたが、ヒメシラオビの基亜種はヨーロッパに広く分布しているようで、そちらの蛹の画像がありました。見比べて見ると完全に一致。ああ、やってもうた。まあ材への侵入孔はいくつかあるので他にも出て来ることを期待して保管しました。結果は後日の記事にて。


次はゼブラ。1970年代に花に来たという記録があります。植生地図を見ると記録のあるあたりにコメツガがある。そのあたりを探索してみました。歩いてみると、実際コメツガの巨木があります。また去年の台風で先端1/4が折れた巨木も発見。根元のほうは衰弱するのでないかと、ここでルッキング開始。去年の台風は10月だったので、産卵シーズンにはまだ折れていなかったので、いい状態にあるとしても幼虫は入ってない。実際ヤニは出ていません。しかしそれ以前に天気が怪しくなってきたので移動。来年ヤニが出てるのを確認できたらいいな。そのうち雨が降ってきました。終了。

コメツガ


次はタケウチホソハナ。お盆過ぎにとある場所で記録されています。気になる場所で行ったことがなかったので偵察することに。車で向かっていると途中で雨が豪雨に。しかし10分も走ると天気は晴れに。富士山はこうなんですよね。全く読めない。
現地に到着。なんでもハリモミという木の林らしい。看板も出ていました。天然記念物であることは知っていたので、花掬いでなく材ルッキングで探す方針。しかし看板によると立ち入りさえも禁止とのこと。うーむ、これではどうしようもない。このタケウチホソハナは妙な分布をしていて千葉の東大演習林なんかでも記録があります。北海道へ行けばいる所には多くいるらしいですが。
時間は午後二時くらい。HPは満タンだけど精神ポイントが切れたので終了。いろいろ気になっていた場所を回れたので満足です。

信越境

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先週新潟側から登ろうとして地獄を見た山に再チャレンジです。今回は長野県側から。去年まで長野駅からのアプローチを考えてましたが、上越新幹線からのアプローチのほうが安くて早いですね。角栄パワーのおかげかな。90分ほど運転して登山口到着。今回はSさんとの共同作戦です。
自分は山に半分ほど登ってピドニアを撮影次第下山、そのあいだにSさんは周辺でミズナラの立ち枯れ探し。10時前に登山開始。

NEED ID

ぱっと見、シラネかと思って、おーこれが噂の胸が赤いシラネか、と思ったんですが、裏が全く黒くないです。ということはシラネのオスかホソガタか。どうも体型の太さと触角の短さからメスのように思えます。ホソガタのメスはここまで胸が赤くはならないようで。わからんなー。マツシタのメスというのも考えましたがS紋が異様に太い。

ブチヒゲハナカミキリ

ちょっとした鎖場を越えるとピドが好きそうな花が出始めました。

クロヨコモンヒメハナカミキリ★

これが本日の目標。Lb紋が肩を覆うのが特徴。分布は局所的ですが、いるところには沢山います。今年はそうしたピドニアの模式産地を巡礼してきましたが、これで今年は〆ですね。




アオカミキリ

満開のリョウブに飛来。

下山

13:00くらいに下山。
Sさんのいた登山口はさすがに夏枯れが始まりカミキリは少なかったとのこと。それでもクロルリハナなど確保されてました。

ミズナラ

来る途中の道で見つけたミズナラの多い場所を探索。結構よさげな立ち枯れ、半枯れが多いのでodaiを探して見回りますが見つかりません。場所の問題か。時期の問題か。さすがにちと遅かったかな。

富士山周辺

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三連休なか日。目標はいろいろ。とりあえず大月で車借ります。
富士山方面に向かっていると、天気はいいけど途中の山は山頂がガスってる感じ。パキタはやめて山麓にします。

リョウブ

いつもイガブチが入るリョウブ。今年は遅めですが、さすがにもうイガブチは入らず。アオカミキリやオオヨツなんかが入りました。あとは黙示録の赤い騎士ことアカハナも。

クスベニカミキリ★

転戦。以前AXTさんに教わったクスベニの多いリョウブに行きます。
ルッキングで、変な飛び方するカミキリ発見!空中戦で確保。
ワインレッドですねー。よいです。リョウブの隣にはクスノキ科のダンコウバイが生えていました。



山へ

暑くなってきたので行くのをやめてた山へ。もう昼過ぎでパキタは望み薄ですが。
小一時間登って3時くらいに山頂へ。居残りはヨツスジなど。やはりいないか。

終了

リョウブの目視スイープは楽しいな。これでパキタ来たら脳内物質ドバドバだろうな。

南ア乙女を求めて

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今シーズン二回目の南アルプスです。二週間前に2400mの山に行き、あと一週間くらいでハイマツの花が咲きそうなのを見ました。先週はパキタなど狙ってたので2400峰は狙えず。今週は3000m峰を狙います。時期はちょうどいいはず。だいたいハイマツ帯は特別保護地区でルッキングのみとなるんで厳しいんですが、2700m付近で保護地区を外れた場所を見つけました。過去の記録はありませんが探索します。コースタイム的にはギリギリですが時間があれば百名山のピークハントも。
甲府朝4:30のバスに乗りますが、山の日を含んだ三連休初日。なんかヤバそうな予感がします。
甲府に最終電車で0:30着。案の定バス乗り場付近にはザックを枕に野宿している人が多く見られます。近くのビジネスホテルを2つほど訪ねるも、どこも満室。3時間程度ならいいや、と信玄公の像の横で仮眠することにしました。うぇーい系の人たちが駅前で騒いでますが、暑さも蚊も特になく割と眠れました。
暇なんで3:30頃に起きてバス停に行くと、すでに20人くらい並んでいます。そのうちバス会社の人が来て、順番にザックを並べるよう指示。警察官も4人くらい来てパンフを配ってました。結局バス5台の大集団となりました。バス会社も慣れたもので、臨機応変に対応してくれていました。
スタート地点には7:30ごろ到着。すでに2000mあります。天気は快晴。いちおう近くのショウマを見てみましたがピドニアはかなり減っていました。あとはガスが出なければいいんですが。

ワルサワダケノミハナカミキリ

ワルサワダケヒメハナカミキリ(旧)

標高上げると普通種になります。

キタクロハナカミキリ

クロハナカミキリ(旧)

今回最も多かったです。日差しでギラギラ。このへんは胸が赤いのは全くいません。

ルリハナカミキリ

こちらもギラギラ。

シナノヒメハナカミキリ

日向の花で動き回るのでこれしか撮影できず。オスはまだいい生態写真撮ってないんですが、今回のメインターゲットではないので切り上げて進みます。

クモマハナカミキリ

鹿防護柵が随所に設置され、フウロソウをよく見かけました。おそらく一度は壊滅したのだと思います。柵のない北岳鳳凰では全く見ませんでした。
フウロソウに依存するトホシハナカミキリはまだ復活していないようでした。代わりにクモマやキタクロハナが多かったです。

ハイマツ

まず2700mの特保外エリアへ。ハイマツはあるけど花がぜんぜんありません。低いと鹿が食べてしまうのかな。次に山頂へ向う七号目付近。樹林の中に花の多い株を発見。花粉はベストなタイミングです。
テントウムシの蛹が見えます。ダイモンかな?探したけど成虫は見つかりませんでした。

山頂

適当に撮ったんですが、なかなかいい写真になりました。
今回は途中でずっとオトメを探して見つからず。山頂へ行く時間はなくて下山しました。
来年はとりあえず虫は二の次にして頂上を踏みます。

下山

最終バスに余裕を持って下山開始したので、コメツガ立ち枯れを探してゼブラ探索にスイッチ。気合ゲージが下がり、だらだらと探しながら下山しますが見つからず。結局虻蜂取らずとなってしまいました。来年は山小屋泊も念頭にいれてじっくり挑みたい。近くでサハリンなんかも記録あるし。

パキタヌル

ひさびさに知り合いチーム4人で黄色いパキタの有名産地へ。
朝3時と4時にピックアップしてもらいすいすい~と現地へ。
いいリョウブにはすでに関西勢がスタンバイ。他にも合計で10人ほど。さすが人気産地。
他のリョウブなどを回りますが4人ともヌル。詳しくは640さんの記事で(人任せ)

アホ不戦敗

遠征4回分くらいの記事が溜まってますが、今日は写真一枚撮ってないのですぐ書けます。
ゴンドラで標高稼ぐつもりがやってなかった。炎天下を歩いて登るも三時間半でやっと1200m。目標のは1700にいる。だめだ。帰りのバスに間に合うよう引き返す。汗がやばい。ソルティライチがうまい。この山はこっちがわからは二度と登らん
先週まではすぐに2000mとかスタートが2000mとかで快適だった。俺はグレートトラバースやってんじゃねーんだよ!と思った。あれは9合目まで車で来て一座制覇とかいってるジジババに対するアンチテーゼなのかもな